声を大きくするだけで大丈夫?超高齢社会における窓口業務で「音声のバリアフリー」を実現

日本が世界に先駆けて迎えている「超高齢社会」において、公共機関や民間企業の窓口では、加齢に伴う「聞こえにくさ」への対応が切実な課題となっています。声を大きくするだけでは解決できない聴覚特性の変化に対し、現場のホスピタリティをどう届けるべきでしょうか。本コラムでは、最新の統計から高齢者特有のコミュニケーション課題を整理し、DNP独自の「フォント」と「透明ディスプレイ」の技術を活用して、高齢のお客様に「安心」と「理解」を提供する「DNP対話支援システム」について紹介します。
(2026年1月時点の情報)

1.超高齢社会で問われる「窓口のコミュニケーション品質」

日本は現在、人口の約30%を高齢者が占める「超高齢社会」です。窓口を訪れるお客様の多くが高齢者である現状において、加齢による「聞こえにくさ(加齢性難聴)」は、単なる不便を超えたサービス提供上の「深刻な障壁」となっています。現場では、「何度も聞き返される」「大きな声で話すと怒鳴っているように誤解され、空気が悪くなる」「補聴器を使っていても周囲の雑音で内容が聞き取れない」といった悩みが日常的に寄せられています。これらは単なる対話の不備に留まりません。契約内容の誤認によるトラブルや、お客様が聞き返すことを負担に感じて「相談をあきらめてしまう」といった目に見えない機会損失を招く要因にもなっています。

参考:
内閣府「令和7年版高齢社会白書(全体版)」
厚生労働省「聞こえにくさ」感じていませんか?

2.音声のバリアフリー:なぜ「大きな声」だけでは解決しないのか?

多くの現場では、聞き取りにくさを感じているお客様に対し、「より大きな声で話す」という対応が取られます。しかし、加齢性難聴の特性を理解すると、これが必ずしも最善の解決策ではないことがわかります。

加齢性難聴の特性と「補充現象」の壁

高齢者の聞こえには、単に音が小さく聞こえるだけでなく、特定の周波数(特に高音域)が極端に聞き取りにくくなるという特徴があります。さらに、ある一定以上の音量を超えると急にうるさく感じてしまう「補充現象(リクルートメント現象)」が起こることも少なくありません。 そのため、スタッフが良かれと思って大きな声を出すと、お客様にとっては「音は大きいが、何を言っているか判別できない」「耳に刺さるようで不快」という状況を招いてしまうのです。

物理的な壁:マスクとアクリル板の減衰効果

近年の接客環境の変化も「音声のバリア」を加速させています。マスクや飛沫防止アクリル板は、声を数デシベル減衰させるだけでなく、言葉の明瞭度を著しく低下させます。特に子音(サ行、タ行、ハ行など)の聞きわけが困難になり、文脈の推測を難しくさせているのが現状です

参考:
一般社団法人日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「高齢者とのコミュニケーションに苦労していませんか?」
一般社団法人日本補聴器販売店協会「基礎知識」(PDF)

3.「確実な文字」という選択が、窓口をユニバーサルデザインに変える

こうした音の限界を突破するために不可欠なのが、音声をリアルタイムで文字化する「視覚による情報補完」です。これこそが、これからの窓口に求められる「音声のバリアフリー」です。

聴覚と視覚の「マルチモーダル」な情報伝達

人間は視覚情報が加わると、音声の聞き取り能力が補完される特性を持っています。DNPアイディーシステムが提供する「DNP対話支援システム」は、最新の指向性マイクを活用することで、騒がしいロビーでもスタッフの声だけを的確にキャッチし、即座に「大きく、読みやすい文字」としてディスプレイに表示します。耳で聞く情報と目で見る文字情報がリアルタイムに一致することで、理解度は劇的に向上します。この「マルチモーダル(複数の感覚を組み合わせた)」なアプローチこそが、高齢のお客様が求めている「正しく伝わっているという安心感」を支える一助となります。

4.DNPアイディーシステムがこだわる「読みやすさ」と「安心感」

DNP対話支援システムには、高齢者対応において他社にはない3つの優位性があります。

①「感情表現フォントシステム」による直感的な理解

高齢者にとって、画面上の小さな文字を最初から最後まで精読することは、大きな集中力と労力を必要とします。DNP独自の感情表現フォントは、音声認識された重要な単語は太く力強い書体で、感謝の言葉は温かみのある書体で表示します。これにより、一字一句を追わなくても「どこが重要か」「どんな雰囲気の対話か」を直感的に把握でき、認知負荷を大幅に軽減します。

②相手の目を見て話せる「透明ディスプレイ」のホスピタリティ

従来のタブレット端末を用いた筆談や翻訳では、スタッフが画面を見下ろす動作が増え、お客様とのアイコンタクトが途切れてしまいがちです。「顔が見えない」ことは、高齢のお客様に不安感を与えます。 本システムは透明ディスプレイを採用しているため、字幕が表示される一方で、相手の表情や頷きを確認しながら対話を続けることができます。この「対面ならではの安心感」こそが、信頼関係の構築に欠かせません。

③誤解を未然に防ぐ「専門用語の辞書登録機能」

自治体の制度名や地名、金融・医療の専門用語は、一般的な音声認識では誤変換が起こりやすい傾向にあります。DNPでは、これらを事前に辞書登録することで高い認識精度を維持。誤字による誤解を未然に防ぎ、正確な情報伝達が必要な場面での運用を強力にサポートします。

動画:「DNP対話支援システム」機能紹介(47秒)

5.お客様から寄せられた声

実際にシステムを導入した現場からは、多くのポジティブな反響が届いています。

金融業界 高齢の方で耳が遠い方も文字で内容を確認いただけるため、説明の理解がスムーズでした。
交通業界 変換のスピードが速く正確なため、お客様に伝えたいことがしっかり伝わっていると感じました。特に中国語対応時に助かっています。
小売業界 小型翻訳ツールを使った時は、発言の時にボタンを押す、話す、相手に見せる、という動作があることと、誤変換の言い直しが必要になることが多かったので、簡単な会話でも時間がかかってしまいます。対話支援の方が全体的にスムーズでした。
地方自治体 聴覚障がい者とのコミュニケーションする際に、両手があくため、書類等記載をサポートしながら対応することができました。
宅配・配送業界 サービス提供する際、お客様に合った言語でご案内することができるようになり、お客様に安心してサービスをご利用いただけるようになったと感じています。またコミュニケーションができることで、他のサービスも紹介できるようになりました。

6.まとめ

DNP対話支援システムは、機械に接客を任せるためのツールではありません。スタッフが持つ「丁寧に伝えたい」という想いを、物理的な障壁(聞こえにくさや言語の壁)を越えて届けるための、コミュニケーションの拡張ツールです。高齢者や障がいのある方が、窓口で「自分の言葉を理解してもらえた」「正確な情報を得られた」と実感し、「またここに来たい」と思える安心感。それを提供することが、これからのサービス業の真価ではないでしょうか。

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