アルコールチェックだけじゃない!社有車の安全運転に必要なポイント

安全運転を守るため、2022年の法改正により社有車運転前のアルコールチェックは義務化されました。しかし、社有車を安全に運転するために徹底すべき行動は、アルコールチェックだけでは不十分です 。例えば、疲労の蓄積や集中力の低下により、事故を起こしてしまうことがあります。また昨今、運転免許証の有効期限切れや不携帯、無資格運転、乗車する車両の車検満了日切れといった問題も増加しています。 社員の安全と会社のコンプライアンスを守るために確認すべき要素は多岐にわたり、安全運転管理者による日々の注意喚起が重要です。
本コラムでは、社有車運転における見落としがちなリスクと対策方法を解説します。
(2025年7月時点の情報です。)

社有車運転に関するリスク

運転免許証(以下、免許証)にまつわるリスク

免許証とは、自動車を運転するために必要な、都道府県公安委員会が発行する公的な証明書です。免許証に関する規定は道路交通法により定められており、運転時には必ず携行する必要があります。

有効期限切れ/うっかり失効

免許証には有効期限が定められており、有効期限は免許証の区分(優良運転者、一般運転者、違反運転者など)や年齢によって異なります。例えば、いわゆる「ゴールド免許(優良運転者)」は有効期限が5年で、違反運転者は有効期限が3年です。いずれの種類の免許も、期限を迎える前に更新手続きを行う必要があります。有効期限が切れてしまった場合、免許証としての効力は失効するため 、その状態での運転は「無免許運転」とみなされ道路交通法違反として罰せられる可能性があります。
免許証の更新時期が到来すると案内はがきが届きますが、この案内に気づかず意図せず有効期限を切らしてしまう、通称「うっかり失効」は毎年多く発生するヒューマンエラーです 。転勤や引っ越しなどで転居手続きを済ませておらず、更新案内が手元に届かなかったというケース や、以前は免許証の券面に記載されている有効期限は元号で表記されていたため、平成から令和に変わった際に「平成35年」など存在しない年表記の免許証が手元にあり、正しい有効期限を把握できずにうっかり失効するケースも。 さらに、2025年3月24日から発行が始まった「マイナ免許証」には券面に免許証の有効期限の記載がないため、うっかり失効のリスクはさらに高まります。

免許更新案内のはがき、平成35年表記の免許証、マイナ免許証の画像

前述したように有効期限切れのまま運転してしまうと無免許運転となるため 、社有車運転時は免許証の有効期限が切れていないか毎回必ず確認することが推奨されます。 現行の免許証の場合は、券面に記載されている期限が過ぎていないかを目視で確認する、マイナ免許証の場合は警察庁が提供するマイナ免許証読取アプリを使用してICチップ内を確認するなどの方法があります。

免許不携帯

運転時には必ず免許証を携帯する必要があります。手元にないだけで 「免許不携帯」となり道路交通法違反として扱われます。手元にないだけで自宅にあるという場合でも、もちろん免許不携帯です。管理側の定期的な免許証のチェックによって、「免許証を携帯していなくても大丈夫」「紛失してしまったけど面倒くさいから指摘されるまで放置」といった心の隙や油断を生じさせないことが肝心です。

車両にまつわるリスク

車検満了日切れ

安全運転を保つために、車両の管理も必要です。車検とは自動車検査登録制度のことで、自動車に故障がないか、安全に走行できるかなど保安基準に適合しているかを定期的に確認し、車両の合法性を証明するものです。この車検にも有効期間が設定されており、車検満了日が切れる前に法定点検を受ける必要があります。車検満了日の管理を紙で行っている場合は見逃しやすく、定期的に確認するなど運用ルールを徹底する必要があります。

リースの社有車を使っている場合も注意が必要です。車検の管理もリース会社に任せていたため実は社員が乗っている車両の車検満了日が切れていたのに気づかなかった、という事例も発生しておりしばしばニュースに上がっています。

運転能力にまつわるリスク

無資格運転とは

無資格運転とは、免許証は持っているが、その運転免許の資格に含まれていない車両を運転することです。例えば、普通車の免許証を持っている方は、準中型以上の車両を運転してはいけません。無資格運転は、無免許運転(免許証を持っていないのに運転すること)と同じ扱いとなり、道路交通法違反となります。2017年に道路交通法の一部が改正した影響で、取得時期によって、同じ準中型の資格でも5~7.5トンの車両が運転できる人と5トン未満の車両しか運転できない人がいるため、運転資格を確認する際は、免許の区分だけでなく取得時期まで考慮する必要があります。

普通車/準中型車/中型車…などさまざまな車格の社有車を保有している企業は、社員がどの車両の運転資格を持っているのか確認・管理することが重要です。

居眠り運転

居眠り運転は、重大な事故を起こしかねない危険な行為です。居眠りは、寝不足の状態のときにだけおこるものではありません。十分に睡眠をとったはずなのに、単調な高速道路を走っていたら気づかないうちに集中力が落ちていて危険な運転をしていたという例もあり、疲労の蓄積・単調な環境・緊張からの解放による気の緩みなど、さまざまな要素が影響します。

体調を万全にしておくのはもちろん、眠気を感じたらストレッチをしたり、ガムを噛んだり水分補給をするなどして早期に対策する必要があります。

それぞれのリスク対策方法

リスク 対策 実施タイミング
免許証の有効期限切れ ・目視でチェック
・運転者リストを作成して、期限が近い人にアナウンスし更新を促す
運転前のチェック
免許証の不携帯 ・目視で現物チェック
無資格運転 ・運転者リストを作成して、乗車する車両の車格と照合する
車検満了日切れ ・車両リストを作成し、車検満了日を管理
・リース会社へ丸投げせず、自社で情報集約することでダブルチェック
居眠り運転 ・まぶたの開閉や首の傾きを検知するセンサー
・車線逸脱検知センサー
・アラート機能付きのドライブレコーダー
運転中のチェック

安全運転の厳格化と効率化におすすめ

社有車運転のさまざまなリスクの対策を講じるには多くのチェック要素があり、管理者の負担が多くなります 。効率よく安全運転を徹底・厳格化するために、運用しやすいワンストップの管理システムを導入することをお勧めします。

免許証の有効期限/不携帯/車両満了日切れ/無資格/酒気帯びをまとめて管理するなら!

DNP安全運転管理サポートシステム(VD-3)

運転者がアルコールチェックおよび免許証の確認を完了しないと、車両の鍵を取り出せない仕組みを採用しているため、チェック漏れを防ぎ、厳格なチェックを徹底することができます。
免許証は、専用のハード(ICリーダー)にかざすだけで、免許証の不携帯/有効期限切れを確認できます。
車両マスタには車検満了日や車格を登録できます。車検満了日を過ぎている車両を選択した場合は点呼結果がNGとなるため、車両の鍵が取り出せません。車両を選択する際、自分の運転資格に合った車両しかプルダウンに表示されないため、自分の運転資格を逸脱した車両を誤って選ぶことを防ぎます。
一連のフローで、免許証チェック、アルコールチェック、車両鍵の受け渡しが行えます。

DNP運転免許証読み取り/認証ソフトウェア

免許証によるドライバー管理、ICチップデータを活用した個人認証、ICチップデータとスキャン画像による本人確認時のチェック(真贋判定補助)などの機能を持つソフトウエア開発キットです。運送業界や配送業界のお客様など、免許証から運転可能な車格を特定する仕組みをお探しの場合はご相談ください。

居眠り運転のリスクを軽減させるなら!

スリープバスター/ドライブリズムマスター

シートに座ることでドライバーの体調変化をモニタリングします。居眠りなどヒューマンエラーにつながる体調変化の兆しを把握し、安全運転をサポートする製品です。自覚または自覚できていない体の状態の小さな変化に着目したバイタルセンシング技術により、外見や動きだけでは判断できないリスクに先回りして対応できます。

  • スリープバスターは、株式会社デルタツーリングの登録商標です。

まとめ

本コラムで紹介したとおり、社員の安全と会社のコンプライアンスを守るために確認すべき要素は多岐にわたります。免許証、車両、運転能力にまつわるリスクを低減するために、安全運転管理者による日々の注意喚起が重要です。形骸化させないためにも、効率よく安全運転を徹底する仕組みを考え、対策を講じましょう。

  • 内容について、予告なく変更することがあります。

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