2015年7月8日

大日本印刷 フランス国立図書館   同館所蔵の歴史的に貴重な地球儀・天球儀の3D(三次元)デジタル化プロジェクトで連携

:大日本印刷株式会社(本社:東京 社長:北島義俊 資本金:1,144億円 以下:DNP)とフランス国立図書館(Bibliothèquenationale de France 以下:BnF)は、BnFが保有する55個の貴重な地球儀・天球儀(以下:地・天球儀)の3Dデジタル化および、その普及を共同で推進するための契約を7月7日に締結しました。

BnFが保有する、歴史的にも貴重な地・天球儀の一大コレクションを対象にした、これほど大規模な3Dデジタル化は世界初の試みです。DNPは、世界各地の文化遺産や美術作品のデジタル化を手掛けてきた優れた技術やノウハウと、DNPが独自に開発した地・天球儀のデジタル撮影ツールをBnFに提供します。美術工芸品であり、科学資料でもある地・天球儀をデジタル化することにより、その一つ一つをあらゆる角度にスムーズに回転させたり、拡大させることで肉眼では見えにくい細かい部分まで高解像度で鑑賞できるようになります。

【デジタル化する文化遺産について】

BnFの地図部門は、200個以上の歴史的に貴重な世界有数の地・天球儀のコレクションを保有しています。今回のデジタル化プロジェクトのために、フランス、ドイツ、オランダ、イタリア、イギリス、アラブ諸国などで11世紀~19世紀に製作された地・天球儀の中から、最も貴重な55個を選定しました。この中には、大航海時代の様子を示す手書き又は彫金による16世紀の作品や、17世紀オランダ黄金時代に製作された印刷による唯一つの作品、18世紀啓蒙時代に多様化したヨーロッパのさまざまなタイプの作品も含まれています。また、天文学者フラマリオンの月球儀(1896年作)という19世紀の作品もあり、球儀作りの進化を象徴するような注目すべき作品群となっています。

【DNPの革新的な技術】

1876年に創業したDNPは、印刷技術、デジタル化技術、情報コミュニケーション技術などを保有する国際的にもトップクラスの印刷会社です。DNPは、パリのBnFで55個の地・天球儀のデジタル化に必要な撮影をすでに終えています(各地・天球儀の高解像度画像を1作品に付き多いものでは600点以上撮影)。現在、これらの画像データを3D化するための作業を日本(東京)で行っています。DNPは、今回のプロジェクトにおいて、作品保全の関係から一般公開の難しいこれら世界的文化遺産を、誰もが容易に閲覧できる独自の専用ツールの開発にも取り組む予定です。また、今回のプロジェクトを通じて獲得した技術を基盤としたデジタルアーカイブビジネスの開発も併せて進めていきます。

【3Dデータの活用について】

フランスと日本の文化の架け橋である今回のプロジェクトにより、BnF は、2015年末までに、BnFが運営する電子図書館「Gallica」の新たな取り組みとして、3D化した地・天球儀を閲覧できるようにする予定です。

また、2016年には、BnFとDNPのパートナーシップの成果をより進展させた、さまざまなイベントを実施する計画です。例えば、東京のDNPの施設やパリのBnFにおいて、高精細3Dデジタル化した地・天球儀を活用し、これまでにない方法で鑑賞が楽しめる展覧会を開催する予定です。また、「Gallica」やBnFのウェブサイトでも、オンライン展覧会として本プロジェクトを紹介するさまざまなコンテンツが公開される予定です。(パリの展覧会および「Gallica」のモバイルアプリ版、デジタル化プロジェクトのオンライン展覧会はトタル企業財団の支援を仰ぐことになっています。)

【3Dデジタル化される主な地・天球儀】

アラブ=クーフィー様式の天球儀

ブロンズ製のアラビア天球儀の最も古い作例で、11世紀製作、プトレマイオスの『アルマゲスト』に基づく星座が表されています。

 

      ©gallica.bnf.fr / BnF

マルティン・ベハイムの地球儀/複製

1492年にリスボンで製作されたマルティン・べハイムの地球儀の複製は、クリストファー・コロンブス以前の世界観を表しています。ニュルンベルクに保存されているオリジナル作品は、現在では殆ど読解が不可能であり、1847年にBnF地図部門の司書エドメ=フランソワ・ジョマールの要請により製作されたこの複製が、貴重な参考作品となっています。

 

      ©gallica.bnf.fr / BnF

地球儀、通称『緑の地球儀』

通称『緑の地球儀』と呼ばれるこの手書きの地球儀は、マルティン・ヴァルトゼーミュラーが1506年に製作したと言われています。これは(南北)アメリカを大陸として表した最初の例のひとつであり、また、「アメリカ」という名称を新大陸に与えた最初の例です。

 

      ©gallica.bnf.fr / BnF

金の地球儀

『ビュールの金の地球儀』と言われているこの地球儀はヨハネス・シェーナーの工房で1524年から1528年の間に製作され、マゼランの世界一周旅行を表していますが、クリストファー・コロンブスの、アメリカをアジアの一部とする見解を未だに示しています。

  

      ©gallica.bnf.fr / BnF

ルーアンの地球儀

『ルーアンの』又は『ルキュイ』の地球儀と呼ばれるこの作品は、16世紀にルーアンで製作された唯一の地球儀であり、地名学的な面からスペイン源の資料に基づいて1580年頃に製作されたと思われます。新大陸の西海岸にはまだ不明瞭な点がありますが、アメリカとアジアはきちんと区別されています。

 

      ©gallica.bnf.fr / BnF

修道院長ノレの地球儀・天球儀

この地球儀と天球儀は1728年から1730年の間に、『実験小話(causeries expérimentales)』という著書で有名になった機械工、修道士ジャン・ノレが製作しました。彼は宮廷人たちに科学を流行させることに貢献しました。地球儀はエメラルド・グリーンの細密装飾が施されており、その上に「星は金色で強調されて」おり、「天の自然な状態を明確に一目で理解することができるようになっています」。これは神話に基づいた星座の表し方から、近代的な天文学に基づいた製作への移行を示す先行的な作品です。

    

                             ©gallica.bnf.fr / BnF
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