トレンドを活かしたインテリア空間 DNP 5 Stylesに込められた思いとは…

生活空間事業部が毎年提案しているDNP 5 Styles。トレンドをふまえたライフスタイル・インテリア空間の提案を行っています。このコラムでは5 Stylesの企画ならびに、空間デザインとインテリアコーディネートを担当している生活空間事業部の國東が、空間に込められた思いやデザインにおける工夫などを語りました。

DNP 5 Stylesとは?

DNPでは、5つのライフスタイルを想定し、建具用・床用シートの新製品 を使用してコーディネートした空間「5 Styles」を、2017年より毎年発表しています。


建具用シート「WSサフマーレ」 は、建具・造作・収納をはじめ、キッチン・洗面扉などの垂直面にも使用可能なEBオレフィンシートです。
床用シート「EB-F」 は建具・造作・収納をはじめ、キッチン・洗面扉などの垂直面にも使用可能なEBオレフィンシートです。

DNP 5 Styles 2023年の概要について

ミラノデザインウィークを中心とした海外のトレンドや、国内のマンション・商業施設・ホテルなどのトレンド情報を複合的に分析し、日本の住まいに応用した空間を考えました。まずは、どのようなライフスタイルのトレンドが存在し、そういった暮らしを好む人のペルソナを考えました。それから、そのペルソナが暮らしたいと思う理想的な住まいの空間を考えていきます。WS、EB-Fは主に新築分譲マンションにご採用いただくことが多いですので、5 Stylesの空間もマンションをイメージしつつ、WSとEB-Fのデザインがより魅力的に見えるように、現実的な空間よりもワンステップ上の夢のある空間を描いています。(國東)

2023年の各スタイルについて

Calm

2023年のCalmは「Classy Charm」をスタイルのテーマにしました。コンパクトでありながら、心躍るエレガントな空間で、自宅でのひと時を華やかなライフスタイルへと誘います。北欧デザインのスタイリッシュなエッセンス、韓国インテリアのナチュラル感や華やかさもミックスしています。Calmのペルソナについては、こちら(DNP 5 Styles 2023 | コラム・記事 | ソリューション/製品・サービス | DNP 大日本印刷)をご覧ください。(國東)

建具:WS-5243E  キッチン収納:WS-5239E  床:EBFW-1252
カタログやA4カットサンプルのご請求はこちら(サンプル・カタログ請求 (dnp.co.jp) )

建具はシンプルなデザインにすることで、WS-5243E ブラックウォールナット柄 がもつ木目柄のなめらかな揺らぎを強調し、空間から木質のあたたかみを感じられるようにしました。ゴールドのレバーハンドルがアクセントです。

床はゆったりとした抑揚のあるEBFW-1252 ヨーロピアンウォールナット柄 を選びました。柔らかく爽やかな木質柄が空間を優しく包み込みます。

キッチンはコンパクトですが、料理がしやすい機能的な広さを想定しました。見た目が可愛いプチプラ家電や調理器具がいろいろありますが、そういったものを使ってスマートに家事をしているイメージです。

リビング-ダイニング-ベッドルームがシームレスにつながって、状況によって好きなところで、くつろげるイメージの間取りです。ベッドルームはガラスの引き戸で間仕切ることで、圧迫感を感じさせないようにしています。ベッドルームは大柄な花が垂れ下がっている柄のアクセントウォールを取り入れ、可憐なプライベート空間にしました。

自宅に帰った時に、ぱっと華やかな気持ちになるような空間を作りました。家に帰ることが楽しみになるような、自分の好きなものに囲まれたリビングです。複数のパステルカラーを組み合わせ、心弾むエレガントな空間にまとめました。

家具は、デンマークブランドのGUBIを中心に北欧デザインを選んでいます。空間全体のカラーリングがデコラティブなため、家具の形状やマテリアル使いはシンプルなものをベースに検討しました。スタイリッシュさもありながら、エレガントさも感じられるものが良いなと思い、北欧ブランドから検討しました。

この空間は手前に掃き出し窓があり、外が見えるイメージです。お気に入りのソファに座って、外を眺めながらくつろぐことができます。コーヒーテーブルにはタブレットやスマートウォッチを置き、住まい手のペルソナを表現しました。

Moments

これまでWa Storyとしていたスタイルを2023年はMomentsに改めました。ジャパニーズスタイルにとらわれず、日本の伝統美とモダンスタイルを融合したミニマルスタイルをベースにした、人々に寄り添う柔和なテイストです。
このMomentsのテーマは「Homey Grace」としました。肩ひじ張らずに安心してくつろげる、まろやかな上質空間です。ライトカラーのすっきりとした木質を基調に、ミニマリズムとラグジュアリーの融合により心身の健康を促すWell-beingな暮らしを体現します。Momentsのペルソナについては、こちら(DNP 5 Styles 2023 | コラム・記事 | ソリューション/製品・サービス | DNP 大日本印刷)をご覧ください。(國東)

床:EBFW-1253 建具:WS-5242E
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建具のシンプルなデザインは、木質の壁面やラグジュアリーな家具をひきたてます。また垂直面に木質素材が多いため、デザインはシンプルにすることで、スタイリッシュにまとめました。WS-5242E チェリー柄 はペール・ライトカラーの領域の木質柄としてバリエーションを広げてくれる色柄で、細かな色の移り変わりやきらめき感が、爽やかな空間を創造します。

壁面は収納機能がノイズレスに溶け込んだ壁面パネルを設えました。バスルームの引き戸と同じ色柄の面材にすることで、空間をすっきりと見せています。その前には大ぶりの観葉植物を置き、澄んだ空気を感じさせます。

床はEBFW-1253 エルム柄 を選びました。あたたかみを感じるウォームなグレー味のあるペール・ライトカラー色で、柄の程よいコントラストが空間に抑揚を生み出します。

この部屋のポイントはベッドルームに併設したバスルームです。高級ホテルで見られる間取りで、角部屋の窓際にバスタブを贅沢に配置し、隣にはシャワールームもあります。ベッドルームとの間仕切りは両開きの引き戸にすることで、ドラマチックで優雅なバスタイムを想像させます。

長く続いたステイホームの影響により自宅が多機能になったことで、空間をゆるやかに仕切る収納やパーティションがトレンドになりました。今回はPoliformのLexingtonを採用しました。空間によって好きなユニットを組み合わせることで、閉塞感のないパーティション、そしてお気に入りのものを飾ったり収納できる家具として、非常に多機能なデザインです。

窓際のラウンジスペースにはKarimoku Case Studyのチェアとローテーブルを組み合わせました。研ぎ澄まされた日本美を感じさせ、シンプルな木質のぬくもりをいかしつつ、モダンな空間にも調和する美しいデザインです。豊洲の町並みを一望できる窓際で、夜はお酒を飲みながら、優雅な時間を過ごせる空間をイメージしました。

ベッドはB&B ITALIAのAtoll Bedを選びました。ラインの美しさが際立ち、スタイリッシュでありながらエレガントさも感じられるデザインです。このベッドでくつろぎながら、外の景色を眺めたり、読書を楽しむひと時を想像させます。

Flow

2023年のFlowは「Nostalgic Breeze」をスタイルのテーマにしました。屋外と室内の境界線を越え、ダイナミックに自然や植物と共存できる暮らしをイメージし、さわやかな風が流れる開放的な空間です。さらに、どこか懐かしさを感じるようなカラー・マテリアルをコーディネートすることで ”ほっとする安心感” も融合させています。Flowのペルソナについては、こちら(DNP 5 Styles 2023 | コラム・記事 | ソリューション/製品・サービス | DNP 大日本印刷)をご覧ください。(國東)

床:EBFW-1255 建具:WS-9005E キッチン収納:WS-5240E ハンギングドア:WS-5240E
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建具は框デザインで重厚感やクラシカルな雰囲気を表現しました。欄間と片袖枠にすりガラスを取り入れることで、廊下とリビングの気配をそれぞれ感じられ、建具全体が重々しすぎないデザインにしています。WS-9005E フロストフィール柄 は単色とは異なる、質感やきらめき感があり、またややグリーン味を感じるグレー色が建具としても使いやすい色柄です。

家族がキッチンに集まってコミュニケーションを取りながら調理をしているシーンを表現したく、360度アプローチできるアイランドキッチンにしました。左手にはパントリーにつながるスペースがあります。パントリーにつながる建具はカフェで見られるようなハンギングドアにし、ウェアハウスをイメージしました。

床はウォールナットに薄く白塗装を施しウォームグレー色のEBFW-1255 ブラックウォールナット柄 を選びました。一見、ナチュラルな雰囲気の色柄ですが、モダンな要素も感じられる新規性のある色柄で、インテリアとの組み合わせによりさまざまな表情の空間を表現してくれます。

室内でも屋外の要素を感じられるよう、あえて床のデザインを切り替えてラナイやサンルームを思わせるスペースを設けました。天井にルーバーを設えて開放感を強調させます。
またミラノのトレンドで見られたアズーロ・エ・マローネというブルーとブラウンのカラーコーディネートを取り入れたく、床と壁面のタイルはブルーにしました。

リビングに設置されたプランターに大ぶりな観葉植物や、しな垂れるグリーンを沢山取り入れました。植物のいきいきとした姿が住まい手に元気を与えます。また葉が作り出す影やゆらぎは、住まい手に癒しの感性を与える要素です。

ダイニングスペースは主にTHONETの家具を選んでいます。ラタンを使い、曲木加工を施した家具からは、独特のあたたかみや安心感を感じます。ペンダントライトもラタン製のものを組み合わせ、空間全体にオーガニックな雰囲気を作りました。

空間のアクセントカラーとして天井はテラコッタカラーの塗装にしました。サステナビリティの観点から土を想起させるテラコッタは、国内・国外ともに長年続くトレンドカラーの一つです。

Tasty

2023年のTastyは「Muted Maturity」をスタイルのテーマにしました。今年のミラノデザインウィークレポートセミナーでもご紹介しましたが、オフホワイト・ベージュ・グレー・ブラウンでまとめられたグレイッシュな空間をDNPではエクレイジュと呼んでいます。ミラノデザインウィーク2023に関するレポートは、こちら(ミラノデザインウィーク2023レポート Vol.4 | コラム・記事 | ソリューション/製品・サービス | DNP 大日本印刷)をご覧ください。そのエクレイジュの中から、全体的に色相をおさえローコントラストでまとめたコーディネートを表現しました。イタリアンモダンらしい高級感のある空間に流動性とダイナミズムも表現しています。 Tastyのペルソナについては、こちら( DNP 5 Styles 2023 | コラム・記事 | ソリューション/製品・サービス | DNP 大日本印刷)をご覧ください。(國東)

床:EBFW-1256 LD建具:WS-5249E 洋室建具:WS-9101E
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リビング・ダイニングの建具(以下、LD扉)は重厚感が感じられるよう、幅を広くし、レバーハンドルも大きめのものを選びました。片袖枠があることで、廊下とリビングをゆるやかに結び、閉塞感がないように工夫しています。WS-5249E ブラックウォールナット柄 は正統派のウォールナットらしい表現で、存在感がある色柄です。

書斎の建具は、LD扉とは異なる意匠を取り入れ、WS-9101E ラスターフィール を選びました。硬質感のあるテクスチャ表現が空間を引き締めます。ここ数年のトレンドである、さまざまなマテリアルを組み合わせ複雑なスタイルをつくりあげるマテリアルミックス空間に一役買っています。また少しだけ扉が開いているような想定をすることで、CGとして空間全体のバランスを整え、空間に奥行き感を与えています。

床はマテリアルミックスのテイストを表現するために、EBFW-1256 アップル柄 を選びました。グレーに染色されたアップルを使った柄で、見る角度によっては木質以外のマテリアルにも見える魅力的な色柄です。

窓際の大きなガラス戸からふりそそぐ光が、リビングを優しく包み込むダイナミックな空間をイメージしました。窓際は外からも見栄えがするよう、デザイン性の高いペンダントライトを設えました。ちょっとした打ち合わせにも使えるよう、テーブルとチェアを設え、パーティションも配置しています。

壁面にはトレンドカラーのグリーンを取り入れたタイルを設えました。光の変化によって、釉薬の艶や絶妙な色の変化が起こり、昼と夜では異なる表情を生み出すでしょう。

来客が多いリビングを想定し、360度アプローチできるFlexformのソファPerryを空間の中央にに配置しました。さまざまなくつろぎ方ができるようなモデュールの組み合わせで、コーヒーテーブルもあえて異なるデザインのものを選んでいます。

ダイニングにはPatricia Urquiolaが日本からインスピレーションを得た、CassinaのSengu Tableを配置しました。脚が特徴的なデザインで、天板も含めマテリアルミックスを意識し、グリーンマーブルを取り入れています。

Advanced

2023年のAdvancedは「Urban Nomads」をスタイルのテーマにしました。近年、同じ趣味を持つ人が集うシェアハウスや賃貸物件が注目を集めています。そこでAdvancedでは、音楽好きが集まるデザイン性の高い賃貸物件での暮らしを想定しました。居室はシェーカスタイルをオマージュし、トラディショナルへの憧れと現代的な利便性を両立したスタイルを表現しています。Advancedのペルソナについては、こちらDNP 5 Styles 2023 | コラム・記事 | ソリューション/製品・サービス | DNP 大日本印刷)をご覧ください。(國東)

床:EBFW-1254 建具:WS-9102E 収納:WS-9102E
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建具はシェーカースタイルをオマージュし、上下の框と中桟の幅を広くしています。腰壁もシェーカースタイルを意識したデザインにしました。巾木は建具と腰壁に合わせ、幅が広くなっています。建具にはWS-9102E ラスターフィール を選びました。抑揚のある質感が面材としての存在感を際立たせます。

床はEBFW-1254 チェスナット柄 を選びました。クラフト感のあるシートデザインで、個性的な空間からナチュラル、エレガントなテイストまで幅広いインテリアに対応できる色柄です。今回は、cc-tapisの個性的なラグPlein Cadreと組み合わせました。

この空間で一番ポイントになっているのは、腰壁の切り替えです。あえて少し高いところで切り替え、大胆なカラー使いにより住まい手の楽しいライフスタイルを表現しています。

単身者の一人暮らしを想定し、程よい乱雑感があるようなベッドスペースにしました。ハンギングで洋服や植物がぶらさがっているのもポイントです。シャワールームの目隠しにもなっています。

洗面スペースとシャワールームはネイビーのタイルで構成しています。筒形の洗面ボウルと円形のミラーをダイナミックに組み合わせ、ネオンの照明で遊び心を演出。光と影のバランスが魅惑的な空間を作り出しています。

デスク回りには、住まい手のお気に入りのものを集めました。一目ぼれして購入したテーブルランプ、少しレトロな印象のBluetoothスピーカー、そしてサックス。家で仕事をしているときも、好きなものに囲まれリラックスしながら執務をしています。

犬を飼っているペルソナのため、ドッグハウスも素敵なものを選びました。住まい手にとって愛犬は相棒のような存在で、ペットグッズにもこだわっている様子を表現しました。

トラディショナルな嗜好と同時に、スマートで便利な暮らしも好むことを表現するために、不在時にお掃除ロボットが掃除をしてくれているシーンをイメージしています。画像は二次元ではありますが、何か動きを感じられる要素を取り入れることで空間がリアルに感じられます。

DNP 5 Styles を構成するWS、EB-Fについて

2023年はWSの新柄15点、EB-Fの新柄5点をリリース。WSの新柄では、昨年のフロストフィールに続き、新しい抽象柄「ラスターフィール」を発表しました。空間のマテリアルミックスが加速する中で、重厚で存在感あるテクスチャ表現が空間を引き締め、インテリアの主役としてもお使いいただける柄です。
下記より新柄のサンプル・カタログ請求が可能です。
サンプル・カタログ請求 (dnp.co.jp)

プロフィール

大学・大学院で心理学・認知科学・色彩心理学などを学ぶ。学生時代は内装の色彩が人間の心理に与える影響や、肌がきれいに見える壁紙の色彩などについて研究。日本色彩学会 2011年学会大会にて発表奨励賞を受賞。2012年DNPグループに入社し、壁紙の企画デザインを担当。2016年より現在の部署にて、ミラノサローネなどの海外展示会や北欧のライフスタイルをリサーチし、トレンド情報を発信するセミナーやWebでのレポート記事を執筆している。関連資格:インテリアコーディネーター、プロモーショナルマーケター

2023年9月時点の情報です。

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