2016年9月8日
ナノインプリント技術を活用した電子書籍端末向けフロントライト用導光板の量産を開始
電子書籍端末に加え、反射型液晶など他の反射型ディスプレーにも展開
大日本印刷株式会社(本社:東京 社長:北島義俊 資本金:1,144億円 以下:DNP)は、ナノインプリント技術*を活用して、シートの表面に超微細な凹凸形状を施すことにより、光を効率的に拡散させて電子書籍端末などの表面を均一に明るくするフロントライト用の導光板を開発し、量産を開始します。すでにフロントライトを搭載した電子書籍端末に採用されているほか、今後需要が見込まれる反射型液晶など、他の反射型ディスプレーにも展開していきます。
DNPでは、ナノインプリント技術を活用した事業展開に注力しており、光学製品などに用いられる表面に超微細な形状を施す赤外線用回折光学素子を開発しているほか、医療や自動運転関連などのさまざまな分野での活用を進めています。
*ナノインプリント技術 : 基材上の樹脂などに金型を圧着して、nm(ナノメートル:10-9メートル)からμm(マイクロメートル:10-6メートル)単位のパターンを安定的に転写する微細加工技術
【開発の背景】
電子ペーパーに代表される反射型ディスプレーは、印刷物の紙のように外光が反射して明るくなることで文字などが読めるため、機器内部のバックライトで明るくなる透過型液晶ディスプレーと比べて目の疲れが少なく、電子書籍端末用などに採用されています。現在、電子書籍端末を薄暗い場所でも使いたいとのニーズに対しては、画面前方に搭載したLEDライト(フロントライト)の光を効率的に全体に広げて明るくする導光板をディスプレーの前面に使用する必要があります。また、バックライト用導光板の機能は、光を拡散させることであるためそれ自体は不透明ですが、フロントライト搭載端末用の導光板はディスプレーの前面に配置するため、光を均一に広げる機能に加え、高い透明性が求められます。
これらの課題に対してDNPはナノインプリント技術を活用し、導光板の光を拡散させるパターンの形状を超微細なものとし、フロントライトの光を効率的に広げ高い透明性による視認性と明るさを両立させました。この導光板をフロントライト搭載端末に用いた場合、紙の書籍に近い均一な白色を実現します。
【本製品の特長】
- 超微細な凹凸を精密に形成することにより、LEDの光を効率的に画面全体に拡散するとともに、光を利用者の方に向けることができ、フロントライト照明時には均一で明るい表示を実現します。
- 超微細な凹凸加工により高い透明性を保っている導光板のため、精細な文字などが明確に読み取れるなど、優れた視認性を実現しています。
- LEDの光を効率的に拡散することで消費電力を抑え、一度の充電でより長時間利用できます。
冊子の上にフロントライト用の導光板を載せて撮影。薄暗い場所でも導光板を載せた部分は明るい。
【今後の展開について】
DNPはいま、「知とコミュニケーション」「食とヘルスケア」「住まいとモビリティ」「環境とエネルギー」を事業の成長領域と位置づけ、新しい価値の創出に取り組んでおり、その一環として、さまざまな高い機能を持つシートを活用した新製品の開発を進めています。
近年、デジタルサイネージなどを災害時の情報伝達などに利用することが検討されています。フロントライト搭載端末用の導光板を備えた反射型ディスプレーは、災害による停電や節電の際にも明るい画面表示が可能となるため、今後の普及が期待されています。
DNPは本製品を、フロントライト搭載電子書籍端末のほか、フロントライトを搭載するさまざまな表示装置に展開するとともに、ディスプレーの透明性を上げる用途への展開も進め、2020年度までに50億円の売上を目指します。
※ニュースリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容などは発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承下さい。
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