人手不足という社会課題に向き合うBPO事業

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人手不足が深刻化する中、業務の一部を外部に委託する「BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」に注目が集まっています。DNPのBPO事業の強みと未来像を、市場が転換期を迎えていると言うイノベーションの先達が語ります。

語り:沼野 芳樹 執行役員

大日本印刷株式会社 執行役員
情報イノベーション事業部 副事業部長
沼野芳樹

BPOの原点は印刷業にあり!

DNPは創業時から本や雑誌の印刷、製本などを行ってきました。これはまさに出版社のBPOです。また、今や「DNPのBPO」では膨大な個人情報を扱っていますが、これができるのは、書籍のデータや新商品の情報など、長年に渡って顧客企業の重要な情報を取り扱うことで培われた、情報を守る強い意識があるからこそです。まさにBPOの原点は印刷業にあると言えます。

多くの人に同じ情報を伝える手段としての印刷は、携帯電話やクレジットカードの請求書や保険会社の証券、キャンペーンのダイレクトメールなど、生活者一人ひとりに異なる情報をお届けする「プリントサービス」に進化しました。これが「DNPのBPO」のスタートと言えます。そして現在、「DNPのBPO」は、"企業と生活者や社会とのコミュニケーションに関わる事業"として、多様な顧客企業に幅広いサービスを展開しています。

特に「DNPのBPO」の最大の特色は、顧客企業の業務の分析から、最適な業務プロセスの設計と堅牢なセキュリティに基づくオペレーション、その管理に必要なシステムの構築までを総合的に対応できることと、それによって複雑かつ大規模なフルアウトソーシングを提供できることです。

乗るか、飲まれるか?BPO市場を襲う変化の波。

国内では、生産年齢人口の減少や長時間労働の問題などを受けて人手不足が社会問題となっています。その解決手段として、BPOの需要は今後も活発化していくでしょう。しかし、私は今こそBPO事業の転換期だと思います。実際、市場には2つの大きな変化の波が押し寄せています。

第1の変革の波は、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)、ロボティクス(ロボット工学)の進展です。従来、人手に頼ってきた作業をこうした技術に代替するだけでなく、これを機に、従来の業務そのものが人によるオペレーションを最小化するプロセスに抜本的に見直されていくでしょう。
2つ目は、物流や人材派遣、IT事業者、コンサルティングなどの企業によるBPO市場への参入です。既にアメリカではコンサルティング会社がBPO市場に進出し始めましたし、日本でもIT事業者がRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション=ロボットによる業務の自動化)の構築とBPOを組み合わせたサービス提供を始めています。日本のBPO市場の変化は、競争の激化をもたらします。

DNPの針路、それは「高度なBPO」。

この変化の波を受け、標準化された定型業務についてはRPAを、また簡単な判断に基づく業務にはAIを導入する企業がますます増えていくでしょう。一方、標準化になじまない業務にとどまらず、専門知識に基づいた高度で迅速な審査や判断を要する、いわゆるコア業務に関しても、人手不足に対応するためにはBPOを検討せざるを得なくなるでしょう。
例えば、金融機関の口座開設業務や保険会社の支払い業務などがそうです。こうした「高度なBPO」を担うためには、これまでの信頼に加え、顧客企業並みの業務知識、新たな技術のR&D、それらに基づく革新的な業務プロセスの構築力、そしてサービス品質とセキュリティの絶え間ない向上が求められます。
「DNPのBPO」は、大きく変化する市場を見据え、単なる委託者を超えた「高度なBPO」のビジネスパートナーとしてのあらゆる強化を図り、顧客企業の期待に応えていきます。

未来に向けて、その具体策は?

未来のBPO市場に向かっては、変化の波を乗り越えるだけではなく、私たち自身が次の波をつくり出していかなければなりません。今、私たちは、BPRコンサルティングサービスを提供し始めました。顧客企業がBPOを検討する際の最上流に当たる「BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング=業務プロセス改革)」にまで機能を広げ、BPOはもちろん、RPAの構築、新たなデジタル技術の導入などによって業務プロセスの革新を提案します。
同時に、デジタライゼーション(デジタル化)を加速しています。例えば、2018年1月にAI技術を持つ企業と資本業務提携を締結し、この技術とDNPの強みである画像処理技術と組み合わせて、新しい手書き文字のテキスト化プロセス、クラウドサービスを構築します。これによりデータ入力作業の大幅な省力化が可能になります。さらに、書類の仕分け作業や審査業務、コンタクトセンターにもAIを導入し革新的な業務プロセスを構築するにとどまらず、オペレーションのデジタル化を突き詰め、新たなイノベーションを起こしていきます。ICTや生産技術、開発に関わる多彩で豊富なDNP人材は頼もしい限りです。
「DNPのBPO」は、こうした新たな取り組みによって進化し、あらゆる顧客企業が抱える人手不足という大きな課題に挑戦していきます。