2022年2月2日

国際的な画像データの相互利用規格IIIF(トリプルアイエフ)に準拠したデジタルアーカイブ 「秀英体・活版印刷デジタルライブラリー」を2/2(水)に公開

大日本印刷株式会社(DNP)は、オリジナル書体「秀英体」の開発に関わる歴史的資料をデジタルアーカイブ化し、国際的な画像データの相互利用規格IIIF(International Image Interoperability Framework:トリプルアイエフ)に準拠した「秀英体・活版印刷デジタルライブラリー」として2月2日に一般公開します。このデジタルライブラリーは、インターネットを通じて誰でも無料で利用することができます。

DNPは、「秀英体」フォントを多様な形で利用者に提供するとともに、独自に運営する文化施設「市谷の杜 本と活字館」(東京都新宿区)などを通じて、広く「秀英体」の魅力を伝える活動を行っています。

●「秀英体・活版印刷デジタルライブラリー」URL → https://archives.ichigaya-letterpress.jp/library/

     

「資料一覧」画面の例                                                                    「資料詳細」画面の例

公開の背景

近年、文化的・歴史的な価値を持つコンテンツをデジタルアーカイブ化してインターネットで公開する取り組みが世界中で進められ、それらを横断的に活用する環境も整備されてきました。日本でも、文化の継承や学術・研究資料の共同活用などを目的として、博物館や大学などがデジタルアーカイブの構築・公開を進めています。一方、企業が保有する資料は、そのほとんどが一般に公開される機会がなく、そのため研究者が企業の資料を利用することが難しく、資料の存在自体を知ることもできない場合もあります。

こうした状況に対して今回DNPは、事業の原点である活版印刷と「秀英体」活字に関連する社内資料をデジタルアーカイブ化し、国際標準のIIIFに準拠した高解像度の画像データ群として「秀英体・活版印刷デジタルライブラリー」を公開します。研究者は、すでにIIIF準拠のデジタルアーカイブとして公開されている他機関の諸資料と関連づけて、このライブラリーのデータを研究対象にすることができます。

「秀英体・活版印刷デジタルライブラリー」の概要

  • 本ライブラリーで公開する主な資料は、「活字の原図」と「活字見本帳」です。活字の原図は、昭和20年代から40年代にかけて1文字ずつ手作業で描かれたもので、開発の過程で細かいデザイン修正が重ねられた様子を知ることができます。大正から昭和にかけて発行された複数の活字見本帳は、当時の印刷所が備えていた漢字の字種・字形がわかるもののほか、文字だけでなく罫線や図案等の多様な活字が掲載されたものもあります。
  • 当ライブラリーの資料データは、国際標準のパブリックライセンス「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」(4.0)で定められたライセンス条項のうち「CC BY」(著作権者の表示)のみで、非営利・営利問わず、申請なしで利用することができます。
  • システム面では、相互利用のインターフェースであるIIIF Presentation API(プレゼンテーションAPI)およびIIIF Image API(画像API)が、現在最も普及している「バージョン2.1.1」と、最新安定版の「バージョン3.0」の両方に対応しており、利用者はニーズに合わせて選択できます。
*プレゼンテーションAPIは両バージョンに対応させるためにDNPが独自に開発したシステムで提供しています。
*画像APIは両バージョンに対応しているCantaloupe Image Server(https://cantaloupe-project.github.io/)で提供しています。ビューアは両バージョンに対応しているMirador(https://projectmirador.org/)を利用しています。

今後の展開

DNPは、印刷・デザイン分野の研究や教育に有用な資料データを追加公開するなど、デジタルライブラリーの拡充を図っていきます。システム面では、IIIF Content Search API(コンテンツ検索 API)への対応を進め、画像に付加したテキストやキーワードの検索を可能にするなどの機能を追加する予定です。

■「市谷の杜 本と活字館」について (WebサイトURL → https://ichigaya-letterpress.jp/
活版印刷の職場を一部再現した文化施設として2021年2月に一般公開しました。文字のデザイン、活字の鋳造から、印刷・製本までのプロセスを展示・紹介しています。昭和初期に使われていた印刷機が稼働する様子や活版職人が作業する姿を“動態展示”の形で公開しているほか、活版印刷のモノづくり体験ができる工房では参加型ワークショップなども随時開催しています。
■秀英体について  (WebサイトURL → https://shueitai.dnp.co.jp/
明治期以来、開発を続けてきたDNPのオリジナル書体。読みやすく美しい書体として多くの書物や辞典などに使われてきました。活字・写植・DTPという印刷方式の変化に対応するために改刻を繰り返し、時代の流れに柔軟に対応しながら100年以上生き続けている書体は、日本ではほかに例がありません。「平成の大改刻」を経て、現在はデジタル環境で使用できる秀英体ファミリーを充実させており、細・中・太明朝、初号明朝、角ゴシックや丸ゴシック、アンチック仮名書体のほか、活字印刷の風合いを表現したにじみ明朝体などが揃っています。

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