マンションインテリア動向調査レポート2025~2026

DNPでは、長年にわたりマンションのインテリアトレンド調査を行い、オリジナルブランド製品であるDNP内装用化粧シート「サフマーレWS」やDNPフローリング用化粧シート「EB-F」などの開発に活かしてまいりました。 本コラムでは、2026年9月に市谷で開催したセミナー「DNP Design Days 2026 Summer」で取り上げたマンションモデルルーム調査2025~2026から内容を抜粋し、インテリアコーディネーターや建築設計デザインに関わる皆さまに向けてご紹介いたします。

本コラムは、壁材・床材など住空間向け製品を扱っているモビリティ&リビング事業部が編集しています。以下のバナーより、過去のインテリアトレンド調査結果を始めとした当事業部が取り組むデザイントピックスをご覧いただけます。​

調査概要

首都圏・近畿圏・中部圏・九州圏における、新築分譲マンションの82物件98モデルから専有部のインテリア調査を行いました。

調査期間:2025年5月~2026年4月
対象エリア:首都圏・近畿圏・中部圏・九州圏
調査物件数:82物件、98モデル

調査結果

1.2025年~2026年のマンションインテリアカラー傾向

首都圏マンションのインテリアカラーに、少しずつ変化が見え始めています。これまで長く主流となっていたのが、洗練された印象を与えるグレー系のインテリアです。しかし、その割合は徐々に減少傾向に転じています。
一方で、グレーに代わって存在感を高めているのが、木質本来の風合いや温かみを感じさせるカラーです。昨年は明るく軽やかなナチュラルカラーが増加しましたが、今回はさらに、落ち着きや深みのあるミディアムカラーが増えています。木の素材感を生かした空間へと、トレンドが少しずつ動いていることがうかがえます。
とはいえ、グレー系は依然として45%以上を占める大きなボリュームゾーンです。その中身にも変化が見られ、最近では従来の木質柄だけでなく、石やモルタルなどを思わせる非木質柄も増えています。
単一の色や素材で空間全体を統一するのではなく、異なる質感を掛け合わせ、それぞれの魅力を引き立てる。そんな「マテリアルミックス」による空間づくりが、いまのマンションインテリアを読み解く一つのキーワードになっています。

画像はAIで生成したイメージで実際のマンションモデルの写真ではありません。

続いて、近畿圏の傾向を見ていきましょう。首都圏ではグレー系インテリアが減少傾向に転じていましたが、近畿圏では対照的な動きが見られます。グレー系はさらに割合を伸ばし、ついに50%を超えました。ここ数年続いてきたグレー人気が、ひとつのピークを迎えたようにも見えます。
その一方で注目したいのが、木質本来の風合いや温かみを感じさせるカラーの動きです。ナチュラルは20%弱と一定の割合を維持し、ミディアムも増加傾向にあります。首都圏と同様に、木の素材感を生かしたカラーが、今後さらに広がっていく兆しがうかがえます。
また、ダークやディープといった明度の低いシックなカラーは、もともと割合が少なかった前回から、さらに減少しています。グレー系が中心でありながら、ナチュラルやミディアムといった、木の風合いや温かみを感じさせるカラーにも広がりが見られる近畿圏。重厚感のある暗い空間よりも、軽やかで明るさを感じさせるインテリアが主流になっていると言えそうです。

画像はAIで生成したイメージで実際のマンションモデルの写真ではありません。

2. 経年で見るインテリアカラーの変化

マンションモデルルームに使用されている建具と床のカラー変遷をご紹介します。

まず、首都圏における建具のカラー変遷です。これまで定番となっていたのが、グレーやニュートラルといったカラーです。2023年には両者を合わせて70%以上を占めていましたが、今回はそこから約10%減少しました。一方で増加しているのが、木質本来の風合いを活かしたカラーです。ナチュラル系やミディアム系に加え、ダーク系も増加しており、グレーやニュートラルを中心としたカラーから、木の温かみや素材感を感じさせるカラーへと、選択肢が広がっていることがうかがえます。

次に、首都圏のフローリングカラーを見てみましょう。建具とは異なり、フローリングではグレーやニュートラルといったカラーが全体の79%を占め、引き続き大きなボリュームゾーンとなっています。また今回は、ダーク系のフローリングは見られませんでした。建具では木の風合いや温かみを感じさせるカラーへの広がりが見え始めている一方、フローリングではグレーやニュートラルを中心とした明るいカラーが、依然として主流となっています。同じ空間を構成する建具とフローリングでも、カラーの変化には異なる傾向が表れているようです。

さらに、床と建具のコントラストを見てみると、首都圏では建具よりも床を淡い色にしたパターンが最も多く、今回も約70%を占めています。この組み合わせは10年以上にわたり、主流のコーディネートとなっています。次に多いのが、床と建具を近い色味でまとめた同色系のコーディネートです。

続いて、近畿圏の建具カラーの推移を見ていきましょう。グレーやニュートラルといったカラーが頭打ちとなった首都圏に対し、近畿圏では今回もさらに割合を伸ばしています。その一方で、ライトトーンのナチュラルカラーも、2020年代以降、徐々に増加しています。明るく自然な木の風合いを感じさせるカラーが、少しずつ広がっていることがうかがえます。また、長年にわたり近畿圏で一定の割合を占めていたダークやディープといった深みのあるカラーは、近年ではほとんど見られなくなりました。建具についても、重厚感のある色合いから、より明るく軽やかな色合いへとシフトしているようです。

次に、近畿圏のフローリングカラーを見てみましょう。こちらもグレーやニュートラルといったカラーが全体の80%を占め、大きなボリュームゾーンとなっています。残る約20%を占めるのが、ライトトーンのナチュラルカラーです。一方、ダークやディープといった深みのあるカラーは、今回の調査では見られませんでした。建具、フローリングともにグレーやニュートラルが中心でありながら、ナチュラルカラーも取り入れられ、全体として明るく軽やかな色調へと移行していることがうかがえます。

床と建具のコントラストを見てみると、近畿圏ではこれまで比較的多かった同色系のコーディネートが、今回の調査では減少していました。代わって増えているのが、建具よりも床を淡い色にしたコーディネートで、約60%を占めていました。グレーやグレージュを基調としながらも、床と建具に明暗差をつけるなど、組み合わせ方に広がりが見られるのが、最近の近畿圏の傾向です。

3. DNPブランド製品における採用品番出荷数量ランキング

※画像をクリックいただくと製品詳細をご覧いただけます。

ここからは、採用された建具用シート「WS」と、フローリング用シート「EB-F」の採用品番出荷数量ランキングを見ていきましょう。

まずは、建具・ウォールドア・収納面材を対象に集計した、WSのランキングです。全体としてグレー系が中心となるなか、上位には明度の高い柔らかなトーンが目立ちます。
1位のWS-9001E(フロストフィール)をはじめ、3位のWS-5240E(ヨーロピアンウォールナット柄)、4位のWS-5245E(エルム柄)など、空間を軽やかに整える色柄が選ばれています。こうした明るいトーンは、空間に広がりや清潔感をもたらしながら、さまざまなインテリアと調和しやすいのが特徴です。
その一方で、7位のWS-5235E(ブラックウォールナット柄)や9位のWS-9102E(ラスターフィール)など、深みのあるトーンもランクインしています。すべてを明るい色でまとめるのではなく、濃色を取り入れることで全体を引き締め、メリハリのある空間をつくる。そうしたコーディネートにも採用されているようです。

DNP内装用化粧シート「サフマーレWS」採用品番出荷数量ランキング  2024年4月~2026年3月

1位:WS-9001E 2位:WS-5160E 3位:WS-5240E 4位:WS-5245E 5位:WS-5236E

6位:WS-9004E 7位:WS-5235E 8位:WS-5091E 9位:WS-9102E 10位:WS-907E

続いて、フローリング用シート「EB-F」のランキングです。こちらは建具以上に、明るく軽やかな木目柄が多く採用されていることが特徴です。上位にはオーク、アッシュ、ヒッコリーなど、明るく透明感のある木目柄が並びます。いずれも木の自然な風合いを感じさせながら、空間を明るく広々と見せやすい色柄です。
一方、ランキングには濃色の木目柄も見られます。マンションのコンセプトに合わせて重厚感や落ち着きを演出するなど、空間にアクセントを加える色柄として選ばれていることがうかがえます。
ランキング全体を俯瞰すると、モデルルームのカラーコーディネートには、「淡い色をベースにしながら、濃色でメリハリをつける」という傾向が表れています。建具では、軽やかなトーンと深みのあるトーンを空間に合わせて使い分ける一方、フローリングでは、明るく自然な木の風合いを感じさせる色柄が中心となっています。
ここまで見てきたカラーの推移と重ね合わせると、明るさや軽やかさをベースとしながら、素材感や色の濃淡によって空間に個性を加えていくことが、現在のモデルルームにおけるカラーコーディネートの特徴と言えそうです。

DNPフローリング用化粧シート「サフマーレEB-F」採用品番出荷数量ランキング  2024年4月~2026年3月

1位:EBFW-1210 2位:EBFW-1248 3位:EBFW-1181 4位:EBFW-1194 5位:EBFW-1259

6位:EBFW-1193 7位:EBFW-1254 8位:EBFW-1231 9位:EBFW-1216 10位:EBFW-1256

4. デザイントピックス

調査したモデルルームからインテリアデザインのトピックスをご紹介します。

トピックス 1. 空間になじみ、空間を引き立てるニュアンス柄

カラーの変化とあわせて注目したいのが、木目以外の石目柄や抽象柄など、「非木質柄」の広がりです。昨年のレポートでは、キッチンや洗面まわりを中心に、こうした非木質柄が増えていることをご紹介しました。今年はさらに、建具や収納扉、キッチン面材など、空間のさまざまな場所へと採用が広がっています。
特徴的なのは、非木質柄だけを際立たせるのではなく、木目やファブリックなど、異なる素材感を持つ柄と組み合わせていることです。空間になじませながら、さりげない個性や上質感を加えています。アクセントとして取り入れる非木質柄から、空間全体の質感を高める素材へ。木目や石目、ファブリックなど、異なる素材感を掛け合わせる「マテリアルミックス」が、さらに広がりを見せています。

DNPでは、こうしたマテリアルミックスによる空間づくりに対応する抽象柄として、「フロストフィール」「ラスターフィール」「エポックフィール」の3種類をラインアップしています。ここからは、それぞれの特徴や、実際のモデルルームでの取り入れ方について、採用事例とともにご紹介します。

まず、「フロストフィール」の採用事例です。トープやライトグレーなどの柔らかなカラーに、霜が降りたようなマットで繊細な表情を持つのが特徴です。光沢を抑えた穏やかな質感で、広い面積に取り入れても圧迫感を感じにくく、空間に自然となじみます。
モデルルームでは、建具やワードローブのほか、キッチンやバスルームなど、さまざまな場所に採用されています。繊細で主張しすぎない表情は視覚的なノイズになりにくく、白を基調としたインテリアとも自然に調和。空間に落ち着きとさりげない上質感を加えています。

*それぞれ異なるマンションモデルの写真です。

次に、「ラスターフィール」の採用事例を見ていきましょう。大胆な抑揚と落ち着きのある輝きが魅力で、光の当たり方によって表情が変化し、空間に奥行きや上質感をもたらします。
モデルルームでは、モカ系のラスターフィール(WS-9104E)に、同系色のヨーロピアンウォールナット柄の床を組み合わせた事例が見られました。色調をそろえながら異なる素材感を掛け合わせることで、落ち着きのある空間に豊かな表情を生み出しています。素材単体で考えるのではなく、照明や床との組み合わせによって空間全体をコーディネートしている点も印象的です。

続いて、ダークブラウンのラスターフィール(WS-9102E)の採用事例です。落ち着いた色合いと、光によって生まれる穏やかな陰影が特徴で、表情がありながらも主張は控えめ。リビングに面したキッチンなど、空間の中心となる場所にも取り入れやすい色柄です。
周囲の木目や床などと調和しながら、質感の違いによって空間にさりげないアクセントを加えています。華やかさを前面に出すのではなく、落ち着いた表情で空間を引き締める。そのような取り入れ方ができるのも、ラスターフィールの魅力です。

続いて、昨年発売された「エポックフィール」の採用事例です。自然でゆったりとした抑揚と、温かみを感じさせる素材感が特徴で、まとまった面に取り入れることで、その豊かな表情がより引き立ちます。マットな質感と落ち着いた色味により、存在感がありながらも主張しすぎず、周囲の壁紙になじみやすいのも魅力です。
無地系の壁紙から織り柄まで幅広く合わせやすく、異なる素材感を組み合わせながらも、空間全体を一体感のある印象にまとめています。

トピックス 2. 家具と天井が織りなす空間コーディネート

最近では、壁と天井を同じ壁紙で仕上げるだけでなく、天井に木目を採用する事例が増えています。面積の大きな天井に木目を用いることで、家具や建具とのつながりが生まれ、空間に一体感をもたらします。また、木の温かみや自然な風合いが加わることで、屋外とのつながりを感じさせるような、開放的な雰囲気を演出することもできます。
また、つながりのあるキッチン・ダイニング・リビングでも、天井のデザインを切り替えることで、それぞれのシーンをさりげなく分けることができます。天井も含め、空間全体をトータルでデザインする考え方が広がっているようです。

トピックス 3. R調が生み出す、温もりあふれる空間

昨年もご紹介した、曲線を取り入れた「R調」のデザインは、今年も継続して見られるトレンドです。
開口部や壁面を曲線でつなぐことで、直線を基調とした空間に柔らかさや温かみをプラス。空間同士をゆるやかにつなぎながら、印象的なアクセントを生み出す手法として定着しつつあります。さらに、間接照明と組み合わせることで、曲面ならではの光と影が生まれ、奥行きや立体感のある表情を演出しています。
R調は単なるデザイン要素ではなく、空間に心地よさや柔らかな印象をもたらす表現として、活用の幅を広げています。

*それぞれ異なるマンションモデルの写真です。

トピックス 4. カラーの変化

続いて注目したいのが、インテリアカラーの変化です。グレー系の採用が頭打ちとなる一方、木の風合いや温かみを感じさせるナチュラルやミディアムカラーが増加傾向にあります。
なかでもナチュラルは、従来の明るく軽やかな印象から、少しずつ表情が変わってきています。木目の色みに深みを持たせ、ベージュやオフホワイトと組み合わせることで、温かみと上質感を両立した空間が増えています。
グレージュが担ってきた上品で落ち着いた雰囲気を残しながら、木ならではの温もりを加える。ナチュラルカラーを基調とした空間は、より落ち着きのある表現へと広がりを見せています。

*それぞれ異なるマンションモデルの写真です。

そして、ここ数年は採用が少なかったミディアムカラーにも、再び増加の兆しが見られます。空間を重く見せすぎず、ほど良い重厚感や落ち着きを演出できるのが特徴です。最近では、ややオレンジみを帯びた彩度のある木目も見られ、鮮やかな色の家具や植栽のグリーンと組み合わせたコーディネートも見られます。建具と床を同じ柄や色でそろえるのではなく、異なる素材感やトーンを掛け合わせることで、ほどよく抜け感のある空間をつくっています。
今回のモデルルーム調査を通して見えてきたのは、単なる色や素材の変化だけではありません。抽象柄をはじめとした多様な素材感、天井デザイン、R調など、さまざまな要素を組み合わせながら、空間全体の心地よさや「暮らしの質感」を高めていく。そのような空間づくりへの意識が、より強まっていることがうかがえます。

画像はAIで生成したイメージで実際のマンションモデルの写真ではありません。

おわりに

今回のモデルルーム調査から見えてきたのは、インテリアトレンドが「色や素材を選ぶ」ことから、「空間全体をどうつくるか」へと広がっていることです。

その背景には、住まいに求められる「豊かさ」の変化もあるように感じます。ひと目でわかる豪華さや華美な高級感だけではなく、日々の暮らしの中で心地よさや上質さを感じられることが、より大切にされるようになっているのではないでしょうか。
その象徴のひとつが、自然の要素や温かみを感じさせる木目です。カラーでは、長く主流だったグレー系に変化の兆しが見られ、ナチュラルやミディアムなど、木の温かみや自然な風合いを感じさせる色合いが増えています。一方で、木目だけで空間をまとめるのではなく、抽象柄や石目、金属など、異なる素材感を掛け合わせる「マテリアルミックス」も広がっています。ナチュラルな雰囲気をベースにモダンな要素を重ねることで、落ち着きの中にも上質さを感じさせる空間が生まれています。

さらに、天井への木目の採用やR調のデザイン、間接照明による陰影など、壁や床だけではなく、空間全体を立体的にとらえた演出も印象的でした。

色、素材、質感、形、そして光。それぞれを単独で考えるのではなく、組み合わせることで、空間全体の心地よさをつくり出していく。今回の調査からは、目に見える「高級感」だけではなく、その空間で過ごすことで感じられる「暮らしの豊かさ」を大切にする、そんなインテリアの方向性が見えてきました。

  • 当コラムは2026年9月時点の調査情報を元に作成されています

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