2014年4月28日

生徒用タブレット端末向けデジタルペンシステムを提供開始

デジタル教科書や学習用アプリケーションなどにも紙からの入力機能を提供可能

大日本印刷株式会社(本社:東京 社長:北島義俊 資本金:1,144億円 以下:DNP)は、生徒がデジタルペンで紙に書いた文字・図形などをデジタル化し、教師のパソコンやタブレット端末に加え、生徒同士のタブレット端末でも共有できるシステムを開発しました。教育向けタブレット端末販売大手のダイワボウ情報システム株式会社などのICT関連製品の販売会社と連携し、2014年6月に発売します。

今後は、教育向けソフトウェアベンダーとも連携し、生徒用タブレット端末に搭載されるデジタル教科書や学習用アプリケーションなどに紙から入力できる機能を提供し、2014年度までの累計で、2000校の導入を目指します。

【デジタルペンシステム提供の背景】

文部科学省と総務省が2010年から推進しているフューチャースクール推進事業や地域雇用創造ICT絆プロジェクトなどを通じて、小中学校での生徒用タブレット端末の導入が進み、2020年度までに1人あたり1台配備される予定です。一方、DNPは、生徒がデジタルペンで紙に書いた文字や図形を、瞬時にデジタル化して教師のパソコンに送信し、電子黒板などに投影する授業支援システム『OpenNOTE(オープンノート)』を提供しており、全国約600の小中学校に導入され、延べ150単元の授業で使われています。こうした中、デジタルペンの導入校から、デジタルペンと今後導入が進むタブレット端末を併用し、紙への手書き文字を思考プロセス含めて手元の端末で共有し、学びあう授業へのニーズがでてきました。また、フューチャースクール校などのタブレット端末の導入校からは、算数の証明問題や国語の読解問題など、書く文字数が多く紙への手書きに戻っていた授業でも、デジタルペンを取り入れることでタブレット端末を活用できる、との評価(下記「補足資料」参照)が得られました。このような背景のもと、DNPは、生徒のタブレット端末と連動できるデジタルペンシステムの開発・提供を行うこととしました。

【デジタルペンシステムの概要】

生徒がデジタルペンで紙に書いた内容は、Bluetoothでリアルタイムに生徒のタブレット端末に送信され、そこからWi-Fiで教師のパソコンやタブレット端末に転送されます。教師が電子黒板やプロジェクターに生徒の記入内容を表示できるほか、生徒は他の生徒の記入内容を自分のタブレット端末で閲覧できます。タブレット端末とデジタルペンは、全生徒が1セットずつ持って入力内容を共有する使い方や、グループに1セット配布して、各グループの入力内容を共有する使い方があります。デジタルペンはタブレット端末1台に5本まで接続できるため、グループワークでも個々の生徒が記述した内容を共有することが可能となります。その他、記入内容の保存や再生、デジタルペン専用紙のプリント*、簡易アンケート機能などがあります。

* デジタルペン専用紙の認定カラープリンタは、別途お問い合わせください。

【デジタルペンシステムの特長】

  • 生徒がタブレット端末で、他の生徒の記入内容の一部を抽出して表示することで、多様な意見や解答を比較することができます。また、記入順序の再生によって、思考過程を学ぶことができます。
  • 教師用タブレット端末を持つことで、教師は教室内を巡回しながら、生徒の記入内容を参照して授業を進めることが可能です。同じ情報を、電子黒板やプロジェクターに投影することも出来ます。
  • 生徒のタブレット端末から教師のパソコンやタブレット端末には、デジタルペンの座標軸データのみWi-Fiで送るため、生徒が一斉に記入する場合もスムーズなデータ転送が可能です。

【今後の展開】

価格はオープン価格です。DNPは、ダイワボウ情報システムなどのICT関連製品販売会社と連携して、全国市町村の教育委員会へ本システムを販売します。今後、各ベンダーと連携し、デジタル教科書や教材、協働学習システム、授業支援システムといったタブレット向け各種学習アプリケーションに、紙の手書き文字の入力を可能とする本システムとの連動を図っていきます。

※ Bluetoothは、米国Bluetooth SIG, Inc.の登録商標です。
※ニュースリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容などは発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承下さい。

 

補足資料

【デジタルペン導入校の声】

「デジタルペンの横にタブレット端末があれば、これまでのような紙のノートやワークシートを使う授業でも、他の生徒の意見を手元のタブレット端末で自由に比較できますし、思考方法を巻き戻し・再生することで、思考の練り上げや理解の定着が図れます。」

  • 小6算数の単元「対称な図形」 : 紙に定規をあてて点対称の図形を作図する授業などでは、デジタルペンで書かれた図を電子黒板に表示して発表内容を聞くだけでなく、自分の理解度に合わせ、手元のタブレット端末で他の生徒の思考方法(作図の過程)を巻き戻し・再生しながら学習できる。

  • 社会・総合など : 1つの課題に対してグループで討議した結果(賛成・反対の理由、結論)をワークシートにデジタルペンで手書きし、クラス全体で討議する社会の授業などで、ワークシートの理由欄に書かれた各班の意見を、手元のタブレット端末で自由に比較し思考を練り上げることができる。

 

【タブレット端末導入校の声】

「タブレット端末のノート機能があるにもかかわらず、紙への手書きに戻っていた下記のような授業で、デジタルペンを取り入れることでタブレット端末が再活用できます。」

  • マークや線引き、メモ書きに留まらない、文字量が多い単元: 物語文の読解、数学証明問題、社会、道徳、英作文など、自身の意見や根拠を含めて細かく示しながらまとめあげる単元

  

横浜国立大学教育人間科学部附属横浜中学校 授業風景より
  • 定規を使う・折る・切ることをしたい単元 : 算数の線対称・立方体の平面図、図工、技術家庭など 

東京都 港区立青山小学区 授業風景より
  •  教材や資料をタブレット端末で表示しつつ意見をまとめたい単元: 調べ学習、物語文の読解など

 

東京都 港区立青山小学校 授業風景より

【タブレット端末導入を検討している自治体の声】

「現場教員がタブレット端末をどう使って授業していいかわからない、という課題があるが、慣れ親しんだ紙の授業を大きく変える必要がないデジタルペンは、タブレット端末を活用する授業に向けたステップアップツールとなります。」

  

上記のとおり、デジタルペンと紙に対するマーケットニーズが顕在化するなか、すでに先駆的な学校、研究者の間で、タブレット端末の周辺部材としてデジタルペンと紙を利用する授業研究が進んでいます。2013年11月に日本デジタル教科書学会の「デジタル教科書×デジタルペン研究会」でいくつかの実践事例の発表が行われ、デジタル教科書とデジタルペンと紙の連携について必要性が議論されました。

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