DNPが始めるファンビジネス支援。
安全安心な顧客管理を柱に、変化に対応できるサービスを提案

少子高齢化を迎える中、見込み客の満足度をあげ、自社の“ファン”にする「ファンビジネス」が注目されています。DNPでも、この分野でお客さまを支援できるよう新たなサービスを展開中です。今回は、その立役者である、出版イノベーション事業部 CLMビジネスセンター CLM企画本部 ファンコミュニティビジネス開発部の山田 洋介が「ファンビジネス」について語ります。
2022年12月公開

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出版イノベーション事業部 CLMビジネスセンター CLM企画本部 ファンコミュニティビジネス開発部 山田 洋介

既存メディアのDXを進めて読者からファンへ

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ーファンコミュニティビジネス開発部の事業内容を教えてください。

山田:初めに、我々は出版イノベーション事業部に属し、これまでは雑誌や書籍といった紙媒体の受託製造に取り組んできました。しかし業界は縮小傾向にあり、我々としての支援を考える中で、雑誌ビジネスのDX(デジタルトランスフォーメーション/デジタル変革)に着目するようになりました。

ここでポイントになるのが読者のファン化です。例えば当社が協業する株式会社 ゴルフダイジェスト社で考えると、週刊や月刊の『ゴルフダイジェスト』の読者は当然ながらほぼ全員がゴルフのファンですよね。この雑誌ビジネスのDXを進めたのが会員制のウェブメディア「Myゴルフダイジェスト 」で、2021年春にスタートさせました。

雑誌にはファンクラブの会報誌のような側面があり、この部分をD2C(Direct to Consumer/消費者直接取引)、あるいはユーザー起点でシフトチェンジさせ、ビジネスにしようというのが我々のコンセプトです。部署名の通り「雑誌の読者=ファン」と位置づけ、コミュニティビジネスに転換させていくことをミッションとしています。

ー『Myゴルフダイジェスト』では、どのような取り組みを実施していますか?

山田:ゴルフダイジェスト社とは会員数の推移やアクセス数などを共有しながら「改良の余地がある」という共通認識でいます。

一番の人気企画はゴルフ漫画で「どのような会員に読まれているのか」「その人は他にどんな記事を読んでいるのか」といった反応を見て方向性を探りつつ、定期的にアンケートを実施し、求められるインセンティブを把握している状況です。

現在は記事の配信が中心ですが「その一歩先にあるサービスや体験をどのように作り、会員を喜ばせるか」という部分を、先方と毎日のように話し合っています。

ーファンコミュニティビジネス開発部では、具体的にどのようなことに取り組んでいるのでしょうか?

山田:読者の会員化や、彼らにどんな価値を提供できるのかを考えています。ここでいう価値とは、非公開のコンテンツ、EC(Electronic Commerce/電子商取引)による限定グッズの販売、希少な体験ができるツアーなどです。

この領域をビジネスにするのが我々の役目であり、まずは企画を立て、メディアの皆さまとともに新しい事業を始めることが大切な役割だと考えています。

ーこうしたファンビジネスへの取り組みを、どのように発信していますか?

山田:我々も試行錯誤しながらサービスを開発している状況で、新たに得た知見などをメルマガやコラムを通じて発信しています。「共鳴してくれる方々と一緒に事業を作っていきたい」との思いからです。

また、不定期でオンラインセミナーを開催し、2021年度はゴルフダイジェストの責任者や『東洋経済オンライン』の編集長、メディアのDXという視点から『BuzzFeed Japan』の創刊編集長にもご登壇いただきました。武蔵野美術大学の教授を招き、メディアのデザインシンキングとファンビジネスの親和性について意見交換したこともあります。

さらに直近では、プロバスケットボールチーム『川崎ブレイブサンダース』のマーケティング戦略部長をお呼びしました。まさにチームそのものがファンビジネスであり、その方は株式会社ディー・エヌ・エーのゲーム事業も手掛けていて、ファンマネジメントに関するリアルとの比較が興味深かったです。

川崎ブレイブサンダースはYouTubeなどの新しいメディアを用い、ファンの育成やエンゲージメントの醸成を始めています。我々もオンラインメディアを活用し、今まで以上にユーザーとのつながりを強化していこうと、方向性を再確認できました。

こうした我々の姿勢が、出版社の経営層や雑誌担当者を中心に「一緒にDXしましょう」というメッセージとして伝わればと願っています。また一般企業の方々も、商品やサービスの提供を通じて消費者、つまりファンと向き合っています。出版社と同様にCRM(Customer Relationship Management/顧客関係管理)をファンマネジメントに転換するサポートができたらと思います。

読者やユーザーのリアクションを知り、双方向コミュニケーションへ

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ーターゲットになるのは、すでにファンマーケティングに取り組んでいる企業でしょうか? あるいは未着手の企業ですか?

山田:その両者です。前者については、人員やシステムに投資してみたものの、まだ課題を抱えているなら解決の役に立ちたいです。一方で未着手の企業には「今こそ、DNPと一緒に始める時」と伝えたいですね。我々も勉強中で柔軟な姿勢で臨めるので、ともにこの領域を作り上げていきたいです。もちろん、ファンビジネスをまったく検討していない企業とも、ぜひ話をしてみたいです。

ーなぜ「今こそファンマーケティングを始める時」なのでしょうか?

山田:より正確に言うと「もう始めなければ」でしょう。紙媒体に依存する出版社、あるいはネット関連事業に着手していない一般企業の方々には、すでにネットメディアでは読者やユーザーとダイレクトにつながる環境が整っていることに気付いてほしいです。

従来、読者やユーザーとは、雑誌や製品を作って店舗で販売する「オフライン&一方通行」の関係でしたが、今は「オンライン&双方向」に変化しています。彼らの反応を的確にとらえて次のアクションにつなげるという、いわゆるPDCAが回しやすくなっているのです。

また、出版社や各企業が培ってきたコンテンツや商品のクオリティには一日の長があるものの、このままではユーザーの反応で盛り上がるオンラインメディアに淘汰される可能性があります。だから質の高いコンテンツや製品を、さらに現代に合った価値あるものとして持続させていくために、今こそファンメディアとして進化させる必要があると考えています。

顧客は「売り場で待つ」から「ネットで獲得する」へ

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ー特にアプローチしていきたい業界や業種はありますか?

山田:「ある分野にこだわる読者がいる」「熱量のあるユーザーがいる」といった要素があれば、業界や業種を問わず多くの企業と会いたいです。例えばコーヒーの入れ方やガーデニングといった趣味の領域をはじめ、旅行、ファッション、地域など、一定の意志や共通項を持つファンがいるのであれば、力になれると思います。

ー出版業界では、顧客獲得の手法がアナログからデジタルになってきたことでどんな変化が起きているのでしょうか?

山田:ネットメディアの登場以前、必要な情報を得る場は基本的に書店でした。例えば海外旅行を計画した時、どの街に、いくらで行けて、何が楽しめるのかを調べるため、人々は情報源である売り場に足を運びました。その中でタイムリーに情報を提供してきたのが雑誌です。

今は旅行に出るなら、ほとんどの人がまずスマートフォンを手にします。つまり、先ほど話した旧来の高品質で高価値なコンテンツを「書店で読者が手に取ってくれるのを待つ」から「ネットに載せて読者を獲得しにいく」という形に変化させるタイミングなのです。

ー既存のアナログなメディアとウェブメディアで、どう差別化を図るのでしょうか?

山田:紙媒体の記事をそのまま載せても、大した効果は期待できません。何よりも、参加ユーザーのリアクションによってコンテンツが変化する仕組みを考えることが大切です。

なぜなら、ユーザーがウェブメディア内で思いを語ることにより、コンテンツの価値が上がるからです。紙媒体の記事はそのための発火点であり、やがてウェブメディアが自立的に進化するようになれば、紙とウェブのメディアが両立する価値を創造できます。

ー各社のファンビジネスについて、どのような課題を感じていますか?

山田:読者やユーザーにどんなインセンティブや価値を提供すれば会員になってくれるのか、正解を見いだせていないことが課題です。メディアや社名、製品などは認知されていても、どうすればファン化できるのか、この入り口で悩んでいる企業が大多数です。

その後は「会員とどのようにコミュニケーションを取るのか」「アクションやリアクションをいかに計測し、次の行動につなげるか」、そして「どうやってファンビジネスを維持させていくのか」という点でもつまずいているようです。答えは千差万別であり、その時の選択や判断が鍵になりますね。

提供するサービスは世の中の変化に対応できる、拡張性ある機能を整備

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ー具体的にどのようなサービスを展開する予定ですか?

山田:会員管理やウェブ発信に関するサービスをローンチする予定です。ファンコミュニケーションに向けて、ユーザーを認識して行動やリアクションを把握・設定する仕組みや、一般ユーザーから会員になってもらうための仕掛けを準備しています。

サービスモデルとして近いのは動画配信サービスですね。参入している各社は映画やスポーツが好きな人を会員化し、既存コンテンツをラインナップするだけでなく、オリジナルコンテンツを制作・配信して価値を高めているように思います。

我々がめざすのも同じようなビジネスですね。なぜなら、例えばお客さまの一つとして想定している旧来メディアには、膨大なコンテンツを生み出すケイパビリティや、すでに保有している魅力的なコンテンツがあるからです。これらを求めるファンに最適な形で届けつつ、リアクションを見ながら、より良いコンテンツの組み合わせを提案していきたいです。

ーどのように収益化を図る予定ですか?

山田:マネタイズについては3つの方向で考えています。

1つ目は会員そのものを価値と考え、お客さまのマーケティング活動として広告を掲載することです。こちらはB2Bですね。2つ目はEC、3つ目は直接課金や体験価値で、どちらもB2Cです。体験価値では「モノを買ってもらう」「イベントやセミナーなどの体験を買ってもらう」というマネタイズがあり、記事や漫画を読むことも時間消費型の体験価値でしょう。

ー今後の展開について教えてください。

山田:まず、何よりも我々が自信を持って提供できるのは「安心安全な会員管理」です。金融機関や行政の仕事にも携わっているDNPならではのアピールポイントであり、個人情報の取り扱いやセキュリティ面に関しては、他社よりも秀でていると自負しています。

それをふまえた上で、先行してDXを進めているゴルフダイジェスト社での経験を生かし、EC、クラウドファンディング、あるいは画像や動画といったNFT(Non-Fungible Token/非代替性トークン)など、拡張性のある最新サービスや機能を備えていきたいです。

また、ユーザーとメディアのみならず、ユーザー同士のコミュニケーションも想定し、FacebookやInstagram、LINEなどとの棲み分けを考えています。クローズドなメディアにしかできないことを見つけていきたいですね。

コロナで世の中は一変しました。また、かつて私はガラケーの有料チャンネル事業を手掛け、着メロやニュース記事で収益を考えていたものの、スマホの登場で一気にゼロになった経験を味わっています。

だからこそ、DNPが提供する安全安心を不動のものとして中心に据え、付随するサービスや機能は試行錯誤できるように整備することを勧めます。我々も目まぐるしい変化に対応しながら、ファンコミュニティビジネスの持続化をめざします。

DNPの関連サービス

DNP ファンメディアプラットフォーム ®
ファンとは、企業活動におけるビジョンや価値観に共感する大切なお客さまです。ときにファンは自ら発信者となり、さらなるファンを呼び込んでくれる可能性があります。 つまり、ファンが集い、ファンを広げ、ファンを育てる場所を持つことで、ファンがメディアとなり、ビジネスをより強くします。 DNP ファンメディアプラットフォームは、低コストで手軽に課金対応、会員制メディアを構築するサービスです。

出版社における関連事例

AIが読者の好みを診断して最適な記事を抽出する会員制のサービスを開発
大日本印刷株式会社(本社:東京 代表取締役社長:北島義斉 資本金:1,144億円 以下:DNP)は、雑誌・書籍の読者に対する提供価値の拡大に向けて、デジタルメディアを軸としたビジネスモデル構築の支援サービスを出版社等に提供しています。今回、会員登録した読者が悩みや好みなどを登録し、それに対してマッチングエンジンが会員のパーソナルデータも勘案しながら「診断」を行い、会員一人ひとりに最適な記事を抽出して提供するサービスを開発しました。

DNP ファンメディアプラットフォームは、DNP大日本印刷の登録商標です。

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