ファンマーケティングの成功事例
メリット・デメリットや効果的に行うポイントを紹介!

ファンマーケティングを取り入れることで、安定した売り上げと新しいユーザーの確保が可能になります。企業や商品のファンとの交流を密にすることで、新しいアイデアを得ることも可能であるため、企業が成長するためにも役立つ施策です。 この記事では、ファンマーケティングの概要や手法を解説するとともに、メリット・デメリットや成功事例について紹介します。新規顧客を獲得したい企業や、新たな視点でのアイデアを求めている企業は、ぜひ参考にしてください。
2022年9月公開

ファンマーケティングとは

ファンマーケティングとは、企業が提供する商品を熱烈に愛してくれるファンを増やし、売り上げを拡大していくマーケティング戦略のことを意味します。従来では、TVや雑誌などのマスメディアを中心としたアプローチを行ってきました。しかし、現在ではインターネットで簡単に情報を得られるようになってきており、愛用者によるSNSや口コミでの拡散が効果的だと注目されています。

ファンを育成する効果

提供するサービスに対するファンを育てることで得られる効果はさまざまです。そもそもファンとは何を指すのかについて、似た言葉とともに紹介します。

■ファン:特定の人物や物、事象に対する熱烈な愛用者や支持者
■リピーター :繰り返し何度も来店・愛用してくれる顧客
■新規顧客 :初めて商品・サービスを購入する人

上記の他にも「優良顧客」という言葉もあり、商品やサービスの購入頻度が多く、これまでの購入金額も高額で、さらに、直近でも購入履歴のある客のことを指します。自社サービスや商品の愛用者を育てていくことで、売り上げを安定させることが可能です。ファンはSNSや口コミで自発的に情報を発信してくれるため、新しいユーザーを得ることにもつながります。

ファンマーケティングが注目される理由

ファンマーケティングを取り入れた戦略が注目を集めている背景として、SNSが現在の社会に浸透していることが挙げられます。

顧客は、インターネットやSNSを使って商品の情報を自ら発信できるとともに、情報収集も簡単に行えるようになりました。それゆえに、企業からの情報発信よりも、実際の使用感を生の声で発信する口コミの方が、消費者が影響を受けやすい傾向に。

特にファンのポジティブな口コミが俗にいう「バズる」可能性を秘めているため、ファンマーケティングは注目されています。 しかし口コミの中には、ポジティブな意見もあれば、ネガティブな意見も。ネガティブな意見はマイナスな感情になる一方で、それらをしっかりと精査して商品・サービスに反映することで、サービスをより良くできるためプラスに働かせることもできます。

ファンマーケティングの手法

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ビジネス業界ではファンマーケティングを成功させるために、さまざまな手法が取り入れられています。いくつかある手法について簡単に紹介しますので、参考にしてください。

【ファンマーケティングの手法】
■ファンミーティング:愛用者と交流するために行うイベント
■ファンコミュニティ:SNSやネット上で行われる、愛用者同士や愛用者と企業が交流するための場所
■サブスクリプション運営:月額など、定期的な課金でサービスを提供する
■メルマガ配信:企業が愛用者に向けてメールを配信する
■SNSキャンペーン:期間を限定し、応募者にプレゼントや特典を付与することで販売促進を行う
■ライブ配信:愛用者と密なコミュニケーションをとり、視聴者の反応を確認しながら商品説明を行う
■クラウドファンディング※1:市場に出す前の商品を販売し、愛用者の意見収集を行う
■サンプリング体験:限られたファンにサンプリングを行い、SNS等で口コミの発信を行ってもらう
※1「群衆(Crowd)」と「資金調達(Funding)」という言葉を組みあわせた造語で、インターネットを通じて不特定多数の人に資金提供を呼びかけ、趣旨に賛同した人から資金を集める方法

上記の他にも会員制サービスを行うなど、さまざまな方法が生まれています。商品・サービスの種類にあわせて適した手法を取り入れていきましょう。

ファンマーケティングのメリット

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ファンマーケティングを新たに取り入れることで、得られる利益は大きいです。特に注目されている利点をいくつか紹介します。

【ファンマーケティングのメリット】
■売り上げの向上
■口コミによる新規顧客の増加
■ユーザーの声を獲得しやすい

ここでは、上記3つの利点について詳しく紹介します。

売り上げの向上

ファンは、商品を熱烈に愛用してくれるヘビーユーザーです。ファンを大事にすることで売り上げが安定し、ニーズに合わせた商品を発売することで、売り上げアップにつながります。

また、経済分野に「パレートの法則」という統計に関する法則があり、「結果の8割は全体の2割が決定している」といわれています。現在のマーケティングだけでなく、以前の営業でも取り入れられている理論です。この理論を当てはめると「売り上げの8割は優良顧客の2割が生み出している」となります。そのため、優良顧客であるファンを増やすことで、売り上げがアップするのです。

口コミによる新規顧客の増加

現在、消費者が商品を購入・利用する前に、SNSやインターネット上で口コミを確認することが主流になってきています。実際に使用した人の口コミを参考にすることで、より目的に合った商品を購入できると考える人が多いことが背景にあるのです。

熱烈なファンがSNS等で魅力的な口コミを発信することで、これまで興味を持つことがなかった新しいユーザーの目に留まり、ユーザーの増加につながるという良い循環を生み出します。同じ消費者目線であるファンの言葉だからこそ、よりリアルな広告を行えることが大きな利点となるのです。

ユーザーの声を獲得しやすい

ファンは企業が想像もつかないような斬新な発想と、独自の視点を持っている可能性があります。定期的にファンから商品の意見や感想を得ることで、よかった部分とともに、改良が必要な部分も知ることができるのです。

実際に購入している消費者の声なので、取り入れることでさらに良い商品に生み出すことが可能となります。そのため、サンプル体験を行ってみたり、ファンミーティングを行ってみたりして、ファンの声をうまく獲得できる環境を取り入れると良いでしょう。

ファンマーケティングのデメリット

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ファンマーケティングにはさまざまなメリットがある反面、デメリットもいくつか存在します。どのようなデメリットがあるのかを確認し、導入後にうまく活用できるかよく検討してみましょう。

【ファンマーケティングのデメリット】
■ファンの育成に時間がかかる
■企業の成長意欲を維持する必要がある

ここでは、それぞれのファンマーケティングのデメリットについて見ていきましょう。

ファンの育成に時間がかかる

売り上げにつながる成果を出すには、熱烈なファンを育てていく必要があります。そのためには、商品の魅力だけでなく、ブランドコンセプトや歴史なども伝えていくことが大切になるため、ユーザーに対して時間をかけて情報発信をしていかなくてはなりません。

一目惚れのようにファンになってくれる可能性もありますが、「熱烈なファン」へと育てて広報として活用するには、ある程度の時間がかかることは覚悟しておきましょう。

ファンとの交流で大切なことは、以下の3つです。

■共感
■愛着
■信頼

ファンへの対応には上記の3つを目的とし、交流を行っていくと良いでしょう。ファンの声を受け止めた上でしっかり反映しているという姿勢を見せていくことで、スムーズにファンの心をつかむことが可能になります。

企業の成長意欲を維持する必要がある

ファンマーケティングを導入することで、企業の成長意欲が低下してしまう場合があります。ファンを獲得すれば売り上げが安定するので、「獲得したファンをただつなぎとめる」というやり方へ進んでしまう可能性があるのです。

企業が成長するためには今いるファンだけでなく、新しいユーザーの獲得も行っていかなくてはなりません。すでに確保しているファンのことだけを重視してしまうと、企業の評価を下げたり、商品の評価を下げたりするおそれがあります。

■ファンとの交流の際に得た口コミをもとに商品の改良を行う
■より既存のファンに喜んでもらえるように新たな開発を行う

上記の2点を心がけることで、確保しているファンの心をつかむだけでなく、新しいユーザーの獲得にもつながるため一石二鳥です。

ファンマーケティングを成功させるポイント

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ファンマーケティングを導入した後、うまく施策を成功させるためには以下のポイントを押さえておく必要があります。

【ファンマーケティングを成功させるポイント】
■ファンのニーズを把握する
■ファンと密にコミュニケーションをとる
■ファン同士が仲良くなれる場を提供する

それぞれのポイントについて詳しく紹介していきます。

ファンのニーズを把握する

ニーズを把握することは、ファンの心をつかむことにつながるほか、新規ユーザーの集客にもつながります。ニーズを把握する具体的な手法は、以下を参考にしてください。

■製品やサービスに関する満足度調査
■新製品のモニター募集

これらは、応援している企業に対して「協力している」というファンへの心理的な効果を狙えます。ファンのニーズを把握することで、既存の製品やサービスの改良につながるだけでなく、愛用者の声を反映した新製品の開発も可能です。

ファンと密にコミュニケーションをとる

密にコミュニケーションをとることも、ファンの心を惹きつけるために必要なことです。ファンと交流する場を設けることで、新しいアイデアや現商品への不満の声が届きやすくなります。ファンのことを大切にし尊重している姿勢も示せるため、信頼にもつながるでしょう。

また、企業内だけでは出てこない意見や、ファン独自の視点を共有することでさらなる発展も望めます。そのため、SNSでの交流やファンミーティングを積極的に取り入れていきましょう。

ファン同士が仲良くなれる場を提供する

ファン同士が仲良くなることで、商品に関する情報交換だけでなく、疑問が出たときにファン同士で解決してくれるケースもあります。また、ファンによっても愛用する商品が異なるため、今まで試したことがない商品のよさに気づくという利点もあるのです。

さらに、仲間意識が芽生えることで、今よりもさらに商品・企業への想いも深まる傾向にあるため、ファン同士が仲良くなれる場を提供することは企業価値の向上にもつながります。ファンコミュニティを作成し、ファンが運営を行ってくれるように促していくと良いでしょう。

ファンマーケティングの成功事例

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ここでは、ファンマーケティングをうまく活用し、成功した事例を3つ紹介します。企業によってそれぞれ異なる手法で成功を手にしているので、どのような方法で活用していきたいかを考えながら、導入する際の参考にしてみてください。

チロルチョコ ✕ オンラインファンミーティング

チロルチョコを販売している「チロルチョコ株式会社」もファンマーケティングを取り入れ、成功した会社の1つです。バラエティ豊かな商品と確かな美味しさで、チロルチョコは長年愛され続けています。チロルチョコ株式会社が取り入れた施策は「オンラインファンミーティング」です。

オンラインファンマーケティングは、SNSを使ってミーティングへの参加を呼びかけ、発売前のフレーバーが楽しめるコーナーや、限定のグッズをかけたクイズ大会が開催されました。ファンと企業が一緒に楽しんで交流するという姿勢が、ファンの心をつかんだのではないでしょうか。

スターバックス ✕ アイデア投稿

おしゃれで美味しいコーヒーショップとして世界的に有名な「スターバックス」も、ファンマーケティングを取り入れています。具体的には、「My Starbucks Idea」という、スターバックスに関するアイデアを投稿できるWebサイトを立ち上げて、ファンの声を聞くという施策です。

そのサイトには、公開から2か月間で約41,000件ものアイデアが寄せられました。スターバックスが抱えている問題点や課題を真摯に受け入れ、改善を重ねた結果、業績不振から抜け出したという過去があるのです。日々お客様との対話を心がけ、意見を取り入れてきたからこそ、今の人気を勝ち取れたのでしょう。

株式会社MAPPA ✕ クラウドファンディング

アニメーション制作会社である「株式会社MAPPA」は、「この世界の片隅に」という劇場版アニメ化を目的に、プロデュース会社である「株式会社ジェンコ」と映画監督である「片渕監督」とともに、クラウドファンディングでプロジェクトを立ち上げました。

プロジェクトページに作品に対する熱い想いや、制作過程を載せることで、ユーザーからの共感と作品への興味を得ることに成功したのです。資金を提供してくれたファンに対し「制作支援メンバーミーティングの参加権利」を用意するなど、一般のマスコミにも情報が出ていない作品の情報を伝え、作品に愛着を持ってもらえるように工夫を凝らしました。

なお、SNSなども活用し、最終的には映画公開のための資金を約3,900万円調達することができたそうです。ファンの気持ちを大切にする姿勢と、作品への想いが成功へと導いてくれたのでしょう。

まとめ

ファンマーケティングは、大きな成功をつかみ取れる施策です。ファンが与えてくれる情報を活用することで、新たな商品の開発につながったり、新規ファンの獲得につながったりします。

熱烈なファンを育てるまでには時間がかかるという面もありますが、今後企業が成長していくためにもファンの存在は重要になるため、ぜひファンマーケティングを導入してみてはいかがでしょうか。

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ファンとは、企業活動におけるビジョンや価値観に共感する大切なお客様です。ときにファンは自ら発信者となり、さらなるファンを呼び込んでくれる可能性があります。 つまり、ファンが集い、ファンを広げ、ファンを育てる場所を持つことで、ファンがメディアとなり、ビジネスをより強くします。 DNP ファンメディアプラットフォーム®は、低コストで手軽に課金対応、会員制メディアを構築するサービスです。

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