ファン育成が企業におすすめの理由とは?
成功事例やスムーズに進めるためのポイントを紹介!

少子高齢化に伴う市場の縮小や顧客の価値観の多様化などによって、マーケティングは時代に即したやり方が求められています。その中で、近年では新規顧客の獲得のために、既存顧客をファンとして育成する方法が個人の消費者を対象としたアプローチとして注目されています。   ファン育成は、成功すれば安定した売り上げの維持や新たな顧客の獲得など、企業側にとってさまざまなメリットが期待できます。   この記事では、ファンを育成するメリットや具体的な方法について紹介します。また、ファンの育成をスムーズに行うためのポイントや成功事例についてもあわせて紹介します。
2022年10月公開

企業がファンを育成する時代

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近年、ビジネス上で重要視されているのが、企業のファン育成です。そもそもファンとは、熱狂的な支持者という意味で日常的に使われている言葉ですが、マーケティングにおいては優良顧客にあたります。とはいえ、購入頻度が高く、使う金額が多い一般的な優良顧客とは少し異なります。

ビジネス上で育成するファンは、拡散力の高さが特徴です。熱狂的なファンはSNSや口コミを使い、商品やサービスの魅力について発信してくれます。安定した売り上げと広告力を持ち合わせているという点から、ファン育成は企業にとって有効なマーケティングにつながるのです。こうしたファンの育成を「ファンマーケティング」と呼び、中長期的に売り上げを向上・維持させていくマーケティング手法の一つとされています。

ファン育成が重要視されている理由

少子高齢化に伴い、日本における市場は縮小しています。それにより海外事業を主としてるビジネスを除き、さまざまな市場が縮小し、売り上げが減少傾向にあるのです。また、インターネットやSNSの普及により、顧客自身が商品やサービスの情報収集を行うスタイルへと変化をもたらしました。こうした市場を生き残るために、優良顧客の確保やファンの育成が効果的とされています。

企業がファンを育成する効果とメリット

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一般的な購入者や単なるリピーターと比べて、ファンが企業側にもたらす効果とメリットは大きいと考えられます。具体的効果とメリットは以下3点が考えられます。

【企業がファンを育成する効果とメリット】
■売り上げの向上
■口コミによる新規顧客の増加
■ユーザーの声を獲得しやすい

売り上げの向上

商品やサービスに愛着を持って、高価なものでも購入してくれる熱狂的なファンの獲得は、売り上げ向上につながります。

また、世の中には「20:80の法則」という経験則があります。上位20%の要素で全体の80%を占めることが多いというもので、ビジネスシーンでもこの法則が当てはまる場合があります。上位20%に入るファンを育成すれば、効果的な売上向上が期待できます。

口コミによる新規顧客の増加

サービスや商品の熱狂的なファンは、SNSや口コミ投稿などを使い、自ら情報を発信することが多いです。また、ファンだからこそ細かい点までチェックする人も多いため、精度の高い口コミが期待できます。こうしたファンの投稿を見た人たちが、商品やサービスに興味を持ち、新規顧客になる可能性があるのです。

また、商品やサービスに元々興味があったけれど購入に踏み切れない人にとって、ファンによる投稿は購入前の品質確認に役立ちます。このような層を新規顧客として獲得できるのは、ファン育成ならではの強みです。

ユーザーの声を獲得しやすい

一般的な購入者とは異なり、ファンは商品やサービスを頻繁に利用するという特性があります。利用を繰り返すことにより、企業側も気づかなかった点に気づくことも珍しくありません。

こうしたファンのリアクションを企業側がキャッチして反映させることにより、商品やサービスの品質向上につながります。ファンの意見をうまく取り入れることができれば、さらなる顧客の増加が期待できるほか、ファンの購買意欲を持続することも可能です。ユーザーの声を獲得しやすいのも、ファン育成ならではの特徴といえます。

ファン育成の具体的な方法

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ファン育成をする方法として、以下の具体例を紹介します。

【ファン育成の具体例】
■ファンミーティング:企業がファンに対して直接サービスをするイベント
■ファンコミュニティ:独自に設計されたコミュニティでファン同士の交流を促進
■サブスクリプション運営:月額課金で利用できるサービスの提供
■メルマガ配信:企業が顧客に対して定期的にメールを配信
■SNSキャンペーン:各種SNSを駆使して顧客との接点を増やす
■ライブ配信:リアルタイムで商品やサービスに関する情報を発信
■クラウドファンディング:支援者を募り新商品やサービスの販売
■サンプリング体験:商品やサービスの試供品を提供して実際に体験してもらう

上記の方法以外にも、多種多様な媒体を使ったり、独自のやり方でファンを獲得したりする企業が増えています。

ファン育成をスムーズに行うためのポイント

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ファン育成をスムーズに行うためには、以下のポイントを押さえましょう。

【ファン育成を成功させるポイント】

■ファンのニーズを把握する
■ファンと密にコミュニケーションをとる
■ファン同士が仲良くなれる場を提供する

ファンのニーズを把握する

ファンのニーズを把握しておくことは、ファンの育成を行う上で大切です。ニーズを把握することで、商品やサービスの品質向上や問題解決につながるほか、企業側が思いつかなかった商品やサービスの誕生にもつながる可能性があります。

ファンのニーズを把握するためには、一定数のファンを集めて満足度調査を行う方法があります。満足度調査はDMやSNSの活用など、企業と顧客に合ったやり方で行いましょう。

また、新商品のモニターを募集する方法もあります。実際に商品やサービスを使用してもらい、具体的な意見を聞きましょう。こうした意見を反映させて、ファンのニーズを詳細に把握していきます。

ファンと密にコミュニケーションをとる

インターネットの普及などにより、ファンの価値観は多様化しているため、画一的な情報発信ではファンの育成は難しくなっています。そのため、一方的に情報を流すのではなく、ファンと密なコミュニケーションをとることで、スムーズなファン育成が期待できます。

例えばSNSで商品やサービスのエゴサーチを行い、言及している投稿に対して「いいねボタン」を押すといった方法があります。返信をしてファンとやり取りをする方法もありますが、いわゆる「炎上騒ぎ」につながらないよう、言葉遣いや態度などに気を付けてコミュニケーションをとりましょう。

ファン同士が仲良くなれる場を提供する

ファン同士で語り合える場を設けることで、お互いの購入意欲をさらに促進することができます。例えばSNSを駆使してグループを作ったり、動画サイトのコメント欄を開放したりなど、コミュニティを作ることで実現できるでしょう。

とはいえ、企業側が積極的に介入してしまうと、普通の情報発信の場になってしまう可能性があるため注意しましょう。ファン同士が能動的かつ積極的に交流できる場を設けることが重要です。また、発言が多いファンや注目度が高いファンに対してインセンティブを用意すれば、コミュニティの場はさらに活発になるでしょう。

企業によるファン育成の成功事例

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ここでは、ファン育成に取り組み、業界の中でも成功している企業の事例について紹介します。

株式会社アニメイト ✕ クラウドファンディング

株式会社アニメイトは、アニメや漫画、ゲーム関連の商品を扱うチェーン店です。

株式会社アニメイトが取り組んだファン育成の方法として、ファンがプロジェクトを支援した金額に応じて返礼品を返す「ソレオス」というサービスがあります。プロジェクトオーナーは実現したいプロジェクトを募集して、支援者から支援金を募ります。支援するとプロジェクトオーナーが返礼品として、制作物や体験などを提供する仕組みです。

支援したことで特別な返礼品が受けられるのは熱狂的なファンにとっては喜ばしいことであり、口コミが活発化したり、ファン同士で盛り上がったりすることが期待できます。それに伴ってさらに購買意欲が掻き立てられることで、売り上げにつながっています。

スターバックスコーヒー ✕ SNSキャンペーン

スターバックスコーヒーは、1971年にアメリカで誕生したコーヒーチェーン店です。

スターバックスコーヒーは、一般的な企業が行うCMや広告を使って宣伝をしません。代わりに、SNSを駆使してファンの獲得に成功しました。スターバックスコーヒーにおいて、購入者とのコミュニケーションとしてSNSが重要なツールとなっています。

新商品が決定すればSNSで積極的に情報発信を行い、商品を購入した方を対象にアンケートを実施するなど、SNSをうまく活用しています。実際に購入者の意見を取り入れて商品展開するなど、柔軟な対応と密接な接点がファンを魅了しています。

カゴメ株式会社 ✕ ファンコミュニティ

飲料や食品を取り扱うカゴメ株式会社は、明治32年創業から現在に至るまで、多種多様な商品を開発し、提供してきました。そんなカゴメが取り組んだファン育成が、ファンコミュニティの活用です。

カゴメが提供している独自のファンコミュニティ「&KAGOME」は、レシピや商品レビューといった情報を閲覧できます。カゴメ側とファンだけでなく、ファン同士で交流できる掲示板も用意されています。

カゴメ株式会社はヘビーユーザーの売り上げが全体の多くを占めているため、ヘビーユーザーの意見を積極的に取り入れることで売り上げを向上させています。それゆえに、会員数を増やすことを目的にせず、あくまでコミュニケーションを重視している点が、ファンにとって魅力的に映っているようです。

まとめ

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既にいる自社の「ファン」を活用して売上を向上させたり新規顧客を増やすことは、企業活動において有効な手段のひとつです。購入頻度と金額が高いファンを育成することで、ファンの育成は売り上げアップや新規顧客の獲得など、さまざまなメリットが期待できます。

とはいえ、ファンを育成するための方法はさまざまあります。単に成功事例をまねするだけでは効果は期待できないので、企業とファンの属性に合わせたやり方を模索していきましょう。

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