DNP の生成 AI に対する取り組み
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DNPがAIに取り組む理由(なぜ印刷会社がAI?)
DNPの歴史
DNPは、祖業である出版・印刷を起点とした「文明ノ営業」という舎則のもと、創業以来「活版印刷を通じて人々の知識や文化の向上に貢献する」ことを使命としてまいりました。当時の「情報」が「言葉」や「文字」が中心であった時代から、今日では「画像」「動画」「音声」「空間」「行動」といった、世の中のありとあらゆるものが情報へと拡張しています。
DNPはこれまで、文字や画像といった情報を「印刷物」として形にするだけでなく、その情報を「情報セキュリティ」で安全に守り、「データ管理」で効率化し、さらに多様な「表現方法」を追求することで、お客様の円滑なコミュニケーションを多角的に支援してまいりました。
この情報の「取り扱い」と「価値化」は、生成AIの登場によって、かつてない速さで加速し、その可能性は無限に拡大していくことは明らかです。これまで想像もしなかったAIの使い方が世の中に溢れ、新たな価値創造の機会が生まれています。
DNPは、この大きな変革期において、生成AIを積極的に活用し、膨大かつ多岐にわたる情報をこれまで以上に適切に、そして創造的に取り扱っていくことを使命と考えています。これにより、お客様のビジネスの発展を支援し、ひいては人々の生活をより豊かにすることを目指して、活動を推進してまいります。
DNPのAIの取り組み
DNPは、社会の変遷とともに進化する「情報」の可能性を常に探求し、新たな技術を積極的に取り入れてまいりました。そうした中で、AI(人工知能)が持つ、データの解析や学習、推論といった能力にいち早く着目してきました。
特に近年、テキスト、画像、音声など、多様なコンテンツを「創造」する能力を持つ生成AIの登場は、私たちDNPにとって新たな転機となりました。従来のAIが「情報を最適に処理する」存在であったのに対し、生成AIは「新たな情報を生み出す」という、これまでにない可能性を秘めています。
DNPが長年培ってきた「情報加工技術」と、人々に伝えるための「表現技術」は、この生成AIと出会うことで、さらにその価値を飛躍的に高めると確信しています。例えば、クリエイティブコンテンツの企画・制作プロセスにおける革新、顧客との対話におけるパーソナライズされたコミュニケーションの高度化、あるいは複雑な業務プロセスにおける新たな自動化と効率化など、その応用範囲は従来の枠を超えて広がっています。
DNPは、生成AIが持つ無限の可能性を最大限に引き出し、これをDNPの強みと融合させることで、お客様の具体的なニーズに応える新たなソリューションの創出、そしてその社会実装に向けた取り組みを、積極的に推進しています。
DNPが目指す生成AIを活用した姿
AI Ready Data を軸にした社会貢献
長年培ってきた「情報」に関する知見と、最先端のAI技術を融合させることで、人々の生活を豊かにし、社会全体の発展に貢献することを目指しています。皆様の日常生活の中でDNPの技術が意識されることは少ないかもしれませんが、実は多くの製品やサービスの「裏側」で、DNPの技術が活用されています。
私たちは、この見えない技術を通じて、さらに皆様の生活の豊かさに貢献すべく、生成AIの活用を推進しています。
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上図は DNP が考えるAIを活用した情報のフィードバックループです。DNPのAI活用は、まず社会や人々から生まれる多種多様な「データソース」から始まります。
データソース:
テキスト、画像、音声、動画、センサーデータ、ログデータなど、人々の活動や社会のあらゆる場面で発生する非構造化・構造化データを指します。
これらの膨大なデータを、DNPは独自のAI技術、特に「DNP AI-Ready Data」事業を通じて、効率的かつ高精度に加工します。※1
AIによるデータ加工:
AI-Ready Data事業では、これらのデータが「情報伝達手段」に活用できるよう、AIが理解・処理しやすい形(価値ある情報)へと変換するプロセスを担います。この変換により、データの持つ潜在的な価値が最大限に引き出されます。
そして、この「価値ある情報」を、多様な「情報伝達手段」を通じて人々と社会に届けます。
情報伝達手段:
通知、デジタルサイネージ、音声案内、メール、XR(VR/AR)、ロボットなど、様々なインターフェースを通じて、最適化された情報を提供します。
この一連のAI活用プロセスにより、例えば「個々人に最適化された情報提供」「危険を未然に防ぐアラート」「新しい体験を提供するコンテンツ」などが可能となり、結果として、皆様の日常生活がより快適で、安全で、豊かなものになるよう、DNPは社会貢献を推進しています。
DNPはこれからも、生成AIと先進的なデータ活用技術を通じて、人々の暮らしに寄り添い、社会全体の持続的な発展に貢献してまいります。
※1: AI Ready Data の詳細については下記のリンクからご覧ください
生成 AI の利活用支援
近年、ビジネスにおける生成AIの可能性は広く認識されています。しかし、「どこから手をつけて良いか分からない」「導入はしたものの、活用が進まない」「期待する効果が得られない」といった課題を抱え、その利活用に足踏みをしている企業様も少なくありません。
DNPは、そうした企業様に向けて、生成AIの円滑な導入から継続的な活用、そして確かな成果創出までを支援する様々なサービスや導入支援パッケージを展開しています。
生成AIの利活用を次のステージへと進めるために、DNPは以下の4つのステップで皆様を力強くサポートいたします。
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ステップ1:導入 - 「生成AI環境が欲しい」
課題: 生成AIを導入したいが、自社に最適な環境構築やセキュリティ対策、コスト管理といった専門的な知見やリソースが不足している。
DNPは、お客様の企業文化や業務特性に合わせた生成AI環境の選定から、セキュアなインフラ構築、そして利用ルールの策定までを一貫して支援します。まずは、安心して生成AIに触れ、その可能性を実感できる「最初の足がかり」を共に築き上げます。
ステップ2:活用 - 「社内利用者を増やしたい」
課題: 生成AIを導入したものの、社員への浸透が進まず、一部の部署や個人での利用に留まっている。
AI活用の定着には、社員一人ひとりがAIを「自分の仕事のパートナー」として捉えることが重要です。DNPは、日常業務にAIを自然に組み込むための直感的なインターフェースや、活用を促進する多様なユースケースの提供、効果的な利用トレーニングを通じて、社内全体での生成AIの「自分ごと化」を推進し、利用者の裾野を広げます。
ステップ3:実感 - 「精度を高めたい」
課題: 生成AIの利用は進んだものの、回答の精度や業務への適合性に課題があり、期待した効果が十分に得られていない。
生成AIの真価を引き出すためには、利用シーンに応じた適切なデータ学習とチューニングが不可欠です。DNP独自の「DNP ドキュメント構造化AI」などの技術を活用し、お客様がお持ちの文書などの非構造化データを高品質なAI学習データへと整形します。これにより、生成AIの回答精度を飛躍的に向上させ、業務に直結する具体的な成果を「実感」していただけるよう支援します。
ステップ4:応用 - 「より価値を高めたい」
課題: 生成AIの基本的な活用が進んだ今、さらなる付加価値創造や、より高度な業務プロセスへのAI適用を模索している。
DNPは、単一業務の効率化に留まらず、生成AIを基点としたビジネスモデルの変革や、新たな顧客体験の創出を支援します。生成AIとDNPの持つ多様なソリューションを掛け合わせることで、お客様の事業競争力を一層強化し、未開のビジネス領域へと「応用」を広げるための戦略的パートナーとして伴走いたします。
主要ソリューション/サービス
DNPは、長年培ってきた情報技術と印刷技術の融合を強みに、お客様の多様なビジネス課題をAIの力で解決する、革新的なソリューションとサービスを提供しています。多岐にわたる業界と業務プロセスに対応し、業務効率化から新たな価値創造までを支援します。
DNP 生成AIパートナーアプリ「Ctrl+Cat」
DNP 生成AIパートナーアプリ「Ctrl+Cat(コントロールキャット)」は、DNPが提供する、生成AIの活用をより身近で直感的なものにする業務支援アプリケーションです。
従来の生成AIツールでは必要だった、アプリの起動や画面の切り替え、コピー&ペーストといった手間を省き、日常のPC操作(選択、コピー、ショートカットキー)だけで生成AIをシームレスに活用できる点が最大の特徴です。
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主な特徴と概要:
直感的な操作性:
ショートカットキー連携: Windowsのクリップボードにあるテキストや画像を、特定のショートカットキー(例: Ctrl+Shift+C)を押すだけで、生成AIに渡して処理させることができます。
画面切り替え不要:
ユーザーは作業中のアプリケーションから離れることなく、その場で生成AIの機能を利用できます。
ユーザー体験(UX)の重視:
猫のキャラクター「Ctrl+Cat」: 利用者の困りごとをAIに伝える可愛らしい猫のキャラクターが登場します。
ゲーミフィケーション要素: アプリを使い続けることでキャラクターが成長する仕組みが組み込まれており、生成AIの利用が楽しく、継続したくなるような工夫がされています。
オリジナルAI猫の作成:
自然言語での指示によって、ユーザー自身が独自のAI猫(キャラクター)を作成し、業務内容に応じてカスタマイズすることも可能です。
多様な業務支援機能:
要約: 長文のメールや資料の要約。
翻訳: 外国語の文章や、画像内のテキストの翻訳。
調査: 関連情報の検索や整理。
資料作成支援: 会議のスライドの要約から報告書作成への活用など。
複数の大規模言語モデル(LLM)と連携し、テキストだけでなく画像データにも対応します。
導入・普及の促進:
DNP社内での先行運用では、対象社員の約半数が利用するなど、生成AIに不慣れな社員も含めて全社的な利用拡大に貢献しています。
複雑な操作が不要なため、生成AI導入のハードルを下げ、企業のDX推進を後押しします。
このサービスは、生成AIをより「使える」だけでなく「使いたくなる」ツールとして、企業の業務効率化と生産性向上を目指しています。
サービスの詳細についてはこちらをご覧ください
DNPドキュメント構造化AI
「DNPドキュメント構造化AI」は、企業内の非構造化文書を、生成AIが正確に理解・活用できる“AIリーダブルなデータ”に変換する、DNP独自開発のAIソリューションです。
生成AIの業務活用が加速する中、多くの企業では既存の文書がAIにとって理解しづらい“非構造データ”のままであることが課題となっています。本サービスは、DNPが長年の印刷・出版で培ったレイアウト解析・構造化・編集のノウハウをベースに、独自の「構造化AI」によって文書を自動で構造化・整形し、生成AIに最適な形式でデータを提供します。
本サービスにより、企業はこれまで属人的に扱われてきた情報資産をAI活用可能なデータへと変換し、業務効率の向上、ナレッジの可視化、そして生成AI導入による高度な業務変革を実現できます。
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主な特徴と概要:
データ整形技術:
PDFやWordなどの文書ファイルから、AIが効率的に学習できる形式へデータを変換します。
特許技術の活用: DNP独自の特許技術を応用しており、これにより生成AIの回答精度を向上させ、誤回答の削減(最大9割減少の実績も)に貢献します。
非構造化データの価値化: 企業が持つ膨大なマニュアルやドキュメントといった非構造化データから、AI活用に必要な知識や情報を抽出し、業務効率化や意思決定支援に繋げます。
具体的な応用例:
審査業務(例:保険の募集文書や販促物の法令チェック)やコンタクトセンターの問い合わせ対応など、文書参照を伴う業務におけるAIの高精度な回答を支援します。
AI開発支援:
AIチームがデータ品質の評価、修復、改善を自動化し、データ準備のプロセスを加速するAI-Readyデータの準備を支援します。
生成AI対応データの自動変換: OCR(光学式文字認識)機能を組み込み、非構造化ドキュメントを生成AIがすぐに利用できるデータに自動的に変換する機能も提供しています。
このサービスは、AIの学習データ準備における課題を解決し、企業のAI導入・活用を強力に支援することを目的としています。
サービスの詳細についてはこちらをご覧ください。
そのほかのソリューションは以下のリンクからご確認いただけます。
情報発信(コラム・ブログ)
コラム
AIは、私たちを取り巻く世界を日々進化させています。技術の進化だけでなく、それが社会や私たちの生活にどう影響するのか、そして未来をどう描いていくのか――。また、 AIに限らずDNPが関わる多くの事柄について記事を公開しております。印刷や教育、イベントの現地レポートや空間、インテリア…。「DNP コラム・記事」では、DNPの様々な事柄に対する深い洞察や、様々な側面から旬な情報や記事をお届けします。
ブログ
DNPのAIへの挑戦やAIに限らず様々な側面で社員が経験したことや感じたことをお届けするブログです。
私たちは日ごろから外部とのつながりを大切にしており、普段行っている業務に加え、外部へのイベント参加や登壇、あるいは社内で取り組んいる内容を世の中に幅広く知ってもらうため、ブログ形式で情報発信をしています。
記事の内容は AI に限らず多岐にわたり、世の中のホットな話題から小さなことまで執筆者の独自の視点と感性で構成されています。きっとあなただけの新しい気づきに出会える記事があると思いますのでぜひご覧ください。
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