静岡市 様

静岡市に生きづらさを抱える方のためのオンラインの居場所を3Dメタバースで提供

DNPは、静岡市が推進する「生きづらさを抱える方のための居場所」事業の一環として、「居場所づくりプラットフォーム」を用いてオンラインの居場所「しずおかほっとリンク」を構築・提供しました。

実績概要

本取り組みでは、医学的診断や障がいの有無にかかわらず、社会的要因や複合的な課題により日常生活や社会生活に困難を感じている「生きづらさを抱える方」が気軽に利用できる「居場所」として、3Dメタバース空間を整備しています。また、静岡市と連携協定を締結する静岡福祉大学*1が福祉・医療関係団体を含めて運営スタッフをコーディネートし、運営スタッフは実際に空間内に入り利用者のサポートを行います。

しずおかほっとリンクのイメージ

しずおかほっとリンク *2 のイメージ

匿名で参加可能なオンライン空間の特性を活かし、「何もしない自由(そこに居るだけでよい)」が保障された心理的安全性の高い環境を提供するとともに、スタッフや他の利用者との緩やかな交流を通じて、心身の回復や社会とのつながりをサポートしています。
また、本プラットフォームは、オンラインから対面の居場所や社会参加へと利用者をつなぐ役割を担うとともに、課題の重症化・複雑化を未然に防ぐ「新たなセーフティネット」としての機能を果たすことをめざしています。

背景・課題

近年、生活困窮や対人関係の課題など、複合的な背景により「生きづらさ」を抱える方へのサポートの必要性が高まっています。
静岡市では、こうした方々に対して、従来の対面型の相談支援や居場所施策を展開してきたものの、

  • 対人不安を抱えるなかで、対面の居場所を利用する動機が低い
  • 顔出しや移動の負担が大きい
  • 気が向いた時や辛いときにアクセスするきっかけを持てない

といった理由から、サポートが十分に届いていないケースが課題となっていました。
また、必要なサポートにつながらないまま課題が重症化・複雑化するリスクも指摘されており、早期の段階で当事者と接点を持ち、適切なサポートへとつなぐ仕組みの構築が求められていました。
このような背景をふまえ、静岡市では、誰もが気軽にアクセスできるオンライン空間を活用し、

  • 心理的安全性が担保された「安全基地」の提供
  • 交流を通じた心身のエネルギー回復
  • 早期発見・早期支援の機会を創出するセーフティネット

を実現する新しいモデルとして、オンラインの居場所の整備に取り組んでいます。

取組概要

DNPは、静岡市の課題に対し、メタバースを活用したオンライン支援環境を構築しました。
主な取り組みは以下の通りです。

・3Dメタバース空間の構築

ブラウザからアクセス可能な軽量設計とし、アバターを用いた匿名性の高い参加環境を実現し、交流・雑談スペース、コンテンツ閲覧スペース、個別相談に配慮した個室スペースを整備。空間内でやり取りされる音声の暗号化も実施しており、セキュリティ対策を施した安心安全な環境を提供します。また、DNPはISO/IEC27001(ISMS)ISO/IEC27017:2015(ISMS-CLS)にもとづいた情報セキュリティ管理体制の構築及び運用を実施します。

・コンテンツ提供・連携

DNPが提供する絵本ライトアニメと連携。自由な受け取り方をすることができ、ただ受動的に閲覧することができるコンテンツとして、心の回復のための物語体験を提供します。これにより、利用者が自分のペースで無理なく参加できる環境を実現しました。

・利用者が静岡市らしさを感じるための空間装飾用パネルの提供

メタバース空間内の壁面に配置できる装飾パネルとして、富士山や静岡市が世界に誇る地場産業であるプラモデルをデザインしたパネルを提供。利用者が空間内で静岡市らしさを感じる工夫を施しております。

特長

本取り組みの特長は以下の通りです。

①参加ハードルを下げる設計

アプリのダウンロードが不要で、ブラウザで快適に動作するため、どこからでもアクセス可能。また、アバターを介したコミュニケーションにより、対面に比べて参加の心理的負担を軽減し、安心して交流・相談できる環境を提供

②多様なコミュニケーション手段の提供による安心設計

感情表現・文字チャット・音声チャットなど安心して利用者自身のペースで参加できる環境を提供

③オンラインとリアル居場所の連携

メタバース空間を入口として既存のサポートへつなげることで、オンライン上での関係構築からリアルな居場所及びサポートに誘導する

導入効果

本取り組みにより、以下のような効果が期待されています。

  • 対面支援にアクセスしづらい層との新たな接点の創出
  • 利用者の継続参加による関係性の深化、心のエネルギーの回復
  • 支援サービス全体のアクセシビリティ向上

メタバース空間を活用した新しい支援形態として、自治体におけるデジタル施策の有効性検証にも寄与しています。

居場所づくりプラットフォームとは

DNPは、2021年よりXR技術を活用した事業「XRコミュニケーション®事業」*3を開始し、これまで自治体や教育現場を中心とした、XR関連サービスを開発・提供しています。
「居場所づくりプラットフォーム」*4では多様な困難を抱える人々の社会からの孤立解消を支援する仕組みを提供しており、3DメタバースやAI相談窓口などの技術を活用し、多様な課題を抱える当事者と支援者をつなぎます。
自治体や各種団体の皆様が提供するサポート領域の拡大を支援し、誰もが安心して“次のステップ”に一歩踏み出せるような挑戦ができる環境づくりに貢献します。 

今後の展望

今後は、利用ログの分析やコンテンツ拡充を通じて、利用者の行動特性やニーズを把握し、利用者の心に寄り添う、利用者の心のエネルギーを回復させるなど、より効果的な支援モデルの確立をめざします。
また、本取り組みをもとに他自治体にも展開し、オンラインを活用した居場所づくりの全国展開を視野に取り組みを進めていきます。

*1 静岡福祉大学ホームページ
*2 しずおかほっとリンクホームページ
*3 DNPのXRコミュニケーション事業について
*4 DNP居場所づくりプラットフォームについて

※ 2026年7月時点の情報です。
※ XRコミュニケーションは、DNP大日本印刷の登録商標です。

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