住宅設備機器メーカーにおけるCX(顧客体験価値)マネジメントとは?

住宅設備機器市場は、水回りや自家エネルギー関連設備の需要が高まる一方、全体としては今後数年間、ほぼ横ばいで推移していくことが予測されています。
人口減少により、新築住宅の大幅な減少が予測されるなか、国内需要で期待されているのが「リノベーション事業」です。
本コラムでは、このような状況下における住宅設備機器メーカーの今後の顧客との関係構築について、顧客体験(CX)の考え方とマネジメント手法を解説いたします。

目次

1.住宅設備機器メーカーのCXマネジメント
 1-1.リフォーム需要の変化
 1-2.生活者とのタッチポイント
2.CJM上のCXマネジメントの考え方
 2-1.ショールームに誘導するCX
 2-2.ショールームにおける最高の顧客体験
3.CXマネジメントにおける顧客ロイヤルティ指標
4.顧客CXデータの一元管理
5.まとめ

1.住宅設備機器メーカーのCXマネジメント

1-1.リフォーム需要の変化

従来、不具合を修理するといった意味合いが強かった「リフォーム」という言葉は、コロナ禍での在宅勤務時間の増大により 新たな機能や付加価値を加える「リノベーション」へと昇華しました。そのニーズは多様化し「人とは違う自分だけの家を造りたい」という強いこだわりを持つ人が増えていると言われています。これにより、従来は施工会社からの提案など限られた選択肢から選ばざるを得なかった住宅設備機器も、生活者自らが選択し、リノベーションを自分好みにカスタマイズしていくという選択の幅が広がりました。こうした生活者の行動に対し、住宅設備機器メーカーはどのようにCXを生活者に提供していけば良いのでしょうか?

1-2.生活者とのタッチポイント

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住宅設備機器メーカーのカスタマージャーニーマップと顧客ステージ

住設機器メーカーの主なタッチポイントにはWebサイト、カタログ、チラシ、店頭(ホームセンターなど)、ショールームなどがあります。なかでも 実際の製品に触れる機会を提供する店舗やショールームの役割は大きく、ここでの顧客体験価値の最大化はコンバージョン(成約)に直結すると言っても過言ではありません。
ショールームをキーとなるタッチポイントとしてとらえた場合、CXマネジメント上のポイントは大きくふたつのCJMで考えられます。
1.Webサイトなどでいかに引き付け、ショールームに誘導するか。
2.ショールームで最高の体験を提供し、いかに成約につなげるか。
また、購入体験や使用体験を口コミなどで共有してもらえるか、という観点においてアフターフォローも大切なポイントとなるでしょう。

2.CJM上のCXマネジメントの考え方

前述のように住宅設備機器メーカーのCJMは大きくふたつに分けて考えることができます。CXマネジメントではおのおのの過程のなかで、どのタッチポイントにどれくらいの大きさの課題があるかを発見し、素早く改善につなげていくということが重要となります。以下にふたつのCXをどのようにマネジメントするべきかについて述べます。

2-1.ショールームに誘導するCX

Webサイトは商品のあらゆる情報を網羅し、わかりやすく伝えられるオウンドメディアです。しかし、機能性が高い製品であればあるほど情報量が多くなり、顧客は理解が追いつかなくなるというケースがよくあります。いかに最短で必要な情報にたどり着かせるかが重要ですが、探したい情報は個人によって異なるため、全ての顧客に最適な情報のみを見せるというのは難しい側面でもあります。

ある調査でスマートフォンのキャリア変更を検討する人の行動を分析したところ、顕著なふたつの行動パターンを発見することができました。
Webサイトで料金のシミュレーションなどをするも、人によって条件(インターネット回線の契約申込有無や家族のキャリア契約状況、さらにはキャンペーンによる割引など)が異なるため、結局どのプランが最適なのかが分からなくなり情報収集そのものを「また今度でいいや」と諦めてしまう人。そして、最終的に家電量販店などにいって相談する人です。

後者で店員の説明を聞いた人は、その場で納得して最終的には契約(キャリア変更)に至る傾向があることも判明しました。
業界は異なりますが、同様に住宅設備機器の場合でもショールームなどに誘導することは、とても重要になります。WebサイトのどのCXに改善ポイントがあるかを顧客目線で抽出することにより、ナビゲーションの工夫やFAQの充実、チャットボットの活用などを検討していきましょう。

2-2.ショールームにおける最高の顧客体験

店舗やショールームにて実際に商品に触れ、説明を受ける人は最も契約に近い顧客と言えるでしょう。しかし、ショールームにおける製品以外の顧客体験でロイヤルティを下げてしまい、結果他社へ流出してしまう可能性もあります。

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ショールームにおける顧客体験(CX)

ショールームにおいて顧客は製品そのものの評価だけでなく、接客態度や店内の雰囲気などで総合的に評価します。最高の顧客体験を経験してもらうためには、どこに改善点があるかを抽出し、常にPDCAを回し改善し続けることが重要になります。
また、量販店などの店舗では品揃えが限られる上に、メーカーとしては顧客データが取得できません。近くにショールームがないお客さまにはバーチャルショールームのような形での展開も選択肢のひとつとなるでしょう。ショールームにおける最高の顧客体験は、結果としてリノベーションに際して、生活者から施工店へのメーカー製品指名も期待できます。

3.CXマネジメントにおける顧客ロイヤルティ指標

前述の量販店でスマートフォンの契約変更について店員に相談をした顧客のように、ショールームで最高の顧客体験を体験した顧客はロイヤルティが高まり、成約の可能性が高まるでしょう。そして、ロイヤルティの高い顧客は他者へ良い口コミを広げるとも言われています。

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顧客ロイヤルティ指標(NPS)による顧客ロイヤルティ別特性

CXマネジメントでは、顧客体験を指数化するためにNPS(R)(ネットプロモータースコア)などの顧客ロイヤルティ指標を使い、お客さまのロイヤルティとCJM上の各体験を紐づけ分析することにより、成約に至る過程での離脱ポイントやロイヤルティ低下の原因などを抽出し改善PDCAを回していきます。
※NPSについてはこちらのコラムを参照ください。
「NPS(R)とカスタマージャーニーマップの組み合わせでできること」

4.顧客CXデータの一元管理

顧客CXデータは主に顧客アンケートによって取得できますが、メーカーは小売店と比較すると、ダイレクトに顧客と接触できる機会が少ないため、データ取得できるタイミングに限りがあります。また、取得できたとしても部門ごとに管理・活用されているのが現状です。しかし顧客CXデータは一元的に管理することにより、前後の脈略もとらえることが可能なのです。
例えば、ショールームに来た顧客にショールームの内容だけではなく、ショールームに来るきっかけとなった情報源や自社Webサイトで参考になった情報などを聞くことにより、ショールームへ送客する際のポイントや改善点などの抽出が可能となります。
また、購入後のお客さま情報の登録時にショールームへの訪問有無やWebサイトで参考になった情報を聞くだけで成約につながる体験の効果検証として活用することも可能となります。さらに、取得したメールアドレスなどの個人情報を使ってアフターフォローを行い、ロイヤルティ維持を図ることもできるでしょう。

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一般的な住宅設備機器メーカーの顧客情報取得のタイミングと目的(現状)

5.まとめ

このコラムでは、住宅設備機器メーカーの顧客データの取得と活用に関してあるべき姿について解説しました。CXマネジメントの主目的は、顧客からのフィードバックをビジネスプロセスに反映させ、顧客ロイヤルティ、ひいてはLTVの改善につなげることにあります。そのためには顧客情報の内容、情報取得方法、活用方法、管理方法、管理ツール などについて改めて組織横断で見直していくことも必要になってきます。

DNPはCXの真の課題を洗い出し、さまざまなツールやサービスを組み合わせて「個客」にとって最適な解決策をご提案します。

DNPが提供するDNP CXマネジメントサービスでは、企業と顧客の接点における課題を定量的な数値で抽出することで改善の優先順位を明らかにし、改善PDCAサイクル活動、CXの向上をサポートします。CX向上を検討される際にはぜひDNPにご相談ください。

当コラムをさらに深掘りした内容で、個社・任意業界団体などでの説明会や講演会を無償で承っています。ご希望の方はお手数ですが、お問合わせフォームからご連絡ください。

※NPS(R)はBain&Company, Fred Reichheld, Satmetrix Systemsの登録商標です。
※2023年3月時点の内容です。

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