2016年9月13日

ナノインプリントのテンプレートを段差なく高精度でつなぐ大面積対応の量産を可能とする技術を世界で初めて開発

大日本印刷株式会社(本社:東京 社長:北島義俊 資本金:1,144億円 以下:DNP)は、ナノインプリント*1用の複数のテンプレート(パターン形成用の版)を高精度でつなぎ、大面積対応の部材の量産を可能にする革新的な“つなぎ合わせ技術”を開発しました。多様な業界の企業等から要望の強い同技術を、世界で初めて*2DNPが開発しました。

DNPは2015年4月より、テンプレートの設計から試作品の作製、量産化まで、企業のトータルな要望にワンストップで対応する業界初*3の「DNPナノインプリントソリューション」を展開しており、今後は今回開発した技術も活用し、高精細な微細形状への対応について、大面積にも展開していきます。

*1 ナノインプリントとは、基材上の樹脂などに金型を圧着して、nm(ナノメートル:10-9メートル)からμm(マイクロメートル:10-6メートル)単位のパターンを安定的に転写する微細加工技術
*2 2016年9月 当社調べ
*3 2016年3月 当社調べ  〔参考〕 http://www.dnp.co.jp/works/detail/10108768_18925.html

【開発の背景】

ディスプレーや光学製品用の部材のほか、エネルギー関連やライフサイエンス関連の部材等で、新機能の付与や性能の向上を目的とした超微細構造の採用が進んでおり、適用できる製品を広げるため、ナノレベルのナノインプリントに対する大面積化の要望が高まっています。これまで数十nm単位のパターンによる超微細加工は、半導体製品用フォトマスク等の15センチ角程度のサイズに限られており、大面積に展開するにはテンプレートをつなぎ合わせる必要がありました。しかし、つなぎ目部分に段差が生じるという課題があり、この段差を数十nmに抑えたとしても、リソグラフィ用のレジストを用いたインプリントでは段差が影響して不具合が発生してしまうため、生産への利用は困難な状況でした。

この課題に対してDNPは、つなぎ目部分に段差が生じない高精度な“つなぎ合わせ技術”の開発を進め、今回、革新的な技術によって段差をなくすことに成功しました。これにより、多様な業界の多くの企業からの要望が強い、超微細構造の大面積のテンプレート作製や部品の量産化が可能となります。

写真はテンプレートの断面図で、左がつなぎ目部分に段差のある状態(矢印部分)、
右がDNPの新技術で作製したつなぎ目部分の状態(矢印部分)。

【高精度な“つなぎ合わせ技術”について】

DNPは今回、半導体製品用フォトマスクやナノインプリントリソグラフィ(NIL)、超低反射フィルム「モスアイ®」など、ナノメートルレベルのインプリントで培ってきた材料技術・加工技術・装置技術などを応用し、数十nmの超微細な凹凸のパターンを持つテンプレートを精度良くつなぐ技術を開発しました。

従来テンプレートのつなぎ目部分で生じていた数十nmの段差をなくす本技術を用いることで、フォトマスクやNILのテンプレートと同等の微細形状を持ったテンプレートを大面積化することが可能となります。また、リソグラフィ用のレジストを用いた大面積でのインプリントで生じていた、段差の影響による不具合も解決可能となりました。

【今後の展開】

今回開発した高精度な“つなぎ合わせ技術”は、超微細構造のパターンが要求されるディスプレー部材をはじめとするさまざまな部材に適用できます。例えば、超微細な凹凸形状を付与することで光の向きと強さをコントロールする機能性フィルムを提供できますが、この製造プロセスに本技術を適用することで、従来方式と比べて生産性が向上するなどの効果が期待できます。また大面積での量産が可能となることによって、大型ディスプレーの省エネを実現し、地球環境保全にもつながっていきます。このように、超微細構造を大面積で形成できる効果は大きく、DNPは今回開発した技術を基に、大面積化対応設備の導入などを進めていきます。

今後、DNPは本製品及び「DNPナノインプリントソリューション」の販売に注力し、2018~2020年度の3年間の累計で600億円の売上を目指します。

 
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