【第4回】雑誌のWebメディア化におけるSTP分析
~顧客と進むべき道をクリアに描き出す手法~

ここまで順を追ってWebメディア化の意義を、そしてそのプロセスとして3C分析をご紹介してきました。分析結果はいかがでしたか?自社の武器と強みは分かったにしても、紙の雑誌を購買してくれないことには変わりがない、という声が聞こえてきそうです。今回はその閉塞感を打破すべく、誰に向けてどのようなWebメディアとするか、をSTP分析をもとにみてみましょう。

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【目次】

3C分析のおさらい

第3回のコラムでは雑誌のWebメディア化に向けた市場分析として、3C分析を取り上げました。
顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3つの視点から市場を把握・整理する手法でしたね。ゴルフダイジェスト社の例で顧客は「情報の取捨選択に悩まれている方」でした。
競合分析においては「レッスン」「トーナメント」「プレー」に分類し、Webメディアや雑誌媒体の特性を調査し、分析しました。
自社の分析については第三者目線としてDNPも加わり、ゴルフダイジェスト社の武器と強みを調査・把握し、ブランド力、取材力、質の高いレッスン記事、バラエティーに富んだコンテンツが強みであるということがわかりました。
以上のように3C分析をもとに実態を把握したのが前回までの内容となります。
それでは、今回のコラムの本題に入っていきましょう。

サービス設計の起点は顧客

ターゲット顧客、という言葉をよく使います。今日も編集部で「これではターゲットにリーチできないぞ」などと誰かが言っているかもしれません。まず手をつけることは「顧客」の明確化です。どこで何をしている誰か?実はそこをあぶりだし、進むべき道をクリアに描き出す手法があるのです。
その手法がSTP分析、セグメンテーション(Segmentation)、ターゲティング(Targeting)、ポジショニング(Positioning)の頭文字をつなげたものです。
マーケティングの世界ではターゲットの選定は3つあるアクションの真ん中です。まずセグメントを決め、その中でターゲットを決め、そしてポジションを定める、という一連の流れです。
それでは自社がリーチすべき顧客を把握するための、STP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)とは何か、どのように分析するのかみていきましょう。

STPその1:セグメンテーション ~市場の切り分け~

セグメンテーションとは、市場を構成する顧客の共通点にフォーカスし、属性ごとにグループ(セグメント)として分類することです。雑誌市場の顧客である読者も、年齢層、読んでいる頻度、買っている場所、好きな特集、読む目的など、様々な切り口で分けられます。
顧客の分類方法は、以下4つの視点で行われることが一般的です。

①地理的条件:居住エリア、年の規模、気候など
②人口動態:年齢、性別、既婚、未婚、年収、職業など
③心理的条件:価値観、社会的階層、ライフスタイル、趣味、嗜好など
④行動:購買状況、求める価値(品質、安さなど)、使用頻度など

ここで重要なことは、やみくもに各項目を書き出さない、ということです。一般的には二つの軸を決めて象限を四つ作り、各々の象限を深堀する方法が取られます。

セグメンテーションイメージ

セグメント

図1

図1は横軸に心理的な条件(関心度の高さ)を、縦軸に人口動態(年齢層)を置いた例です。例えばオーディオ雑誌が、紙では還暦を迎えたマニアックな層であるDの象限をターゲットとしていたとします。Web化するにあたってその象限でよいのか、どこを顧客層に据えるか、という議論の元となります。

STPその2:ターゲティング ~狙う顧客の絞り込み~

セグメンテーションにより顧客を分類した後は、狙うべき顧客の絞り込み=ターゲティングです。ターゲティングの目的は、狙うべき顧客を限定し、限られたリソースを有効に活用することです。
以下3つの視点から最適なターゲットを選択します。

①市場規模と成長性
②市場の魅力度(競合の有無など)
③市場と自社リソースとのバランス

ターゲティングイメージ

セグメント2

図2(図中@円は月当たりの当該趣味にかけられる所得イメージ)

図2では①最近のブームによる潜在読者数の算定、②想定読者が情報をどこから、いくら払って得ているかの調査=類似するカテゴリーのメディアがあるか、③自社の編集力やコンテンツ力・ブランド力、例えばライトな関心度に応える記事が書けるか、等の視点で各セグメントを評価します。

STPその3:ポジショニング ~市場での立ち位置を決める~

狙うべき顧客を絞り込んだあとは、顧客に「○○といえば××だよね」と認識される状態を目指します。ターゲットとして選択したセグメントには、同じターゲットを狙う競合がいます。顧客に競合との差別化ポイントを明確に伝えることができなれば、サービスを見つけられず埋もれてしまいます。
また競合との差別化に加えて、紙媒体との差別化も雑誌のWebメディア化には必要な視点です。「紙の雑誌では手に入らない特別な情報や体験」といった価値がなければ、紙の読者もWebメディアを訪れてくれません。

ポジショニングイメージ

セグメント3

図3

以上、いくつかの例を基にサービスの設計の起点となるSTPについて概略をご紹介しました。次回はMYゴルフダイジェストの事例をもとに、STP分析を使って、どのような観点で選択し、どのようにサービスへ落とし込んだのかをご紹介していきます。

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