東京グレートサンタラン2019の様子

病と闘う子どもを笑顔に!「サンタラン」が紡ぐ、次世代育成支援の輪【後編】

「東京グレートサンタラン2019」が12月22日、駒沢オリンピック公園で開催されました。サンタクロースの衣装を着た参加者は前回の1.4倍となる3,500人。初開催の前回に引き続き、日本にいる病気と闘う子どもたち、そして貧困のなかにいる海外の子どもたちへの支援が行われました。DNPも「健康と福祉への貢献」「貧困の撲滅」につなげていこうという「東京グレートサンタラン」の趣旨に賛同し、さまざまな形で応援しています。 東京での初めての開催に尽力され、第2回の今回も、主催のグレートサンタラン・オーガニゼーションで委員として貢献された東京医科歯科大学の森尾友宏教授に、このイベントやチャリティー活動の様子と反響などをうかがいました。

目次

前回の1.4倍、約3,500人の「サンタ」が駒沢公園に大集結!

笑顔でランするサンタたち

Q:第2回となった「東京グレートサンタラン2019」も、大盛況でしたね。

森尾 : 第1回は明治神宮外苑が会場でしたが、今回は東京2020大会の関係から同じ場所での開催が難しく、駒沢オリンピック公園で4kmのコースを設定しました。
昨年もそうだったのですが、今年も天気予報は雨で、関係者は天候のことを一番懸念していました。でも、当日は最高気温9度という寒さにもかかわらず、前回を1,000人も上回る、3,500人もの「サンタ」が参加してくれました。雨もイベント終了間際の15時まで降らずに、何とかもってくれました。
今回は、2年続けてご参加くださった方はもちろん、前回の様子をメディアでご覧になって「次はぜひ」と楽しみにされていた方も多かったようです。前回同様、ベビーカーでも参加OKで、また世田谷という土地柄もあって、ファミリーでの参加も増えたように思います。「サンタラン」といってもランニングだけでなく、ウォーキングでも参加できるというのが広く受け入れられた理由かもしれません。
サンタ以外にも、トナカイやクリスマスツリー、特撮ヒーローなどの姿をした来場者が集まり、犬を連れている参加者も昨年より多くいらっしゃいました。
野外で扮装を楽しむのは、近年ハロウィーンで広がりを見せていますが、サンタランも同じように楽しめる、季節の風物詩として定着してくれれば、初回の企画運営から携わってきた私としてもうれしいですね。

Q:チャリティー活動について、あらためてお聞かせください。

森尾 : 参加費の一部を使って、私の勤める東京医科歯科大学附属病院を含む都内5ヵ所の病院で、闘病中の子どもたちにクリスマスプレゼントを贈りました。「学生子ども会議」の中高生と大学生が約60名参加して、病院でのヒアリングからプレゼントの購入、子どもたちに届けるまで、思いを持って活動していただきました。
また、「東京グレートサンタラン」の収益の一部は、イベントに特別協力をされた認定NPO法人フリー・ザ・チルドレン・ジャパンを通じて、ケニアのマサイ民族の子どもたちが健康的に過ごし、水汲みから解放され学校で教育を受けられるようになるために、給水所の設置や、灌漑用水の整備などの「水事業」に使われます。

「お祭りイベントとしての楽しさ」プラス「チャリティー精神の高揚」も

DNPのブースに並ぶサンタたち

Q:会場では、協賛企業によるブースもにぎやかでしたね。DNPも、「DNPマーケティングフォトブース sharingbox PRIME(シェアリングボックス プライム)」を活用し、参加者に記念写真を撮影・プリントするサービスを提供しました。

森尾 : その通りです。ランやウォーキングに参加できるだけでなく、そうしたお祭りイベントの企画も盛り沢山で、協賛企業のブースでのサービスも多様なので、いろいろな方に楽しんでいただけます。DNPブースの記念撮影サービスもたいへん好評でしたね。

撮影した記念写真は2枚プリントして1枚は参加者にプレゼント。前回は、残りの1枚に闘病中の子どもたちへの応援メッセージを書いてもらい、“クリスマスツリーボード”に仕立てましたが、今回は“モザイクアートのサンタクロース”を制作するなど、バージョンアップされていましたね。このモザイクアートは子どもたちへのプレゼントと一緒に、病院に届けていただきました。

DNPブース内の写真撮影の様子

東京医科歯科大学附属病院の中庭に設置された応援メッセージボード

またDNPブースでは、街なかの移動で困っている人と手助けしたい人をつなげるスマートフォン用のマッチングアプリ「May ii(メイアイ)」も紹介されていました。サンタランというイベント自体がチャリティーですし、人助けしたい気持ちが強い人や、そうしたことに関心のある方が多く集まられていると思います。DNPが開発した「May ii」のサービスも広がっていくと良いと思いますし、そうした活動をアピールして、協力者を募る場としても良かったのではないでしょうか。

Q:単に楽しいだけではなく、何かしらチャリティーの精神につながるところが良いわけですね。

森尾 : そうですね。今回イベント会場で参加者に無料で温かいスープをお出ししたのですが、環境に配慮した紙でつくった容器を使用しました。この紙カップもDNPからご提供いただいたもので、たいへんありがたく思いました。子どもたちの未来を考えると、環境問題に目が向くものです。海洋中のマイクロプラスチックを減らす必要があるという課題もあり、日本でもいよいよスーパーやコンビニエンスストアでのレジ袋が有料化されるなど、誰もが地球環境について身近に考えざるを得ない状況になってきました。それでも、日常生活の中では、つい便利というだけのものに手が伸びてしまいがちでしょう。
そのような中で、サンタランのようなチャリティーイベントで、環境に配慮した製品・サービスに触れることにも価値があると思います。自分の便利さや楽しさばかりではなく、子どもたちや病気の人たちのこと、ひいては身の回りの困っている方たちのことまで気にかけられるようになる、そんな気づきが生まれるのも、こうしたイベントの良さです。
紙カップにしても、寒いなかで手にする温かいスープがうれしいと感じたときに、それが環境に配慮したパッケージだと知れば、自然と印象に残るのではないでしょうか。

屋台で紙カップにスープを入れている様子

子どもたちやボランティアの皆さん、協賛企業社員の協力がイベントの宝

Q:そのほか、どんなことが印象深かったですか。

森尾 : テーマソングの「サンタランRun♪Run♪」を皆で歌ったことがあげられます。前回からスペシャルアンバサダーを務められている大黒摩季さんが今回、作詞・作曲してくださいました。事前に公式Webサイトで歌詞や振り付けを紹介してきましたので、これを歌うのを楽しみに来られた方も多かったと思います。イベント当日はフルバージョンを披露していただきました。
その場にいる全員が、自然に一つになれましたので、作っていただいて本当によかったと思います。これからも「東京グレートサンタラン」で歌い継いでいきたいですね。
また、中畑清さんや土屋アンナさん、小池百合子都知事にもご賛同いただき、イベント当日も参加していただいてとても感謝しています。

ステージパフォーマンスの様子

Q:参加者の皆さんは、本気で楽しみに来られているのですね。

森尾 : そうなんです。みなさん笑顔で楽しんでいらっしゃいました。そうやって楽しんでいただいたことがSNSなどで広まると良いですし、マスコミ各社にも協賛していただいていますので、事前告知だけでなく、たくさんの報告記事を書いていただくなど、継続的により多くの方に「東京グレートサンタラン」を知っていただきたいと思います。
また、会場を盛り上げてくれるのは、参加者に加え、協賛企業の社員の方々の存在も大きいのです。ランナーとして参加される協賛会社の方もたくさんいらっしゃいますし、何より、ボランティアとして大会運営に貢献いただいているのがありがたいです。
このイベントは、中学生から大学生まで約30人の子どもたちが企画運営委員を務め、「子どもが子どもを支える夢のチャリティー」をテーマに、スポーツなどを通じて社会課題の解決に取り組んでいます。彼らがイベントを実施するまでの準備をずっと重ねてきているのです。

ボランティアの集合写真

イベントを支えたボランティアスタッフの集合写真

とは言え、当日の運営には、やはり大人の力が必要ですし、広くボランティアを募っていますが、その中で協賛企業関連の社員の皆さんも活躍してくれました。
これからも毎年、さまざまな方たちの協力を得ながら、数多くの「サンタ」を迎えて一緒に盛り上がり、人の支援や環境課題の解決などにも心を向けていきたいと思います。

東京グレートサンタラン会場の森尾先生

「東京グレートサンタラン2019」公式ホームページ https://santarun.jp/

   

今回のイベントでは、子どもたちへのプレゼント購入ボランティアや大会運営ボランティアとして、DNPグループ社員32名が参加しました。実際に参加した社員の感想をいくつか紹介します。

「コース誘導係を担当しました。たいへん寒い気候でしたが、ランナーの皆さまは笑顔でコースを駆け抜けていきました。運営サポーターの一人としてアクションすることが、病気で苦しんでいる子どもたちに笑顔を届けることの一助となれば良いなと感じています。」

「参加者の方々の表情が明るくて、逆にこちらが幸せになりました。」

「かなり活気のあるイベントでした。『笑顔になれば免疫力も高まる』という小児科の先生のスピーチを聞き、多少の苦労があってもボランティアは笑顔で活動していくべきだと感じることができました。」

「楽しいクリスマスの日を病院のベッドで過ごさなければならない子どもたちを少しでも笑顔にできればと思い参加しました。本当に参加できて良かったです。ありがとうございました。」

「丸善丸の内本店で、子どもたちへのプレゼントを購入する活動に参加しました。初めて会った学生さんたちと同じ意思をもって行動できました。彼女たちの熱心に絵本を選ぶ姿や真面目な姿勢に、清々しい気持ちになれました。」

サンタ姿のランナーたちだけでなく、ボランティアスタッフの心にも残る良いイベントとなりました。イベント参加者の多くが「楽しみながら、病院で過ごす子どもたちに幸せをおすそ分けできる、すてきなイベントだ」と話していたのも、とても印象的でした。

  

「東京グレートサンタラン」は、国連加盟国が2030年までの達成を目指して採択した「持続可能な開発目標(SDGs)」の17の目標のうち、ゴール3「すべての人に健康と福祉を」やゴール1「貧困をなくそう」などの社会課題の解決にも貢献するイベントです。病や貧困と闘う子どもたちをサポートすることで「次世代育成」にもつながり、持続可能な社会の創造に大きく寄与する活動といえます。生活者の皆さまにも、楽しみながら社会課題に関心を持ってもらえる良い機会の創出につながりました。

DNPは、社会貢献活動の重点テーマの一つとして「次世代育成」に取り組んでいます。今年は「サンタラン」のクリスタルスポンサーとして協賛をいたしました。今後も未来を担う子どもたちを積極的に支援していきます。

SDGsのアイコン ターゲット1貧困をなくそう ターゲット3すべての人に健康と福祉を