日本人は限定品がお好き?【後編】

赤インクで「限定品」の判をドンと押すイメージ

「春限定さくら味」「伊豆限定わさび味」……。私たちがスーパーマーケットなどでトキメク「限定品」。そのトキメキの背景と生活者マインドについて、DNPのフィールドマーケティングチームが生活者アンケートをもとに、独自の視点でマーケティング分析レポートをお届けします。

  • Chapter1:私が“いつもの”じゃない選択をする日
  • Chapter2:「限定品」は、どんなジャンルで買われている?
  • Chapter3:「限定品」を購入する理由とは?

Chapter1:私が“いつもの”じゃない選択をする日

こんにちは。フィールドマーケティングチーム、駆け出しマーケターのA子です。
【前編】に続き、お店に「限定品」があふれているわけ、について考えてみたいと思います。

突然ですが、私はスナック菓子が大好きです。好きな商品は老舗スナック菓子メーカーA社の「うすしお」。新しい商品や他のフレーバーを見かけて「気になるな~」と思いますが、結局は”いつもの”を選んでしまいます。

大好きだから、「いつもと違うものを試して口に合わなかったらいやだな……」と、慎重になってしまいます。

そんな保守的なスナック菓子愛好家の私が、「うすしお」を捨てて購入した商品。それが伊豆に出かけた時に見つけた「伊豆限定 わさび味」。「伊豆限定」という言葉に、伊豆でしか買えない=今しか買えない!という焦燥感と、それに伴って高まる期待が!

加えて、「伊豆に来たぁ~!」という旅先での解放感から、迷わず購入してしまいました。
そして、いつも買っているA社の商品だけでなく、B社、C社の「伊豆限定 わさび味」も大人買いしちゃったりして……。

日本各地にある「限定品」のイメージ

日本各地にある「限定品」のイメージ

最近では、都内のアンテナショップやスーパーマーケットのご当地フェアで見かけることがあり、そんな時は「限定品」という言葉に希少価値を感じて、つい買ってしまいます。

私の場合、よく考えると、旅先での「限定品」の経験が、いろいろなスナック菓子を試すきっかけになっています。

Chapter2:「限定品」は、どんなジャンルで買われている?

では実際に、スーパーマーケットで、どのくらいの人が「限定品」を購入しているでしょうか?

スーパーマーケットでの食料品・飲料の「限定品」の購入について、独自に生活者意識アンケートを行ったところ、64.7%が「限定品の購入をしたことがある」という結果になりました(図1)。
これは男女別、年代別でもほぼ差がありませんでした。

(図1)スーパーマーケットでの食料品・飲料の限定品の購入経験の割合/DNP調査

(図1)スーパーマーケットでの食料品・飲料の限定品の購入経験の割合

【DNP調査 概要】
「食料品・飲料の限定品の購入に関する調査」(図1・2・3・5共通)
調査期間:2020年3月25日(水)~27日(金)
対象者:全国の20~60代男女 1000名
調査手法:インターネット調査

「限定品」を購入した人は、「菓子類(スナック、チョコレート菓子など)」の購入経験が88.4%と最も高く、次いで「アイスクリーム」、「スイーツ(プリン、ゼリーなど)」と続きます(図2)。

これらの商品は、旬の果物とのコラボなどバリエーションも幅広く、スーパーマーケットにおける「楽しみながら商品を選ぶ」という買い物スタイルにも合い、買われやすいカテゴリーのようです。

(図2)スーパーマーケットでの限定品の購入経験の割合(商品カテゴリー別)/DNP調査

(図2)スーパーマーケットでの限定品の購入経験の割合(商品カテゴリー別)/DNP調査

「限定品」には、「地域限定」だけではなく、「期間限定」、「数量限定」、「販売チャネル限定」などさまざまな形があります。そのうち、どの商品カテゴリーでも「期間限定」の購入経験の割合が最も高く、特に「菓子類」では85.5%が期間限定商品を購入しています(図3)。

(図3)菓子類の「限定品」の種類別購入経験の割合/DNP調査

(図3)菓子類の「限定品」の種類別購入経験の割合/DNP調査

日本は四季が比較的明確であり、季節に合わせて衣食住の変化を楽しみながら暮らす習慣が根付いています。

すべての国や地域で、時の流れとリンクした暮らしが営まれていますが、季節の変化を肌で感じ、限られた時間を意識しながら生活してきた日本人にとって、季節に合わせた「期間限定」の商品は、自然に受け入れられ、根付いていったのかもしれません。

グローバルな交流がますます盛んになっていくなか、世界各地の「限定品」と季節の関係などについても、掘り下げてみたいと思います。

Chapter3:「限定品」を購入する理由とは?

私が”いつもの”商品を選びがちだからなのか、日常の買い物では、数ある商品の中から、手に取ったことのない、初めての商品を選ぶことが難しくなってきているようにも感じます。


気になって、消費者庁の調査結果(図4)を調べてみたら、同じ商品やブランドを選ぶという割合は約4割。ネットでの買い物も浸透し、購入履歴と同じ商品をリピート買いするなど、「楽しさ」よりも「便利さ」を優先する買い物スタイルが定着してきているのかもしれません。

若者世代ほどその傾向が強いようですが、このあたりは、「限定品」と「世代」の掛け合わせで、私たちが独自に掘り下げていきたいテーマです。

(図4)同じ商品・ブランドを購入することが多い人の割合

そうした傾向がある一方で、「限定品」を購入した人の理由を見てみると(図5)、「食べたことのない味に興味があったから」が70.8%と最も多く、定番品と異なる“新しさ“が購買につながっています。

「季節や旬を感じたいから」(48.8%)、「普段と違うものを購入したいと思ったから」(28.1%)など、流行や季節による違いへの興味や、変化による刺激への興味など、”いつでもどこでも”だけじゃつまらないという気分が、「限定品」を購入する理由となっているようです。

意外だったのは、「いつも決まったブランド・商品を選ぶ」という生活者のほうが、この傾向が高かったこと。

「この時期に合ったもの」「この地域特有のもの」といった「限定品」の特性は、安定志向の層に対する刺激にもなっており、新しい商品との出会いにつながっているようです。

(図5)菓子類の「限定品」の購入理由/DNP調査

(図5)菓子類の「限定品」の購入理由/DNP調査

※「新」「旬」「変」で表される生活者の気分については、日本人は限定品がお好き?【前編】でも紹介しています。ぜひご覧ください。


買うお店、買う商品がルーティン化し、商品のブランドを替えない生活者も多く見られるなかで、メーカーとしてはいかに自社商品を購入してくれるか、流通としては競合店にはない“キラー商品”を置けるか、「選ばれる理由」をどうつくっていくかが重要となっており、「限定品」がそれを解決していく切り札のひとつになっています。


希少性の高い「限定品」が、スーパーマーケット等の店頭にあふれている理由――。
そこには、”いつもの”商品を選びがちな私たちの買い物に、「限定品」によって興味や刺激、楽しみを広げて、購入を促す、メーカーや流通の工夫もあるのではないでしょうか。市場の数値から「売り場」の背景を読み解くのは面白いですね。



さて私は、「限定品」に携わる多くの人たちに感謝しつつ、”いつもの”を選ぶ生活から脱却しつつ、「伊豆限定 わさび味」だけでなく、「秋限定 じゃがバタ味」「数量限定 プレミアムポテト」などなど……、いろいろな商品でショッピングと味覚を楽しみたい!と思います。


【フィールドマーケティングチームとは】 

フィールドマーケティングチーム 打合せの様子

大日本印刷株式会社ABセンター
コミュニケーション開発本部SPマーケティング事業推進ユニットのメンバー。

マーケティング関連で、一般に「SP」といえば「セールス・プロモーション」ですが、「SP=セールス・プロセス」を標榜して、店頭を起点とした情報の収集から、分析、戦略・戦術の立案、施策実行まで、ワンストップで支援する専門チームです。
独自の視点で日々店頭を見て・感じて・考えた内容を基に、生活者の購買動向、商品の販売状況、店頭サービスの変化など、「生活者」「メーカー」「流通」の三者が交差する「売り場」のナゼ?にアプローチしていきます。