「DX推進に導く、ヘルスケア情報銀行が描く未来」DNP P&Iセミナー開催後レポート

2022年2月10日に実施した、ヘルスケア分野での情報銀行の展開に向けたオンラインセミナーのレポートコラムです。 本コラムでは、ヘルスケア分野でのライフログデータの利活用に関する動向や、企業がヘルスケア情報銀行を利用するメリットなど、セミナー当日の講演内容をお届けします。

目次

1.セッション1 基調講演 「FiNCアプリのライフログデータを使った、新しい社会基盤となるライフサポートサービスの可能性」

セッション1では、基調講演として株式会社 FiNC Technologies 伊藤隆博氏にご登壇いただき、「FiNCアプリのライフログデータを使った新しい社会基盤となるライフサポートサービスの可能性」と題してご講演いただきました。

FiNCアプリの特徴と、アフターコロナでの有効活用

前半は、FiNCアプリの概要や機能に加え、コロナ禍でのデータ収集手法の変化・ライフログデータの有効な活用方法をご紹介いただきました。

FiNCとは

FiNCは累計1100万DLを誇るヘルスケアアプリです。
歩数・食事・運動・体重・睡眠などのヘルスケアデータを複合的に取得しており、これらのデータの計測・管理を通じて、ダイエットのみならず健康管理まで活用することができます。

コロナ禍でのデータ収集手法の変化

コロナ以後のマーケティングの変化

従来のPOSレジ端末などでのデモグラフィックデータの取得からECでの収集へと情報取得の方法が大きくシフトした点や、スマートフォンの操作時・購入時以外のデータを取得出来ていない点を課題としてご紹介いただきました。
こうした変化に対し、FiNCアプリが日常的に取得するライフログデータを掛け合わせることで、普段の生活や他の購入商品をマーケティングデータとして還元し、より一層有効活用できる点をポイントとして解説していただきました。

情報銀行との親和性

個人への継続的なアプローチ

FiNCアプリの特徴をまえ、後半では情報銀行とのデータ連携により生み出される価値や、企業が期待できるメリットをご紹介いただきました。

ヘルスケア情報銀行とFiNCアプリとの連携による最大の強みは、データを継続的に更新できる点です。
ヘルスケア情報銀行は、FiNCアプリを土台としたWebアプリとするため、個人が記録した睡眠・食事などのデータをデイリーで取得できます。

こうした連携をすることで、企業はユーザーに継続的なアプローチが可能となり、季節ごとのアンケートや新製品の紹介など、面積率の高い効果的なマーケティングツールとしての活用が期待されます。

2.セッション2 サービス紹介 「ヘルスケア情報銀行のサービス構想について」

セッション2では、DNP ABセンター DX事業開発本部 情報銀行事業推進ユニット 齋藤より、現在開発中のヘルスケア情報銀行のコンセプトや導入メリットを、アプリ画面を交えながらご紹介いたしました。

ヘルスケア情報銀行のサービス構想

検討経緯

DNPは情報銀行が提唱された創成期より事業化の検討に取組んでまいりましたが、この度、初めて実サービスを展開します。さまざまな分野での情報銀行を検討した結果、昨今ニーズの高まるヘルスケアデータに注目。秘匿性が高いものの、情報銀行というプラットフォームだからこそデータを安全に管理・運用でき価値を提供できると考えました。

そこでヘルスケアデータ・ライフログデータを収集し多くのユーザーを抱えるFiNCと協力することで、情報銀行の知見を持つDNPとヘルスケアサービスに知見を持つFiNCとでサービスを作っていくことになりました。

サービス概要

ヘルスケア情報銀行サービス概要

個人(生活者)の属性情報やライフログデータを、本人の同意に基づき情報銀行が預かります。このデータをもとに、個人・企業(サービス事業者)それぞれに各サービスを提供します。

個人は本サービスを無料で利用することができ、自身のデータの提供に同意することでパーソナライズドオファーや健康データの可視化などのサービスを受けることができます。

また企業は月額利用料とオファーアンケート従量課金をお支払いの上、提供に同意されたデータをもとに、個人へのさまざまなアプローチが可能となります。

本サービスによる提供価値

後半は、ヘルスケア情報銀行で提供されるサービスや価値を詳細にご紹介いたしました。

個人への提供価値

個人は、ヘルスケア情報銀行にデータを提供することで主に以下のサービスを受けることが出来ます。

  • 自身のライフログのスコア化による、健康状態の可視化。
  • 一人ひとりにパーソナライズドされた有効な情報を入手でき、健康改善・増進に活用できる。
  • サービスの利用によりポイントを獲得し、ECサイトなど他社ポイントへの交換が可能。

登録時に回答いただく17項目のアンケートや、属性、将来の意向、FiNCアプリのデータなどをもとに、「連携開始」ボタンを押下することで自動的にスコアが算出されます。
また追加のデータ入力や更新、定期的に配信されるミッションプログラムでの歩数・食事目標のクリアを重ねることで、スコアとその精度が向上します。
さらには、データの入力や画面閲覧で独自のポイントがもらえ、各種ECサイトなどでご利用いただける予定です。

なおヘルスケア情報銀行は、FiNCアプリに連動するWebアプリとして提供いたします。よって、FiNCアプリに常設の入り口から素早くログインすることができ、簡単な操作で自分の健康状態がわかる仕組みとなっております。

このように個人にとって分かりやすく、健康への道しるべとなるようなサービスを提供することで、健康維持のモチベーションを維持しながら継続できるアプリを目指します。

企業への提供価値

また企業はヘルスケア情報銀行に預けられたデータから、主に以下のサービスを受けることができます。

  • 自社のファンとして個人との関係性を維持・ご活用できるパネルとして保有できる。
  • 健康関心/課題を持つ個人へ継続的なアプローチができる。
  • 健康状態と生活習慣の相関を調査・把握によるユーザーニーズの堀り起こしができる。

本サービスの特徴は、ヘルスケア情報提供の許諾者を、企業はいつでも参照・ダウンロードできる点です。
各企業の好きなタイミングでセグメントを区切り、アンケートオファーや告知オファーを送ることができます。この機能を活用することで、個人の解像度の向上やピンポイントでの販売活動ができるようになります。

またヘルスケア情報銀行に預託されたパーソナルデータをもとに、疑似的な会員組織と見立てて繰り返しアプローチすることもできます。
スポットのパネルサイトでは実現できないうえ、自前でのサービス・システム構築や機微な情報の取扱いには多大な投資が必要となります。
これに対し、ヘルスケア情報銀行にご参画いただければ、より簡単かつ継続的に個人へアプローチすることができます。

本サービスの活用例

ヘルスケア情報銀行の活用例として、テストマーケティングをご紹介しました。

テストマーケティングとしての活用事例

アンケートオファーの結果は、テストマーケティングのデータとして活用できるほか、購入希望者をリストアップし再オファーすることも可能です。このように、本サービス一つでテストマーケティングと販売の両方を同時に進める活用方法の可能となります。

またペルソナの反応次第では、画面上で送付先を変更することもできます。
もちろん、同じペルソナのグループに繰り返しアプローチすることも可能です。

ヘルスケア情報銀行に関するご質問・お問合わせ

なおヘルスケア情報銀行には、本項では紹介しきれなかった機能や操作画面がございます。

ご興味、ご関心のある企業様には、別途詳細ご案内差し上げますので、下記ボタンよりお気軽にご質問ください。

ヘルスケア情報銀行に関するご質問・お問合わせ(別ウィンドウで開く)

3.質疑応答・コメント

以上2名の講演をふまえ、当日は多くのご質問やコメントを頂きました。
ここでは、その一部をご紹介いたします。

FiNCアプリについて

  • UI設計で最も大変だったことは何ですか。 またそれをどのように乗り越えたのですか。
  • FiNCに登録しているユーザー層は、若年層から40代くらいが中心なのでしょうか。
  • FiNCアプリユーザです。アプリで扱うデータ項目は増やしていく予定はあるのでしょうか。

ヘルスケア情報銀行について

  • 情報銀行にデータ連携する場合、FiNCユーザーに同意を取るのでしょうか。またデータ保護の懸念について教えてください。
  • ユーザーの便益はクーポンなどになるのでしょうか。その際の原資は参画企業負担となるのでしょうか。またデジタル販促との違いは何になるのでしょうか。
  • ヘルスケア情報銀行を個人が利用するには、FiNCアプリを使うことが条件なのでしょうか。ヘルスケア情報銀行をアプリにしなかった理由を教えてください。

ご参加いただいた皆様からのコメント

  • 「データ起点でパーソナライズされたヘルスケア」への対応に対し、具体的なデータの活用の仕方はアイデアが持てておらず、本セミナーが参考になった。
  • 欧州では情報のポータビリティの担保が求められている。これに対し日本での取組みとして、情報銀行の展開・個人情報の利活用について示唆のある内容だった。
  • 顧客との直接接点という意味で、情報銀行にデータを集め、同意のもと顧客の便益になるようことができれば新しいサービスが可能になるかもしれないと考えた。
  • DX推進、定着により、自己管理で健康維持増進が進めることが可能に、そして当たり前になっていくワクワク感を得られた。

4.ご質問・お問合わせ

本セミナー及び情報銀行に関するご質問やお問合わせを受け付けております。

本稿で記載できなかった講演内容や、セミナーでご紹介しきれなかったサービス・画面イメージなどが多数ございます。

ヘルスケア情報銀行に関して、少しでもご興味のある方は、下記ボタンよりお気軽にお問合わせください。

ご質問・お問合わせ(別ウィンドウで開く)

また、DNPの情報銀行全般に関する情報は、下記ポータルサイトよりご案内しております。

各種セミナーやコラムのご案内、情報銀行に関するご説明を掲載しております。

こちらも併せてご覧ください。

DNPとFiNCとのヘルスケア領域での連携強化及び共同での情報銀行事業の立ち上げにつきましては、2021年3月25日にニュースリリースを公表いたしました。

詳細は、下記ページをご覧ください。

未来のあたりまえをつくる。®