2014年7月31日

サービスデザインの視点からプロダクトコンセプトを創出する新手法を開発

大日本印刷株式会社(本社:東京 社長:北島義俊 資本金:1,144億円 以下:DNP)は、生活者中心の価値分析を行い革新的なサービスを開発する「サービスデザイン」の視点から、企業の新たなプロダクト(製品)を創出する手法を開発しました。新手法はプロダクトだけでなく、そのプロダクトを取り巻くサービス全体を包括的に捉え、生活者が実際に使用する状況を想定・実演しながら、バックキャスティング※1型で新たなプロダクトを具現化していくものです。

※1 バックキャスティング : 未来を予測する上で、目標となる未来の成功シナリオを想定し、そのシナリオから遡って現在何をすべきかを考える思考法。

【開発の背景と新手法の特長】

近年、新たな事業の柱を生み出すことを目的として、企業独自のノウハウや知見などの資産を最大限に活用し、今までにないコンセプトや価値を持つ新たなプロダクトを創出したいという企業の需要が高まっています。DNPは2013年4月に「サービスデザイン・ラボ※2」を設立し、生活者の価値観と企業の資産を組み合わせた新事業や新サービス、組織のビジョンや研究開発テーマなどの創出に取り組んでいます。

※2 サービスデザイン・ラボのウェブサイト : http://www.dnp.co.jp/cio/servicedesignlab/index.html

今回、要望の高いプロダクトコンセプトの創出手法を新たに開発しました。特長は次の通りです。

〔1〕生活者の潜在的欲求を刺激する体験価値の創出

現在、生活者の身の回りにあるサービスやプロダクトの多くは、生活者が望む体験価値の一部を満たすものでしかありません。多様なサービスやプロダクトが乱立している現在、それを差別化する要因として、生活者のより潜在的な欲求を刺激する体験をデザインすることが重要です。

新手法では、プロダクトの機能的価値に加え、その利用シーンまでを包括的に捉えることで見えてくる体験価値を創出していきます。

〔2〕バックキャスティング型でプロダクトをカタチにする

既存の常識に捉われず、生活者から収集した日常の不満(モヤモヤ)を解決するアイデアを起点にして生活者が望む体験価値を創出し、そこから遡ってプロダクトに必要な機能を洗い出し、今までにないプロダクトコンセプトを描いていきます。

【具体的なステップ】

新手法は、アイデアの飛躍を狙ったサービスデザイン手法であるOEJD※3と、アイデア創出の対象となる生活シーンをスクリーンに投影して、その場で思いついたアイデアを演技で表現するプロトタイピング手法であるSPL※4を活用しています。このOEJDとSPLを組み合わせて、プロダクトコンセプトを創出する手法は、以下の6つのステップで構成されます。

※3 OEJD(Open Experience Journey Design) : DNPと慶應義塾大学武山研究室が共同開発した手法。
論文:http://www.servdes.org/wp/wp-content/uploads/2012/02/Open-Experience-Journey-Design1.pdf
※4 SPL(Service Prototyping Lab)

STEP1 : アイデア発想

DNPが独自に生活者から収集した日常の不満(モヤモヤ)と、一般的な用語と企業の資産をキーワード化した用語で構成され、発想を支援するさまざまな言葉が書かれたヒントカードをランダムに組み合わせ、その両者を強制的に関係付ける強制連想法を使って新たなアイデアを発想します。生活者のモヤモヤを発想起点とすることで、既存の想像力の枠を超越した、新たなアイデアを生み出します。

例えば、「朝のゴミ捨てが何かと不便」というモヤモヤと、「キャスター」というヒントカードを組み合わせて、「歩くゴミ袋」(朝玄関にゴミを置いておくだけで、ゴミが自らドアを開けてゴミ捨て場に歩いていく)などのアイデアを発想します。

STEP2 : ショートストーリー作成

発想したアイデアの特長を抽出しながら、複数のアイデアを組み合わせて、理想とするプロダクトの利用シーンを描いたショートストーリー(小さい体験)を作成します。

例えば、STEP1の例では、「モノ(ゴミ)が意思を持って動く」という特長が抽出できます。その特長を、全く異なるアイデアから得た特長の「好きなことがとことん楽しめる」と組み合わせることで、「腰が痛くて重い荷物が運べない人のそばに、センサー付きのバッグが寄り添って付いてきてくれることで、好きなだけ買い物を楽しむことができる」というショートストーリーを作成します。

STEP3:体験価値の発掘

作成したショートストーリーを分析し、「どのような人が、どのような利用シーンで、どのような欲求を実現できるか」という、生活者の潜在的な欲求を刺激する体験価値を発掘します。その際、その体験に必要なプロダクトのイメージも併せて整理します。

例えば、STEP2のショートストーリーでは、ターゲットを高齢者にすることで「高齢者や腰痛を抱えている人が、極力周囲の人に迷惑をかけずに、身の回りのことを自力でしたい」という潜在的な欲求を見出すことができます。

STEP4 : プロダクトの新たな意味付け

発掘した体験価値を基に、プロダクトが新たにどのような意味付けを行っているか議論します。

例えば、バッグは通常「荷物を入れるもの」や「ファッション」という意味を持ちますが、STEP3のように、「高齢者や腰痛の人が極力周囲の人に迷惑をかけないように、身の回りのことは自力でしたい」という欲求を叶えるためには「体調を気にせず(買い物を)楽しむための補助ツール」という新たな意味付けがなされます。

STEP5 : SPLによる体験価値の精緻化とプロダクトの具現化

SPLを用いて、一連の利用シーンを演技で表現しながら生活者の感情を検証し、体験価値全体を精緻化します。また、プロダクトのイメージを紙などで試作(ペーパープロトタイピング)し、演技の小道具として活用するなど、プロダクトに必要な機能なども精緻化します。

例えば、駅までの道のりやショッピングセンター内を映した映像の前で、試作した小道具を使いながら買い物をする高齢者になりきり、高齢者の気持ちを検証しながら、彼らが本当に求める体験やプロダクトの機能などを具現化していきます。

STEP6 : プロダクトコンセプトメイキング

具現化したイメージを基に、実際のプロダクトコンセプトへ落とし込んでいきます。

【活用事例】

DNPは、日本たばこ産業株式会社と本手法を活用して、たばこの新たなプロダクトコンセプトを創出しました。

詳細はこちら ⇒ http://www.dnp.co.jp/cio/servicedesignlab/worksJT2013.html

【今後の展開】

今後DNPは、この新たな手法を多様なプロダクトに適応させていくとともに、創出したプロダクトコンセプトを市場に提供するまでの一貫したプロセスの体系化を目指します。また、2016年度までに20社との取り組みを推進し10億円の売上を目指します。

 
※ニュースリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容などは発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承下さい。

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