京都大学など数社の連携で歩行学習支援ロボット「Orthobot」を2019年度内に発売

「今使っている装具がロボットに変わる」新しい発想のリハビリ支援ロボットを開発

京都大学
京都工芸繊維大学
佛教大学
関西医科大学
サンコール株式会社
大日本印刷株式会社
フィンガルリンク株式会社

京都大学、京都工芸繊維大学、佛教大学、関西医科大学、サンコール株式会社、大日本印刷株式会社、フィンガルリンク株式会社は、それぞれ協力して、歩行学習支援ロボット「Orthobot」を製品化しました。

 

【概要】

京都大学のCenter of Innovation(COI)拠点において研究開発を進めてきた、歩行学習支援ロボット「Orthobot」をこの度製品化し、2019年度内に発売します。

Orthobotは、歩行に何らかの障害を抱える人々の歩行リハビリテーションを補助する装着型アシストロボットです。この機器はモーターとセンサーを内蔵した本体ユニットを、使用者が歩行リハビリテーションにおいてKAFO(長下肢装具)に取り付けることにより、装着者の歩行を本来有るべき歩行の運動に誘導することができます。

【背景】

現在の日本の脳卒中の患者数は130万人に上ると言われ、後遺症や脊髄損傷等により、歩行に何らかの障害を抱える人も数多くいます。こうした人々には、歩行トレーニングによって歩行機能の改善を図ることが有効ですが、介護やデイケアの施設などで効果的なトレーニングを行うことは、難しいとされています。歩行機能の低下は、易疲労性や転倒リスクの増加、活動量の低下、廃用症候群を引き起こすリスクを高め、最終的には訓練もままならなくなって重症化してしまうという問題があります。

歩行学習支援ロボット「Orthobot」は、その人の歩行に応じたタイミングでモーターが膝を動かすことで正しい歩き方を体験できるように開発されました。これによって、より簡便に日常生活の一部として、正しい歩行の学習を支援していくことを目指します。

【研究手法・成果】

今回、京都大学医学研究科人間健康科学系専攻の脳卒中リハビリテーションやリハビリテーションロボットについての医学的知見を踏まえた着想をもとに、京都工芸繊維大学で制御アルゴリズムが構築され、サンコール㈱と大日本印刷㈱が中心となって機器を開発し、機器の評価を京都大学と佛教大学および関西医科大学で行いました。

○本機器の役割について

リハビリテーションのロボット化は、社会の高齢化が進んだ日本において、健康寿命を延伸させる上で必要な取り組みです。しかし、従来のリハビリテーションロボットは装着に時間がかかり、専門家による設定が必要なため、特に専門家のいない介護現場で簡便に用いることが難しい状況です。本機器は高齢者を含めた歩行が不安定になった方に対して、より簡便に正常な歩行を体験させるための補助を行う機器として開発されました。

○本機器の技術的な特徴について

本機器のアシスト制御は、歩行中の適切なタイミングで膝関節へのアシストトルクをモーターによって加えるように設計されています。制御システムは機器使用者の大腿部(Orthobot本体ユニット)に搭載された大腿姿勢を計測する姿勢角センサー、大腿部の姿勢角から歩行状態を推定し、アシストタイミングを決定する位相角生成器、アシストトルクの出力パターンを決定するトルクテーブルから構成されています。姿勢角センサーから得られる大腿部の動きに関する情報のみに基づいて、どのような歩幅、歩行速度での歩行においても、最適なトルクタイミングでのアシストを可能としました。

○製品ついて

京都大学COIのこれまでの成果をもとに、サンコール㈱と大日本印刷㈱が中心となって製品化し、2019年度内にフィンガルリンク㈱を通じて販売を開始する予定です。本機器は、駆動用モーターの内蔵されたOrthobot本体ユニット、充電池と操作パネルが搭載された腰ベルトユニットで構成され、一般的に脳卒中後の歩行リハビリで使用するKAFO(長下肢装具)に本機器をアドオンすることで、KAFOが最新のリハビリ用ロボットに変化します。駆動部や制御部の最適化により、Orthobot本体ユニットは約1.2キログラム、腰ベルトユニットは約1.8キログラムと軽量に仕上がっています。腰ベルトユニットは介助者が持つことも可能で、装着者への負担を最小限に抑えました。アシスト設定は、3つのプリセットモード(標準・引掛り防止・歩幅アップ)から、目的のモードを選ぶだけで使用できます。また、カスタムモードを使用することにより、より高度な設定も可能です。

【波及効果および今後の予定】

日常生活に障害を抱える人々に対するリハビリテーションロボットは「human-Robot collaboration(人とロボットの共同作業)」の象徴となっています。本機器の社会実装を通じて、自立支援・社会参加を促進し、京都大学COIのテーマである安心安全な「しなやかほっこり社会」を実現していきます。

また、今後京都大学は特定臨床研究を実施し、本機器の効果検証を一層高め、より高度な医療向け機器の開発を行っていきます。


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