【第3回】 コストからビジネス急拡大の武器へ
――攻めのDXと、最後まで走りきるパートナー選び
過去2回の連載を通じて、2027年の法改正に向けた「タイムリミット(第1回)」と、技術選定における「セキュリティの隠れたリスク(第2回)」について議論してきました。
最終回となる今回は、視点をさらに未来へと広げます。法改正対応を単なる「守りのコスト」で終わらせず、ビジネスを飛躍させる「攻めの投資」に変えるためにはなにが必要なのか。
サイバートラスト株式会社(CTJ)の金子氏、山田氏とともに、「対面業務の経営課題」、「急拡大に耐えうる事業基盤」、そして担当者を孤立させない「伴走型支援」の真価について語り合いました。
※記載内容は、2026年3月時点のものです。
▼前回までの対談記事はこちら
【第1回】2027年の法改正はゴールではない ――実務担当者が気になるタイムリミットとリスク【第2回】「JPKI一本化」の課題 ――担当者が直視すべき機会損失と隠れたリスク
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1. 店頭業務の「見えないコスト」を削減する ― 対面DXの本質
――これまでは主にオンライン(非対面)の話をしてきましたが、今回の法改正や技術トレンドは「対面・店頭」の業務にも影響するのでしょうか?
山田: はい、非常に大きな影響があります。むしろ、対面業務こそデジタルの恩恵を最も受けやすい領域と言えるかもしれません。
実際にお客さまと話していると、店頭での本人確認はいまだに「運転免許証のコピーをとる」「裏でファイリングして鍵付きキャビネットで保管する」といった、かなりアナログな運用が残っているのが実情です。
児島: はい、よく伺います。「取りあえずコピーをとって保管」という運用ですね。
山田: そうです。しかしそれは、経営視点で見れば単なる事務コストであるだけでなく、紛失リスクの塊でもあります。
今回の法改正やトレンドに合わせて、店頭でもタブレット等でICチップ読み取りを導入してしまえば、真正性の確認が一瞬で終わるだけではありません。読み取った正確な住所や氏名がそのままデジタルデータとして自社システムに連携されるので、手入力ミスもなくなりますし、紙の管理コストも一掃できます。
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| サイバートラスト株式会社 山田 拓輝 氏(プロダクトマネージャー) |
つまり、法対応をきっかけに、長年の課題だった「店舗業務のDX」を一気に完結できるチャンスなんです。
DNPさまのSDKであれば、オンライン(eKYC)も対面(店舗用アプリ)も、さらには運転免許証も在留カードも、一つの仕組みの中で完結できます。一度サービスを導入すれば、将来、本人確認書類が増えても対応してくれる。
この拡張性こそが、変化の激しい時代においてシステムを選定する際の決定打になるはずです。
2. 「明日、申し込みが10倍になる」と言われたら、御社のシステムは耐えられますか?
――しかし、経営層や決裁者からは「本人確認はコスト」と見なされがちです。この認識はどうとらえるべきなのでしょうか。
金子: そこは明確に、「コストではなく、顧客を獲得するための投資である」ととらえ直すべきです。
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| サイバートラスト株式会社 金子 大輔 氏(PKIプロダクト統括部 統括部長) |
例えば、大規模なキャンペーンや市場環境の急変によって、申し込みが平時の10倍、100倍に急増するタイミングがあったとします。
しかも、そのタイミングは戦略上の理由などで直前まで現場に知らされないことも珍しくありません。
もし、「明日から申し込みが10倍になります」と急に言われた時、旧来の「人の目視」に頼る審査体制のままで耐えられるでしょうか。
児島:BPO(業務委託)を請け負う立場から言わせていただくと、物理的には不可能です。
採用や教育といった準備期間も考えると、体制構築には早くても数週間はかかります。
アナログな運用だけでは、突発的なビジネスチャンスに対応するには限界があります。結果として審査がパンクして、「手続き完了まで数週間待ち」といった事態に陥る可能性さえあります。
金子: その「数週間」の間に、熱量の高い顧客はどこへ行くか。
すぐに手続きが完了する競合他社へ流れてしまいます。これが最大の「機会損失」です。
一方で、ICチップ読み取りなどのデジタル基盤に先行投資していた企業は、アクセスが急増してもシステムが自動処理するため、お客さまを待たせません。
児島: なるほど。デジタル化の最大の恩恵は、そうした「予測不能な急増」をシステムが吸収してくれる点にありますね。
法対応を「仕方なく対応するもの」ととらえるか、「ビジネスの足腰を強くする機会」ととらえるかで、勝負が分かれるわけですね。
金子: その通りです。ビジネスが急拡大する瞬間に、ボトルネックを作らず、顧客をすべて受け入れられる体制を持っているか。
ここで先行投資を決断できた企業だけが、将来の顧客争奪戦(パイの奪い合い)において、アクセルを踏み込んで勝つことができるのです。
3. 「もうわからない」と悩む担当者に、われわれが並走します
――とはいえ、技術も法律も複雑化する中で、担当者1人ですべてを判断するのは困難です。
金子: そうなんです。だからこそ、「誰と組むか」が重要になります。
本人確認の基盤は、一度導入したら終わりではなく、事業を続ける限り永続的に利用する「インフラ」です。極端な話、数年でなくなってしまうようなベンダーにお願いするのはリスクが高すぎます。その点、DNPさまはICカード製造からBPOまで幅広い事業基盤をお持ちですし、われわれサイバートラストも認証局として25年以上、社会のトラストを守り続けてきた実績があります。
お客さまが事業を続ける限り、半永久的に安心して背中を預けられる組合せだと自負しています。
児島: ありがとうございます。私たちも、単にSDKという「ツール」を販売して終わり、とは考えていません。
社内にはICカードの製造からBPO、店頭端末、DXサービスといったITとモノづくりの両面で提供できる体制があります。
提案時から導入後の運用まで、お客さまの悩みに寄り添って、解決まで一緒に汗をかく「伴走型」のサポートこそが、DNPの最大の提供価値だと思っています。
金子: 私たちサイバートラストは、「すべてのヒト、モノ、コトに信頼を」というパーパスを掲げ、安心・安全なデジタル社会の実現をめざしています。
「もう複雑すぎてわからない」という状態でも、まずは相談してほしいですよね。
制度理解から運用まで、お客さまのビジネスを支えるインフラとして、われわれも一緒に走り続けますから。
児島: 心強い言葉です。われわれDNPにも「未来のあたりまえをつくる。」というコーポレートステートメントがあり、この本人確認サービスもこれからの社会の「未来のあたりまえ」になるとの使命感を強く感じています。
法改正対応はその一つの通過点に過ぎず、その先にある新しい社会インフラをお客さまと作り、ビジネスを拡大させるための「強い基盤」につながるように取り組んでいきたいと思います。
【連載完結】
法改正対応を「コスト」から「成長への投資」へ。
現状分析からシステム導入、BPO運用まで、お客さまと並走して課題を解決いたします。
このコラムで紹介した製品・サービス
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金融機関を中心に、本人確認機能を提供
オンライン本人確認(eKYC)総合サービス
eKYC(electronic Know Your Customer)は、オンラインで本人確認を完結させる仕組みです。DNPは「認証DX」を推進し、非対面・対面を問わずセキュアな「オンライン本人確認(eKYC)総合サービス」を提供しています。犯収法準拠の銀行口座開設等の厳格なシーンから、非金融分野のライトな本人確認まで幅広く対応。最新の法令やガイドラインに合わせ継続的にアップデートを行うため、常に最適な環境で導入いただけます。利用シーンや顧客状況を丁寧にヒアリングし、全方位から最適な仕組みを提案・サポートいたします。
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【バックオフィスサービス】~オンライン申請での本人確認(eKYC)に対応したバックオフィスサービス~
eKYC審査業務
2018年11月30日に犯収法の施行規則が改正となり、オンラインで完結する本人確認(eKYC)が可能となりました。利用者の利便性が向上する反面、システムの構築や運用環境の整備など、事業者には大きな負担にもなっています。
本人確認アプリの作成、目視による審査業務など、盤石のセキュリティ対策の下、ワンストップで実現できるのが、DNPのeKYCサービスの特長です。
サービス開始以来、複数企業様にご採用いただき、すでに2,000万件以上のeKYC審査を実施しました。