人にもAIにも正しく伝わるサステナビリティサイトの作り方。「統合報告書との連動」と「UI/UX設計・LLMO」


自社のサステナビリティの取組みについて、
人は正しく理解してくれているでしょうか?AIは正しく答えてくれているでしょうか?

ある製造業の企業では、環境課題や人手不足の解決に取り組み、その内容をWebサイトで発信していました。しかし、AIに「環境課題や人手不足に取り組んでいる会社は?」と尋ねると、その企業の名前が挙がるのは一部の回答にとどまりました。

企業の持続的な成長を示す「サステナビリティサイト」は、幅広いステークホルダーと対話するための重要なプラットフォームであり、いまや人だけでなくAIにも読まれています。しかし、取組みが十分に伝わらず、「Webに掲載した統合報告書が読まれていない」「Webサイトと統合報告書の連動がうまくいかない」とお悩みのご担当者の皆さまも少なくありません。

本コラムでは、企業価値の向上につながるサステナビリティサイト制作のポイントを解説します。自社の「価値創造ストーリー」を軸とした統合報告書との連動から、AI検索時代に重要となる「LLMO(大規模言語モデル最適化)」と「UI/UX設計」まで、人にもAIにも正しく理解され、評価される情報発信についてご紹介します。


本コラムのキーワード解説

1.取組みはあるのに、人にもAIにも届いていない ―よくある3つの原因

 AIは、Webサイトなどに掲載された情報を読み取って回答をつくります。そのため、社会課題に取り組み、その内容を統合報告書やWebサイトで発信している企業でも、情報がAIの読み取りにくい形で掲載されていると、AIの回答に反映されないことがあります。


製造業A社のLLMO診断事例

「環境課題や人手不足に取り組んでいる会社は?」とAIに尋ねると、A社の名前が挙がるのは一部の回答にとどまりました。一方、社名で尋ねると、社会課題への取組みまで正しく説明されました。
A社は社会課題に取り組む材料を十分に持っていましたが、トップページのメッセージが画像で掲載されていたり、取組みの詳細がPDFや下層ページにとどまっていたりしたため、AIの回答の中で、A社と「社会課題への取組み」が結びついていませんでした。
DNPではLLMO診断によって、トップページのメッセージを本文のテキストにすることや、サステナビリティページのトップに取組みを表す言葉を置くことなど、サイトの改修箇所と優先順位をご提案しました。


人にもAIにも届いていない、よくある3つの原因

① 図や画像の中にだけ情報が記載されている 価値創造プロセスやマテリアリティ、トップページのメッセージが図(画像)だけで掲載され、本文のテキストで説明されていない。
② PDFの中にだけ情報が記載されている ESGデータや取組みの詳細が、統合報告書やデータブックのPDFの中にだけあり、Webページの本文に書かれていない。
③ いつの、どの範囲の数値かが書かれていない 数値に対象年度や集計範囲(連結・単体など)が書かれておらず、AIが古い年度の数値を答えたり、別の範囲の数値と取り違えたりする。

 こうした状態は、AIにとってだけでなく、人にとっても「探しにくい」「比べにくい」状態です。次章からは、人にもAIにも正しく伝わるサステナビリティサイトをつくるためのポイントをご紹介します。

2.サステナビリティサイトに求められる役割 ―AIが答える時代に

 サステナビリティサイトは、投資家だけでなく、従業員・取引先・一般生活者・学生・地域社会といった幅広いステークホルダーに向けて、企業の取組みをわかりやすく伝える広報・入口としての役割を担っています。また、年度途中の活動や新しい取組みを随時掲載できる「タイムリーな更新」もWebサイトならではの強みです。
 あわせて、サステナビリティ情報の探され方・評価のされ方も変わってきています。これまでステークホルダーは検索エンジンなどを使って自ら情報を探すことが一般的でしたが、現在ではAIが情報を整理・要約し、その結果をもとにユーザーが判断する場面が広がっています。ESG評価の領域でも、企業のサステナビリティ情報の収集や分析にAIを活用する動きがみられます。例えば、大手ESG評価機関のMSCIは、ESG Ratingsが企業の公開開示情報等にもとづいていることに加え、データ収集に大規模言語モデル(LLM)を使用していることを評価手法の資料で公表しています。また、企業のESG関連の不祥事等の特定・評価にも、LLMや分類モデルを含むアルゴリズムを活用しています。

 つまり、これからのサステナビリティサイトは、投資家・一般生活者といった「人に正しく理解され、判断してもらう」だけでなく、評価機関のAIやAIツールに「情報を正しく見つけてもらい、引用・評価してもらう」ための対策が求められます。

サステナビリティサイトの役割

企業の広報・入口としての役割 投資家・取引先・一般生活者・地域社会など幅広いステークホルダーにわかりやすく伝える。
タイムリーな更新 年度途中の活動や新しい取組みを随時掲載可能。
わかりやすい表現 図解や写真を多用することで、専門知識がなくても理解できる。
企業イメージの発信 「社会課題の解決に取り組む企業」というブランドイメージを醸成し、その社会的価値を伝える。
AIへの正確な情報提供 AIツールや評価機関のAIに、取組みを正しく読み取ってもらい、回答や評価に反映してもらう。

3.サイトの核となる「価値創造ストーリー」と「マテリアリティ」 ―統合報告書との連動

 読まれるサステナビリティサイトを構築するためには、「価値創造ストーリー」の魅せ方が鍵となります。企業が優先的に取り組むべき重要課題である「マテリアリティ」を単なるESG項目の羅列にするのではなく、社長メッセージや企業の歴史といった経営の意思を起点とし、戦略・事業・そして成果へとつながる一連の価値創造ストーリーの中に組み込むことが重要です。

統合報告書とサステナビリティサイトを「同じ軸」で連動させる

 サイトの軸を定める上で重要になるのが、統合報告書とサステナビリティサイトの連動です。年に一度発行される統合報告書(冊子・PDF)は、企業の中長期的な価値創造ストーリーを体系的に伝えるのに適していますが、すべての詳細情報や日々の活動の進捗を載せきることは困難です。一方サステナビリティサイトは、情報の「網羅性」や「タイムリーな更新」に優れています。
 この2つの媒体をバラバラに制作するのではなく、統合報告書で語られた価値創造ストーリーとマテリアリティを、Webサイトの「軸」として据えることが重要になります。これにより、Webサイトが「価値創造ストーリーを理解するための入口」として機能するようになります。Webサイト上で全体像を直感的に掴んだ後、より詳細な最新トピックスや網羅的なESGデータへとWebサイト内を深掘りしたり、あるいは統合報告書の該当ページ(冊子・PDF)へ遷移して熟読したりと、目的に応じて情報を取得できるようになります。

 このように、静的でストーリー重視の「統合報告書」と、動的で網羅性・最新性に優れる「サステナビリティサイト」に共通の軸を持たせ、明確な役割分担のもとに連動させることで、企業情報を「正しく」伝えることにつながります。

4.人にもAIにも伝わる情報設計 ―「UI/UX設計」と「LLMO対策」

 質の高い情報を掲載することと同様に重要なことは、幅広いステークホルダーに「理解される」サステナビリティサイトになっているかどうかです。さらにこれからは、人だけでなくAIにも正しく読み取ってもらう必要があります。この「ヒューマンフレンドリー」と「AIフレンドリー」の2つの視点を掛け合わせた設計こそが、これからのサイト構築に不可欠です。

幅広いステークホルダーのニーズに応える情報設計

 各ステークホルダーによって求める情報は異なります。すべてのステークホルダーに届く情報の掲載も重要ですが、各ステークホルダーのニーズに合う情報を掲載していくことも、「理解される」サステナビリティサイトを構築するためには非常に重要です。

各ステークホルダーに合わせた情報例

投資家
評価機関
「ESGポータル」等の専門トップページを作成し情報を集約することで、利便性を確保します。
一般生活者
学生
「3分でわかるサステナビリティ」といった動画や図解コンテンツを追加し、直感的に伝えます。

ヒューマンフレンドリー(UI/UX設計の最適化)

 誰もが欲しい情報に迷わずたどり着けるよう、ユーザビリティ(UI/UX)の最適化による情報探索効率を高める設計が必要です。

ユーザビリティ(UI/UX)の最適化の例

  • 目的の情報に迷わずたどり着けるよう、アンカーリンクや追従メニューを設置し、検索性を高めます。
  • クリックで展開する「モーダルサイトマップ」を導入し、ページ遷移することなく目的の情報を探せるようにします。
  • 「展開式メニュー」を用いて、全体の俯瞰性を向上させつつ下層ページへのスムーズな導線を確保します。

AIフレンドリー(LLMO):AIが正しく読み取りやすい形にする

 前述の製造業A社の例では、画像やPDFの中の情報が読み取られていないことが主な原因でしたが、AIに届かない原因は企業ごとに異なります。よくある対策としては、次のようなものがあります。

AIが読み取れる形にする対策の例

  • マテリアリティや価値創造プロセスは、図に加えて、本文のテキスト(HTML)でも説明する。
  • 主要なESGデータは、グラフに加えて、数値の表をWebページ上に掲載する。
  • 数値には、対象年度・集計範囲・更新日を明記する。
  • 見出しを、ステークホルダーが実際に尋ねる言葉にする(例:「温室効果ガス排出量の削減目標」「女性管理職比率」)。
  • 統合報告書(PDF)へのリンクを置くだけでなく、要点をWebページの本文にテキスト(HTML)で掲載する。

 これらの対策は、AIのためだけでなく、人にとっても情報を探しやすく、比べやすくするものです。ただし、どの対策が自社に必要かは、AIが実際に自社をどう答えているかを確かめてはじめてわかります。


まずは、AIにどう答えられているかを確かめる ―DNPのLLMO診断

 自社のサステナビリティの取組みについてAIがどう答えているかは、実際に質問して確かめることができます。例えば「〇〇業界で環境課題(具体名)の取組みが進んでいる企業は?」「人的資本の開示に力を入れている企業は?」といった、投資家や学生が尋ねそうな質問をAIに聞き、自社の名前が挙がるか、内容が正しいかを確認します。
 LLMO診断では、こうした質問をChatGPT・Gemini・Claudeの3つのAIで調べ、名前が挙がらない理由と、サイトの改修箇所と優先順位をご提案します。環境・人権・ガバナンスなど、サステナビリティのテーマに合わせて質問を設計します。



LLMO診断からスタートするDNPの制作フローについて



【ご参考資料】自社のサステナビリティ情報が、AIにどう答えられているか確かめたい方へ

5.DNPが選ばれる理由

 サステナビリティサイトの構築には、企業情報を読み解きビジネスモデルを深く理解することと、デジタル領域の高度な技術が不可欠です。DNPは、以下のような強みで企業のサステナビリティコミュニケーションをご支援します。


統合報告書制作の実績×Web制作のプロフェッショナル集団


統合報告書制作で培ったノウハウ
長年の統合報告書制作の実績で培った企業情報を読み解き整理する力と、Web制作のプロフェッショナルとしての知見を掛け合わせ、最適な設計をご提供します。

戦略フェーズからの一貫支援
コンセプト策定やWeb戦略策定、KPI・KGI設定といった上流の課題抽出・方針検討からサポートします。

確かな制作・開発力
Webサイトのデザイン作成、HTML作成、システム開発から検証・サイト公開まで、トータルでご支援します。

LLMO 診断から改善まで一貫した対応
AIが自社をどう答えているかを診断し、診断で見つかった改修箇所を、サイトの設計・制作にそのまま反映します。




「サステナビリティサイトを新設・リニューアルしたい」
「自社のサステナビリティ情報が、AIにどう答えられているか確かめたい」
「統合報告書と連動させた効果的なWeb開示を行いたい」
とお考えのご担当者様は、ぜひ一度DNPにご相談ください。

貴社の課題に合わせた最適なコミュニケーション戦略をご提案いたします。

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