重点テーマ:人権・労働
労働安全衛生
基本的な考え方
DNPグループは、安全かつ健康的な職場環境の提供を最優先に考えています。すべての社員が安心して安全に働けるよう、安全意識を企業文化として根付かせることに努めています。安全はすべての業務の基盤であり、社員一人ひとりがその重要性を理解し、実践することが求められます。
方針
DNPグループ安全衛生憲章
DNPグループは、全員が健康なこころと体で働くことがグループ全体の力となるとの認識のもと、真に「健康と安全は全てに優先する」職場風土を醸成するため、2019年に「DNPグループ安全衛生憲章」を制定しました。この憲章に、グループの全員が「安全衛生」についてしっかりと意識し、それぞれの立場で考え行動していくという決意を込めて、「『オールDNP』全員の意志」という言葉を掲げています。職場の風土として健康と安全を全てに優先させるため、対話や教育の時間の確保をはじめ、各部門トップの決断をもとに全員で活動に取り組んでいます。
推進体制
「DNPグループ安全衛生憲章」「DNPグループ健康宣言」のもと、社長をトップとして安全衛生活動を推進しています。「DNPグループ安全衛生管理規程」で定めた推進体制と運営方法に基づき、労使一体でグループ全体の安全衛生のレベル向上に努めています。「DNPグループ安全衛生連絡会議」(議長:人的資本部門統括取締役副社長、事務局:人事本部労務部)を中心に、事業部門・グループ会社の安全衛生連絡会議・安全衛生推進協議会、各職場の安全衛生委員会等が活動内容を具体化し効果を高めています。
指標・目標
DNPは「労働安全衛生」に関する基本的な考え方に基づき、優先的に取り組む指標と目標値を設定し、活動を行っています。
指標 | 目標値 | 2024年度実績 |
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- ※休業災害度数率:労働災害による死傷者数(休業4日以上)÷延べ労働時間×1,000,000。集計期間は2024年1月から12月まで
戦略・リスク管理
DNPグループでは、労働災害を未然に防ぐため、法令および「DNPグループ安全衛生管理規程」に基づき、随時リスクアセスメントを実施しています。潜在的な危険要因を特定し、リスク低減策を継続的に実行・改善することで、安心・安全な作業環境を築いています。また、定期的な安全教育や訓練を実施し、社員の安全意識の向上にも力を入れています。
安全衛生リスクアセスメント
社会動向や国の労働安全衛生施策、ならびに社内の課題や活動実績を踏まえ、定期的に基本計画を見直し、具体的な活動を推進しています。2024~2026年度の3年間における重点実施項目は、「第6次労働災害防止・健康保持増進基本計画」として策定し、特に以下の3項目に重点を置いたリスクアセスメント活動を強化しています。
- 安全風土の醸成
- 労働災害のない職場づくり
- 職業性疾病対策の推進
第6次 労働災害防止・健康保持増進基本計画(方針)
人的資本ポリシーに基づき、「DNPグループ安全衛生憲章」「DNPグループ健康宣言」を具現化する。心身の健康と職場の安全の確保とともに、一人ひとりの挑戦する心(こころの資本)の醸成、職場の活性化(心理的安全性構築)により社員のウェルビーイングおよび職場のエンゲージメントを高め、企業価値向上につながる安全衛生活動を行う。
- 推進体制の整備と人材育成に取り組み、対話と教育の実践により全員が自分事として積極的(自律的)に参加する実効性の高い安全衛生マネジメントを確立する。
- 労働災害防止は、重篤な災害の撲滅を第一に考えリスクアセスメントを充実させて設備・作業の改善を継続するとともに、多様化し増加傾向にある各種災害のリスク低減対策を展開する。
- 健康保持増進は、健康診断、ストレスチェックを基軸とした健康管理を推進する。高リスク群に対する個別アプロ―チ(ハイリスクアプローチ)を進め疾病の発症や重症化の予防を図るとともに、従業員や職場全体に対する働きかけ(ポピュレーションアプローチ)を行い、健康の保持増進を推進する。
労働安全衛生マネジメントシステム
このような活動をより効果的に推進するために、一部の事業場においては、労働安全衛生マネジメントシステム(ISO45001)の認証を取得しています。
是正対策
DNPグループは、社員が業務を通してけが等をすることは、あってはならないことだと考え、全ての職場において「不安全な状態」や「不安全な行動」の見直しと改善を実践しています。そのなかで、リスクアセスメント活動とそれに基づく対策に重点的に取り組んでいます。
特に重篤な災害につながる設備の対策については、既存設備全てのリスク部位を抽出、見える化し、その中で重篤度の高い部位から優先して、DNPで独自に策定した設備安全規格に準じた安全対策を展開しています。また、新規に導入する設備に対しても同様に、リスク部位の抽出、対策完了後には、必ず稼働前点検を行った上で再稼働するルールとすることで、災害の防止を図っています。
それでも万一災害が発生した際には、その大小に関わらず、事業場において災害対策会議を開催しています。事業場と本社部門(技術・労務・研究所)が連携し、発生原因の究明や、原因に沿った安全対策・再発防止対策の立案・展開を行っています。また災害発生時には災害状況を、対策完了時には発生原因と対策内容を、それぞれ全社に水平展開することで、DNPグループ全体で類似災害の防止に取り組んでいます。
関連施策
教育
「DNPグループ安全衛生憲章」「DNPグループ健康宣言」の具現化に向け、労働安全衛生に関する階層別教育や専門教育などを実施しています。
安全面については、製造職場の最前線の管理職層に設備安全に関する専門的な研修をオンラインで行うなど、さまざまな教育を通じて安全衛生活動のレベル向上に努めています。
健康面については、健康保険組合とも連携し、食事・運動・喫煙などの生活習慣や疾病、メンタルヘルスケアに関する教育・研修をオンラインセミナーやeラーニングも用いて実施し、社員の意識向上・行動変容につなげています。
安全衛生教育
DNPグループは常に、「対話と教育」が安全衛生活動の基盤になると考えており、2019年には「DNPグループ安全衛生憲章」を策定して、「健康と安全は対話と教育、人づくりから始まる」と掲げました。
そうした考えを具体化していくため、製造部門の全拠点では、真に健康と安全を全てに優先させる風土の実現に向け、「月1時間の対話・教育(ツキイチキョーイク)活動」を実施しています。毎月の活動を通して、安全意識の向上や安全風土の醸成、職場の活力向上につなげています。また組織横断型組織として立ち上げた「製造安全推進プロジェクト」については製造職場を安全面、健康面から支える恒久的な組織に変更し最新技術や、好事例、注意すべき点を共有するなど、多様な活動を推進しています。
加えて、労働安全衛生に関する階層別教育や専門教育も実施しています。特に機械設備による重篤な災害を防止するため、設備安全対策に関する管理職や設備スタッフへの教育に力を入れていて、2016年から継続的に実施し、2024年度は121名(累計1,224名)が参加して、活発なディスカッションなども行いました。また、VR(仮想現実)を用いて危険を体感する教育や、防火に関するeラーニング等のほか、専用の社内Webサイトを立ち上げて、万が一発生した場合の災害の内容や、安全対策の好事例などを関係者が共有して活動のレベルアップにつなげています。
健康経営の取り組み
DNPグループは、「DNPグループ安全衛生憲章」の具現化に向け、トップコミットメントとして「DNPグループ健康宣言」を策定・発信し、健康経営を志向したさまざまな施策を実施しています。