理化学研究所と再生医療での効率的な細胞培養の共同研究

ナノレベルの超微細加工を施した細胞培養プレートを開発

大日本印刷株式会社(本社:東京 社長:北島義俊 資本金:1,144億円 以下:DNP)は、国立研究開発法人理化学研究所と共同で、細胞培養プレート上の細胞の分化*1状態を識別する再生医療分野の技術確立に向けた共同研究を実施しており、ナノレベル*2の微細加工技術を利用した細胞培養プレートの開発に成功しました。この成功により、細胞にダメージを与えず容易に分離することが可能となり、再生医療に係わる細胞の品質と安全性の向上が期待されます。

*1 各細胞が臓器や骨、筋肉などの役割に応じて機能や構造を変化させること。
*2 nm(ナノメートル:10-9メートル)単位

【開発の背景】

2014年11月にIPS細胞などを使った治療を規制する「再生医療安全性確保法」と、細胞シートなどの再生医療向けの製品や機器の承認手続きを簡素化する「改正薬事法」が成立するなど、再生医療関連の動きが活発化しています。再生医療や創薬、細胞移植治療については、体外から良質で均質な機能性細胞を取り込む技術が重要であり、なかでも、培養過程で細胞の分化状態を識別し、異質な細胞を分離させる技術はその基盤となります。細胞の分化状態を識別する際、従来は蛍光ラベルを付与し、溶液に細胞を分散させて分離していましたが、これらの処理によって細胞がダメージを受ける懸念がありました。

今回DNPと理化学研究所は、細胞種の違いで親和性(相性の良し悪し)が顕著に異なる表面微細構造の同定に成功しました。この成果を活かし、DNPのナノレベルの微細加工技術によって、ガラスの表面を凹凸構造に加工した細胞培養プレートを開発しました。これにより、再生医療に欠かせないダメージのない良質な細胞を得ることができます。今後、本技術を活用し、安全性の高い細胞分離が効率よく行えるシステムの確立に努めていきます。

【DNPが提供する細胞培養プレートの特徴】

  • DNPのナノレベルの微細加工技術を活用しガラスの表面に100nm~300nm程度の微細な凹凸構造を施すことにより、細胞種の識別・分離機能を有した製品の提供を目指しています。
  • 細胞が発する蛍光や燐光を観察する蛍光観察や高解像度顕微鏡観察に対応するため、カバーガラスと同等の薄いガラスへの超微細加工を実現しました。
  • DNPが保有するナノインプリント*3技術により、均質で高精細な凹凸構造品の量産が可能です。
*3 基材上の樹脂などに金型を圧着して、nmからμm(マイクロメートル:10-6メートル)単位のパターンを転写する微細加工技術です。

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             (左)イメージ図/(右)表面微細形状例

【今後の展開】

DNPは、細胞培養や創薬を行う企業・研究機関・医療機関などに向けて、今回開発した細胞培養プレートを2016年から提供していく計画です。また、当プレートを使用した細胞培養装置なども開発していくほか、研究機関向けには研究評価用に最適な細胞培養プレートを要望に応じて提供していきます。また、この成果を細胞培養プロセスの基盤技術革新の大きなソリューションとすべく、さらなる機能拡張と用途展開を目指します。DNPは、今後もこのナノレベルの微細加工技術やその他保有技術を活用・融合し、ライフサイエンス分野に向けた製品を積極的に開発し、再生医療の普及や細胞移植治療・創薬研究の発展に貢献していきます。

なお、この共同研究の成果は、3月19日に行われた第14回日本再生医療学会総会で理化学研究所から発表されました。

【DNPのライフサイエンス事業について】

DNPはいま、「食とヘルスケア」「暮らしとモビリティ」「環境とエネルギー」「知とコミュニケーション」を成長領域と位置づけ、「未来のあたりまえ」となる製品やサービス、仕組みを創り出す取り組みを推進しています。

私たちの身近に常に存在して課題を解決する「未来のあたりまえ」のひとつとして、DNPは、強みである印刷技術や情報技術の応用・発展によって、ライフサイエンス分野での事業展開に注力しています。

当分野の取り組みは早く、1985年に尿検査紙や妊娠検査キットなどを製品化しています。2000年代に入ってからは、細胞を培養する基材の開発など再生医療分野の研究開発を加速させ、カラーマネジメントや3次元画像処理等の先端的な情報技術を、細胞の培養評価や診断支援などのソリューションに活かすなど、事業化に取り組んでいます。

 
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