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学芸員レポート
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「新開地アートストリート(SAS)〜 土地開拓 〜」展/
大阪/中之島(国立国際美術館移動、graf)&動物園前/フェスティバルゲート内(remo、db他アート系NPO)の動向
神戸/神戸アートビレッジセンター 木ノ下智恵子
2004年担当の企画および抱負
 「新開地アートストリート(SAS)」は、神戸アートビレッジセンター(KAVC)が開館以来、初めて試みる“人・まち・アート”が出会い共生する魅力的なまちづくりの実験です。
 このプロジェクトでは、アートという非日常がエイリアンのように地域を侵略するのではなく、日常生活に潜む微細な面白いコト(アート)に気付かせてくれるアーティストや研究者などをナビゲータとして位置づけ、景観やモノではなく人々の意識に緩やかな変化をもたらす、ささやかな【アートマジック】を仕掛けています。
 2003年1月から3月、見えないモノとして埋もれているまちの魅力の地層を掘り起こす「新開地アートブックプロジェクト〜まちの地質調査〜」を開催しました。メインナビゲータには、岡山市内の廃ビルを利用したアートスペース「自由工場」などまちネタアートの実績がある井上明彦氏を迎え、また、プロジェクトチーム『曙団』(かつて新開地を徘徊していた輩の通称)を結成し、独創的な観点でフィールドワークを重ねました。ワークショップでは、「事始め!新開地新年会」、「新開地人インタビュー」、「新開地夜話集」などを実施し、3月末には、一連の地質調査の成果をドキュメント展「湊川新開地古今遊覧」として再構成しました。“バラケツでいこう!”(チャランポランなチンピラなどを意味する新開地から発生した言葉)を心の糧に「温故創新/古きを尋ね新しきを創る」日々を過ごした結果、まちの生態系をあらゆる角度から検証した『湊川新開地ガイドブック』が出来上がりました。
 セカンドステップとなる今年の「新開地アートストリート(SAS)」では、まちに縁する様々な人々によって明らかになった【地質調査】を元に、テーマを【土地開拓】に転化し、メインナビゲーターには「地域、適正技術、協力」をテーマとした表現活動を展開する美術家/藤浩志氏をお迎えします。
 まちづくりとアートの関係は、バブル期の遺物のようなパブリックアートから、人々のコミュニティーづくりの貢献へとシフトしてきました。個性的なまちの人々のクローズアップ、子供会・婦人会といったコミュニティーづくり、娯楽・食の伝導、まちの名物づくり、、、まちのインフラとアーティストが出会ったとき、様々な化学反応が起きることによって、未だかつてないステキな出来事が生まれるでしょう。
■プロジェクト詳細は未定、実施会期2004年1月〜3月
2004年の気になる展覧会、動向
 昨年の秋頃から、女性ファッション雑誌で「お洒落なライフスタイルに欠かせないアート」などといったキャッチコピーを目にします。その特集はモード界や芸能界のセレブリティーと称される人々のライフスタイルやアートコレクションの紹介など、知的好奇心が旺盛で経済的にも自立する働く女性の興味をそそるには充分なラインナップだったりします。
 これはやはり昨年の10月にオープンした「森美術館」の影響であることは疑う余地もなく、諸条件を鑑みても、閉鎖的なイメージのアート(現代美術)業界に新たなシーンをつくり出すだけに留まらず、ファッションとしてアートを取り入れる新たな観客層を魅了することは確実!?キムタク、宇多田ヒカル……誰でもいいけど芸能人がアート通になって、その余波が一般社会に浸透する日もそう遠くはないのかもなどと思うのは、浅はかな読みでしょうか。
 一方、そんな明るい未来を予感する芸術の秋、地方都市/関西の文化圏に芦屋市美術博物館の売却/閉鎖という衝撃のニュースが入ったのは記憶に新しく、不況下における文化事業の受難の日々の幕開けは始まりました。
 しかしながら、新年1月、日本の前衛芸術の礎の一つである「具体」の大規模な企画展が兵庫県立美術館で開催されたり、3月、大阪トリエンナーレが生まれ変わって、その第一弾のプロデューサーに加藤義夫氏を迎えた新事業が展開されたり、11月、国立国際美術館の移転に伴い新オープンしたり、個々のお台所事情は火の車でしょうが経済構造の変革によってすべてが一様に枯渇するばかりではありません。
 また、美術博物館の売却/閉鎖に対する反対運動の署名が1万名近く集まった事実しかり、個人にとって如何にアート/芸術文化が必要なのかが問われています。そういった意味でも国立国際美術館の移転先である中之島に立地するデザイナー集団“graf”や大阪/動物園前のアミューズメント施設の有効活用として展開されるアート系NPOの動向は目が離せません。
 いずれにせよ、民の力あるいは公を構成する個の底力を発揮し、あるいは個々の新たなパートナーシップをシステム化していくことが急務でしょう。このシビアな状況を私は、アート/芸術文化の存在意義や本質が洗い出される契機になるかもしれないなどと捉えて勝手な未来を望みます
[きのした ちえこ]
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