金属製品の錆を清潔・安全に抑制!
「DNP防錆性フィルム」の特徴と効果

世の中にはさまざまな防錆方法がありますが、その多くはインヒビター(錆を抑制する物質)が内容物に触れるため、梱包の前後で脱脂や洗浄の手間が発生します。
DNP防錆性フィルムは、独自の蒸着技術とコーティング技術を組み合わせた透明蒸着バリアフィルム「IB-FILM」を使用することで、内容物を汚染することなく錆から保護します。本コラムでは金属性の製品や部品を取り扱うお客様へ、DNP防錆性フィルムの性能と使用例についてご紹介します。

この記事のポイント

  • DNP防錆性フィルムの仕組みを解説
  • 防錆性能比較試験の結果をご紹介
  • DNP防錆性フィルムが強みを発揮する活用シーンとは
  • DNP防錆性フィルムの使い方 ~梱包方法について~

DNP防錆性フィルムの仕組み

DNP防錆性フィルムは透明蒸着バリアフィルム「IB-FILM」を用いたラミネートフィルムです。優れたガスバリア性能により、錆の要因である外部からの酸素と水蒸気をブロックするため、製品や部品を汚染することなく、安全、かつ清潔に梱包、輸送することが可能です。

DNP防錆性フィルムの構造図

基本的な仕様では、最外層に外部からの衝撃に対応する保護層フィルム、中間層に酸素と水蒸気をブロックするバリアフィルム、最内層には熱溶着しやすいシーラントフィルムを配置した3層構成のラミネートフィルムとなります。

お客様の製品や部品に合わせ、フィルムがより内容物を汚染しない無添加仕様や環境に配慮したバイオマス仕様など、カスタマイズが可能です。

性能試験の結果

DNP防錆性フィルムとその他のもので高温高湿環境での変化を比較した試験結果をご紹介します。

SPCCを用いた高温高湿下での加速試験

むき出しの金属材(SPCC、冷熱圧延鋼板)、一般ポリエチレン包装材(バリアなし)にて包装、DNP防錆性フィルムにて包装した各3水準の高温高湿加速試験を実施した際の結果です。

試験条件:金属材料(SPCC)を封入、40℃90%RHの高温高湿庫に22週間保管、目視にて錆を評価
※本試験はあくまで実測となり、実際の性能を保証するものではございません。

金属材料を高温高湿環境で長期保管した加速試験の結果画像

防錆フィルム性能試験の結果一覧表

※一般的な包装材も最内層のフィルムの添加剤の溶出によって、内容物に汚れが付着することがあります。DNPでは添加剤を使用しないフィルムを最内層に選定し、製品を清潔に包装することが可能です。


22週間経過後、SPCC単体(包装なし)では全面に錆が発生、一般ポリエチレン包装材(バリア無し)では点錆が発生、DNP防錆性フィルムに封入したものは変化なし、という結果でした。



高温・高湿環境下での防錆性フィルムの性能

バリアのない一般包装材とDNP防錆性フィルムで高温高湿環境(40℃90%RH)に14日間保管試験を実施。

カップ法環境試験のイメージ

試験方法
JIS Z 0208で防湿包装材料における透湿度試験方法として規格化されている「カップ法」にて試験。温度40℃、湿度90%RHの高温高湿環境下に2週間保管し、約2年相当の加速試験を行いました。

カップ法環境試験の結果グラフ

水分に起因する錆は一般的に相対湿度が60%を超えると急激に発生しやすくなるとされています。一般包装材はすぐに相対湿度60%を超えて錆のリスクが高まっていくのに対して、DNP防錆性フィルムは2週間の加速試験を通して相対湿度60%を下回り、長期間に渡って錆が発生しにくい環境を維持できていることが分かりました。
※本試験はあくまで実測となり、実際の性能を保証するものではございません。



DNP防錆性フィルム3つの活用シーン

1.長期間の保管、輸出が必要な製品

DNP防錆性フィルム活用シーンのイメージ(輸出や保管)

倉庫保管や輸出などのシーンでは、製品がさまざまな温度・湿度環境に晒され、特に錆のリスクが高まります。DNP防錆性フィルムを使用すれば、製品を保管・出荷する際に外部からの酸素と水蒸気をブロックして錆を抑制し、品質を保つことができます。

2.開封せずに検品が必要な製品(中身が見える)

DNP防錆性フィルム活用シーンのイメージ(中身が見える)

DNP防錆性フィルムは透明蒸着バリアフィルムを使用しており、中身の視認性と防錆機能を両立した包装材。製品の出荷検査やユーザー側での受入検査時の作業性が向上します。またアルミレスのため電波透過性に優れ、RFIDタグなどによる製品管理も可能です。


3.異物付着を避けたい製品

DNP防錆性フィルムに使用している透明蒸着バリアフィルムは、人体に安全なバリアフィルムです。また、製品に接する最内層には半導体向け包装材にも用いられる添加剤レスのフィルムの選定もでき、内容物を清潔に包むことを得意とする設計となっています。



梱包方法について

DNPではお客様の製品や部品の形状・包装方法に応じたフィルム仕様や梱包方法をご提案しています。

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梱包方法のご提案例

実際に製品を包装する際は、下記の方法が多くを占めますが、DNP防錆性フィルムの防錆効果を最大に発揮するには、包装内部の酸素と水蒸気を取り除く必要があります。

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かぶせ包装
(防錆レベル☆☆★)

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含気折込包装
(防錆レベル☆★★)

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真空脱気包装
(防錆レベル★★★)

お客様の実際の製品、包装方法に応じた包装材の形状提案、見積りが可能です。
また、DNP防錆性フィルムに関する各種データや、お客様の製品とDNPのフィルムを防錆試験することもできます。気軽にお問合わせください。




※本ページの内容は、2022年9月時点の情報です。





オンラインセミナー アーカイブ

2023年8月7日に実施したオンラインセミナー『DNP P&Iセミナー 新しい防錆包装とリサイクルについて』では、日本防錆技術協会の講師で、弁理士でもある土屋 博隆様をお招きしご講演いただきました。また「DNP防錆性フィルム」についてもご紹介しました。こちらから動画がご覧になれます。


動画:DNP P&Iセミナー 新しい防錆包装とリサイクルについて(46分57秒)


【INDEX】
0:50~ 講師紹介
◇新しい防錆包装とリサイクル (土屋様ご講演)
2:50~ 錆のメカニズムと防錆方法
11:40~ 防錆フィルムとは
18:00~ プラスチック容器・包装の環境対応
◇製品紹介/質疑応答
31:45~ DNP防錆性フィルムのご紹介
38:15~ 質疑応答


講師:土屋博隆様

1978年DNP入社。一貫して包装材料の加工技術及び新規包装材料の開発に従事、具体的にはフレキシブル包装材料・液体紙容器・透明蒸着等の開発やフレキシブルパッケージのLCA評価を行った。この間1998~2004年は包装研究所所長を務める。
2015年退社後、日本包装コンサルタント協会に入会、2016年弁理士登録を行い現在弁理士として特許関連業務を行いながら、日本防錆技術協会の講師として講演や各種包装関連講習会の講演を精力的に行っている。

未来のあたりまえをつくる。®