もはや「声」だけでは不十分?「改正障害者差別解消法」から考える、これからの窓口コミュニケーション
2024年4月に施行された「改正障害者差別解消法」により、民間事業者にも「合理的配慮の提供」が義務化されました。接客の現場では、聴覚障がいのある方や高齢者、外国人のお客様に、必要な情報を確実に伝えることが喫緊の課題となっています。本コラムでは、最新の社会動向や各業界の課題を整理した上で 、フォントデザインと独自のデジタル技術を融合し、誰もが「言葉のニュアンス」まで感じ取れるコミュニケーションを実現する「DNP対話支援システム」について紹介します。
(2026年1月時点の情報)
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1.改正障害者差別解消法とは?
改正障害者差別解消法は、障がいのある人もない人も、互いにその人らしさを認め合いながら共に生きる「共生社会」の実現をめざして制定されたものです。2024年4月1日から施行された今回の改正によって民間事業者に対しても「合理的配慮の提供」が義務化されました。これにより、銀行の手続き、保険の相談窓口、調剤薬局、商業施設の受付など、あらゆる接客現場において、障がいを理由とした障壁(バリア)を取り除くための具体的な対応が必須となっています。現在、自治体や民間企業において窓口対応を見直す動きが急速に広がっているのは、まさにこの法改正が背景にあります。
改正障害者差別解消法の改正の背景
今回の法改正の背景には、日本が直面している「多様性の広がり」と「超高齢社会」という2つの大きな現実があります。内閣府の調査によれば、現在、国民の約9.2%(約1,160万人)が何らかの障がいを有しています。また、総務省の統計では人口の約30%が65歳以上の高齢者であり、今後さらに「聞こえにくさ」や「情報の受け取りにくさ」を抱えるお客様が増加することが予測されています。
出典・参考:
内閣府「令和5年版 障害者白書」
総務省統計局「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」
改正障害者差別解消法の改正のポイント
今回の改正における最大の変化は、事業者による「合理的配慮の提供」の位置づけが変わった点にあります。主なポイントは以下の4点です。
・「合理的配慮」が法的義務に: これまで民間事業者は「努力義務」とされていましたが、2024年4月からは障がいのある方への合理的配慮の提供が「法的義務」へと格上げされました。
・過度な負担のない範囲での対応: 障がいのある方から「社会的障壁を取り除いてほしい」という意思表示があった際、事業者は過度な負担がない範囲で、筆談や読みやすい文字での案内、段差の解消などの対応を行う必要があります。
・建設的対話を通じた解決: どのような対応が最適かは、事業者の一方的な判断ではなく、利用者との対話(建設的対話)を通じて共に決定していくことが重視されています。
・行政による指導・勧告の可能性: 適切な対応が行われず、法令違反があるとみなされた場合、行政から助言・指導・勧告が行われる可能性も明示されています。
参考:
改正障害者差別解消法が施行されました - 内閣府
2.「合理的配慮」の義務化が現場に問いかけるもの
「合理的配慮」とは、障がいのある方から「社会的障壁を取り除いてほしい」という意思表示があった際、事業者が負担の重すぎない範囲で必要な対応を行うことを指します。窓口や受付業務における「合理的配慮」への対応は、単なる義務の遂行に留まりません。各業界が抱える固有の課題を解決し、サービスの質を向上させる大きなチャンスでもあります。
窓口に潜む「コミュニケーションの障壁」と業界別の課題
これまでの対面コミュニケーションには、以下のような「目に見えない障壁」が潜んでいました。
・音声のみの情報伝達: マスクやアクリル板の影響で声がこもる、補聴器越しだと周囲の雑音と混ざって聞き取りにくい。
・筆談による時間的・心理的負担: 要件を書き出すのに時間がかかり、後ろに並ぶ他のお客様を気にして、深い相談を遠慮してしまう。
・非言語情報の欠如: 翻訳端末や書類に目を落とし続けることでアイコンタクトが途切れ、対面ならではの安心感が損なわれる。
これらの「情報の壁」を解消することは、契約内容や服薬指導といった「正しく伝えるべき重要事項」を確実に届け、お客様との信頼関係を深めることにつながります。
【一覧】業種別にみる窓口業務の問題と実現したいこと
| 業種・シーン | 現状の問題 | 実現したいこと |
|---|---|---|
| 金融・交通 | 説明の聞き取りミスによるトラブル、手続きの停滞 | 確実な情報伝達による顧客満足度の向上と、スムーズな案内による滞留時間の抑制 |
| 観光・商業施設 | 言語の壁による案内不足、インバウンド対応の遅れ | 多言語対応と視覚支援によるリピーター獲得、および外国人観光客の機会損失回避 |
| 公共サービス (自治体・病院) |
専門人材(手話通訳等)の不足、説明の難解さ | 限られた予算内での公的サービスの価値向上、重要事項(病状や制度)の理解促進 |
| 教育機関 | 留学生へのサポート負荷、学生間の交流不足 | サポート業務の負荷削減と、留学生と日本人学生の双方向コミュニケーションの活性化 |
3.ユニバーサルデザインとバリアフリーの調和
今、接客現場で重視されているのは、不便さを解消する「バリアフリー」の先にある、最初から誰もが使いやすいように設計する「ユニバーサルデザイン(UD)」の視点です。窓口への支援機器導入は「合理的配慮」の有効な手段ですが、それが「特定の誰かのための特殊な道具」であってはなりません。スタッフにとっても操作が容易で、高齢者や外国人のお客様を含めた「すべての人に開かれた窓口」を構築すること。それこそが、現代の接客に求められるスタンダードです。誰もが気兼ねなく、スムーズに意思疎通ができる窓口環境。いま、そのような「コミュニケーションのユニバーサル対応」の実現が強く求められています。
4.音声をリアルタイムに可視化する、新しい対話の形
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「すべての人に開かれた窓口」を実現するため、DNPアイディーシステムが提供するのが「DNP対話支援システム」です。本システムは、マイクで拾った音声をリアルタイムで高精度に文字化し、ディスプレイ上に表示することで、聴覚に不安のある方や高齢者、外国人のお客様とのスムーズな意思疎通を支援します。しかし、本システムがめざすのは、単なる「文字起こし」ではありません。大日本印刷(DNP)が長年培ってきた「文字の表現力」を活かし、言葉がもつ感情的なニュアンスまでも可視化することにあります。
感情を伝える「感情表現フォントシステム」
対面でのコミュニケーションにおいて、私たちが受け取る情報の多くは、言葉の内容だけでなく、声のトーンや表情といった「ニュアンス」に含まれています。しかし、従来の字幕システムは一律のフォントで表示されるため、話し手の感情が伝わりにくいという課題がありました。そこで活用されているのが、DNPのオリジナル書体「秀英体」などの知見を結集した、独自の「感情表現フォントシステム」です。
・リアルタイムにテキスト解析
: 音声認識されたテキストをシステムで瞬時に解析し、感情やイメージ等を表す言葉を判別します。
・12
種類のフォントから自動選択: 感情やイメージ等を表す単語について、最適なフォントを選択して表示します。「ありがとうございます」という感謝は、温かみのある柔らかい書体で。「こちらが重要なポイントです」という案内は、視認性の高い力強い書体で。
これにより、お客様はスタッフの「言葉のニュアンス」までを直感的にとらえることができ、文字を読む負担を軽減しながら、深い安心感を得ることができます。
動画:「DNP対話支援システム」機能紹介(47秒)
5.対面のぬくもりを守る「透明パネル」と「視覚支援」
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DNP対話支援システムは、テクノロジーが「人のぬくもり」を遮らないよう、ハードウエアのデザインや情報提示のあり方にもこだわっています。
アイコンタクトを妨げない「透明ディスプレイ」
従来のタブレット端末などを用いた支援では、スタッフが画面を見下ろして操作する時間が長くなり、お客様とのアイコンタクトが途切れてしまうことが課題でした。本システムでは透明なディスプレイを採用し、字幕が表示されている間も、お互いの表情やジェスチャーを隠すことがありません。お客様はスタッフの「笑顔」を確認しながら、自然な対話を続けることができます。「顔を見て話せる」という当たり前の安心感を、最新技術で守ります。
言葉を補完する「自動画像・動画表示機能」
言葉の壁は、時に翻訳だけでは越えられないことがあります。本システムは、音声認識した特定のキーワードに連動して、商品・施設案内・地図等、関連する図解、写真、動画のデータを自動的に表示する機能を搭載しています。
・直感的な理解: 複雑な手続きも、言葉と同時に「図解」を提示することで理解のスピードが飛躍的に向上します。
・正確な情報伝達: 地図や写真による補足により、説明の行き違いを防ぎ、スムーズな意思疎通を支えます。
6.お客様から寄せられた声
実際にシステムを導入した現場からは、多くのポジティブな反響が届いています。
| 金融業界 | 今まで外国人の方への対応は、一部の人しか対応ができませんでしたが、その場にいる誰でも対応することができるようになり、呼び出しや対応時間も含め、お客様のストレスを軽減できそうです。 |
| 交通業界 | 変換のスピードが速く正確なため、お客様に伝えたいことがしっかり伝わっていると感じました。特に中国語対応時に助かっています。 |
| 交通業界 | マイクの集音機能が非常に高く誤字もほとんどありませんでした。そのため案内が非常にスムーズになりました。韓国語で応対した際、大幅に時間短縮できたと感じました。 |
| 地方自治体 | 聴覚障がい者とのコミュニケーションする際に、両手があくため、書類等記載をサポートしながら対応することができました。 |
| 宅配・配送業界 | サービス提供する際、お客様に合った言語でご案内することができるようになり、お客様に安心してサービスをご利用いただけるようになったと感じています。またコミュニケーションができることで、他のサービスも紹介できるようになりました。 |
7.まとめ
2024年の法改正は、社会全体が「多様なコミュニケーションのあり方」を受け入れるための大切なステップです。それは、訪れるすべての人に「正しく伝わる安心」を届け、誰もが対等に対話を楽しめる社会をめざす活動でもあります。DNP対話支援システムは、長年培ってきた「フォントの力」と「デザインの知見」を活かし、窓口の対話を単なる情報のやり取りから、「心の通い合う時間」へとアップデートしていきます。
もはや、目に見えない「音」だけに頼る接客は、すべての方に最適とは言えなくなっています。貴社のホスピタリティを形にするパートナーとして、「DNP対話支援システム」を検討してみませんか。
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