「FinTech実証実験ハブ」支援案件の完了について

「DNPカード即時発行サービス(KIOSK端末型)」を利用した顔認証技術を用いた本人確認に係る実証実験

2018年10月24日

大日本印刷株式会社(DNP)は、株式会社西日本シティ銀行と共同で、「DNPカード即時発行サービス(KIOSK端末型)」(以下「KIOSK端末」という。)により、銀行口座開設からICキャッシュカードの発行まで行うサービスを実現するため、KIOSK端末に搭載した顔認証技術を用いた本人確認に係る実証実験(以下、「本実験」という。)に取り組んでまいりました。今般、本実験が終了しましたので、結果概要を以下のとおりお知らせします。
なお、本実験は金融庁が2017年9月に設置した「FinTech実証実験ハブ」の支援を受けております。

【実験概要】

1)実験に利用した端末

・KIOSK端末
参考:生活者自身が店舗でICキャッシュカードを即時発行(弊社HPリンク)
http://www.dnp.co.jp/news/10140468_2482.html

2)実験場所

・西日本シティ銀行本店営業部、北九州営業部及び福岡支店の店舗
・大日本印刷敷地内(銀行店頭での実験を踏まえた追加実験を実施)

3)実験期間

・平成30年4月から9月まで

4)参加者

・銀行店舗の来店者等、任意の生活者1,000名以上

5)実験内容

KIOSK端末を用いて以下の流れで本人確認等を行い、1)KIOSK端末による本人確認の信頼性を確保しつつ、2)生活者の利便性、3)銀行事務の効率性の向上が図られるか等を検証しました。

① KIOSK端末が来店者の運転免許証等のICチップから顔写真データを読み取るとともに運転免許証等の真正性を確認
② KIOSK端末が来店者の顔をカメラで撮影
③ KIOSK端末に搭載される顔認証技術を用い、①の顔写真データと②で撮影した顔を照合 

※ 実験では、生活者の口座開設等自体は、窓口の銀行職員による目視での本人確認等により行われており、現行法令に反するものではありません。なお、運転免許証等のICチップから読み取った顔写真データと、端末に内蔵されたカメラで撮影した顔写真を照合して本人確認を行う方法については、本年7月に意見募集が行われた「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部を改正する命令案」(以下「改正規則案」という。)において規定予定の本人確認方法を想定したものです。
参考:「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部を改正する命令案」に対する意見の募集について(電子政府の総合窓口HPリンク)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=120170029&Mode=1

【結果概要】

1)KIOSK端末による本人確認の信頼性の検証

本実験では、複数の異なる環境にKIOSK端末を設置し、生活者の運転免許証等ICチップから取得した顔写真データと本人の顔写真を照合して、誤拒否(本人を誤って拒否)への影響を検証したところ、設置環境(例:著しく設備照明が暗いなど)の影響を受ける場合があることを確認しました。更に、DNP内部で実施した追加実験では、銀行店頭での実験で得たノウハウを利用することで、誤拒否率の大幅な低減を実現したことを確認しました。
また、本実験で入手した顔写真データ及び顔写真を用いて10万通り以上のシミュレーションを行い、構築したいずれの環境下で撮影された顔写真を用いても、誤受入(他人を誤って受入)が発生しないことを確認しました。

2)生活者の利便性の検証

本実験では、生活者が、KIOSK端末の操作を平均2分で完了すること、年齢性別に関わらずKIOSK端末の操作が問題なく行われ、途中離脱者がほとんど発生しないことを確認しました。

※実際のサービス提供では、生活者がスマホやWEBにて口座開設申込みを事前に行った上で来店することを想定(申込情報をもとに、銀行で当該生活者の事前審査を実施)。生活者は、KIOSK端末を利用して口座開設及びICキャッシュカード受取までを自ら行うことが可能となり、銀行での滞在時間が大幅に短縮される見込みです。

3)銀行事務の効率性の検証

店頭における銀行口座の開設等では、銀行窓口担当者が①本人確認書類の真正性確認(偽変造の確認等)、②口座開設等の申し込みに来店した生活者と本人確認書類の名義人の同一性の確認(なりすましの確認等)が必要となっており、事務の効率化が課題となっておりました。
本実験では、誤拒否発生時の対応について検討を要するものの(後述)、KIOSK端末により、①及び②が問題なく遂行されることを確認しました。

4)法令への適合

本実験では、改正規則案第6条第1項第1号ヘを前提としており、金融庁から、同号が求める要件や解釈を提供いただくなどの支援を受けました。

【サービス開始に向けて】

DNPは、本実験で得たノウハウを活用し、銀行と共にKIOSK端末の早期導入、ひいては生活者の利便性向上及び銀行店頭業務の省人化・無人化に向けた準備を進めていきます。また、KIOSK端末の機能拡張により、口座開設済生活者の住所変更受付やICキャッシュカードの再発行等の諸手続事務も実現可能です。
なお、本実験を通じて顕在化した主な課題は、以下のとおり整理しております。

1)誤拒否が発生した場合の対応

本実験では、誤受入は発生しなかった一方、誤拒否の発生が確認され対応としては、以下が考えられるところであり、銀行と個別に協議させていただきます。
・KIOSK端末にビデオ通話(※)システムを搭載し、有人のコールセンターに接続し、本人確認事務を実施する。
・郵送対応に切り替え、必要書類をDNP BPO(business process outsourcing)センターまたは銀行事務センターより転送不要郵便または本人限定受取郵便で送付する。

※ ビデオ通話による本人確認方法は、改正規則案第6条第1項第1号ホにおいて想定される本人確認方法です。

2)来店前の申込未実施の場合の対応

本実験では、生活者がスマホやWEBにて口座開設申込みを事前に行った上で来店することを想定(申込情報をもとに、銀行において当該生活者の事前審査を実施)しております。一方、KIOSK端末で全ての手続きを完了させる方法についても、銀行の要望等を踏まえ、個別に協議させていただきます。

【FinTech実証実験ハブについて】

フィンテックを活用したイノベーションに向けたチャレンジを加速させる観点から、金融庁では、フィンテックに係る実証実験を容易化するための措置を講じる方針を示しています。FinTech実証実験ハブでは、フィンテック企業や銀行等が、実験を通じて整理したいと考えている論点(コンプライアンスや監督対応上のリスク、一般利用者に向けてサービスを提供する際に生じうる法令解釈に係る実務上の課題等)について、継続的な支援を行うこととしています。


FinTech実証実験に関する詳細はこちら
https://www.dnp.co.jp/news/release-topic/2018/FinTech_181024.pdf

金融庁
「FinTech実証実験ハブ」支援決定案件の実験結果について
https://www.fsa.go.jp/news/30/20181024.html

西日本シティ銀行
~顔認証技術を用いた本人確認に係る実証実験~
金融庁「FinTech実証実験ハブ」支援案件の完了について
https://www.ncbank.co.jp/nr/images/2018/181024-1.pdf