大日本印刷の学習クラウドを活用した 奈良市の未来型教育の成果を発表

4年間の学習履歴で明らかになった学力の伸びなどを、2/22開催の奈良市教育セミナーで公開

2020年1月31日

大日本印刷(DNP)は、奈良市が取り組む独自の個別最適化学習事業「学びなら」の基盤として、「DNP学習クラウド リアテンダント*1を提供し、学習履歴(スタディ・ログ)を用いた未来型教育を支援しています。同市は2017年より、児童の単元テストの分析結果から個別の復習教材を提供する「学びなら」事業への取り組みを開始、4年間を通して蓄積したデータを元に教育効果研究を進め、教育現場の指導に反映させてきました。それらの教育効果を、同市は、2月22日(土)の奈良市教育委員会主催の市民対象のセミナーにて発表します。

「学びなら」事業の概要

「学びなら」事業とは、奈良市独自の学力向上システムを指します。奈良市立小学校全43校の4年生から6年生を対象に、算数の単元テストの結果を「リアンテンダント」を用いてデータ化・分析処理し、児童一人ひとりの理解度や苦手分野に合わせた復習教材を提供する教育事業です。ICT(情報通信技術)と教育ビッグデータを活用し、学習意欲の向上と学力の定着につなげるという特徴をもった取り組みです。

奈良市の取り組みの先進性

近年の教育行政では、「証拠に基づく政策立案:EBPM(Evidence Based Policy Making)」*2の観点からも、教育効果を客観的数値で示すことが重視されているものの、大半の教育現場では、長期的な効果を測れるほどのビッグデータが蓄積されていないのが現状です。一方奈良市では、児童一人ひとりの設問ごとの正誤情報まで、年間約140万件、4年間で約400万件以上と、公教育では例を見ない規模のデータを蓄積しています。また、その効果について、大阪大学、奈良教育大学と共同で研究しており*3、スタディ・ログから「学びなら」事業の効果を分析して、事業全般や教員指導の改善などにつなげています。2019年末に文部科学省が、児童・生徒1人1台のPC端末と高速ネットワーク環境を一体的に整備する「GIGAスクール構想」を発表し、スタディ・ログの活用が大きな課題となっていますが、同市は国内でも先駆的な取り組みを推進してきています。

セミナー概要

新型コロナウイルス感染症が拡大している状況を受け、参加者および関係者の健康・安全面を第一に考慮した結果、やむを得ず、当該イベントは中止となりました。

日時 : 2020年2月22日(土) 13:00~15:45

会場 : 奈良市教育センター(8・9F)

http://www.city.nara.lg.jp/www/contents/1575356380630/index.html

①「学びなら」における、大阪大と奈良教育大の最新研究成果を公開

大阪大学教授大竹文雄氏が、データを用いて「学びなら」の教育効果を分析した最新の成果などを発表します。大阪大学は個別復習教材の活用法について、児童の3年間の成績推移を統計的に分析しています。教育効果の一例としては、復習教材を家庭学習のみで使用する児童より、授業や朝学習でも併用する児童の方が学力の伸びが大きく、特に4年生時に算数が苦手だった児童の学力が5、6年生になって顕著に伸びているなど、具体的成果が得られています。

さらに、奈良教育大学教授小柳和喜雄氏は、毎年行っている教員へのヒアリングや研修会などの活動を通じ、スタディ・ログに基づく最適な指導方法について発表します。良好な成績を示している学校の指導方法を調査・事例化し、有効な指導方法の明確化を進めています。*4

②奈良市が実証中の、未来教育体験ブース

「学びなら」の紹介に加え、奈良市が今後の導入に向け実証中の未来教育が体験できるブースです。小学校で実証が進んでいるタブレットを活用した放課後学習や、中学校で実証中の、定期テストの結果を基にタブレットのAIドリルで復習に取り組む学習*5、プログラミング教材など、リアテンダントとEdTech教材を連携させた学習モデルを中心に、実際に市民に体験してもらいながら紹介します。

*1リアテンダント : スタディ・ログに基づく教育活動を支援するために、タブレット学習と紙の評価テスト双方のスタディ・ログを一元管理・分析し、「個に応じた学習を支援する教材サービス」を提供するクラウドサービスです。 https://www.dnp.co.jp/biz/solution/products/detail/10157723_1567.html
*2EBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング=証拠に基づく政策立案) : 政策の企画をその場限りのエピソードに頼るのではなく、政策目的を明確化したうえで合理的根拠(エビデンス)に基づくものとすることです。
*3 スタディ・ログ : 奈良市から大阪大学、奈良教育大学に対しては個人情報が特定されない形でスタディ・ログのデータが提供されています。
*4「学びなら」の学術的研究について、2020年2月29日(土)・3月1日(日)開催の日本教育工学会 2020年春季全国大会(https://www.jset.gr.jp/s-taikai01/index.html)でも、小柳教授から発表される予定です。
*5中学校における実証の模様は下記をご覧ください。(奈良テレビによる取材) https://www.youtube.com/watch?v=NxA-zVOVIr0