買い物が変わり、ライフスタイルが変わる。 「キャッシュレス社会」がもたらす真の価値とは

  • スマート社会
  • 独自技術

2020年に世界中の人と会うのを楽しみにしているネクストくんですが、ひとつだけ気がかりなのが、国内のキャッシュレス化が遅れていること。そこには、インバウンド対応だけにとどまらない、“その先の価値”があるそうなんです。

  • キャッシュレスの真の価値とは?
  • 行動補足で拡がる⽣活者の利便性
  • キャッシュレスで変わる生活者のライフスタイル

主な登場人物

ネクストくん
入社3年めのDNP社員。自称アイデアマンで、業務を通じて世の中を変える何かを生み出したいと夢見る。目下の悩みは、「そろそろいじられキャラを卒業したい」こと。

センパイ
ネクストくんの良き理解者として、日々行動をともにする入社5年めのDNP社員。マーケティングリサーチが専門で、「生活者目線!」が口癖。

キャッシュレスの真の価値とは?

いよいよ、2020年も間近。世界中の人たちと出会うのが楽しみだな~。でも、海外では“常識”のキャッシュレス化が進んでないのが、心配っす。日本のキャッシュレス決済比率は約20%弱で、中国の1/3ほど、韓国の1/5ほどしかないんです*。

  • *経済産業省「キャッシュレス・ビジョン」(2018年4月)より

こないだ海外旅行に行ったけど、街外れの屋台までキャッシュレス決済に対応してたわ。現金を管理する手間やリスクが少ないから普及しているんだって。

屋台でのキャッシュレス対応イメージ

その点、日本は安全・安心な決済環境が整っていますから、動機付けとして弱いようですね。でも、キャッシュレスがあたりまえになることの価値は、実はそれだけじゃないんです。

えーっと、レジ作業が迅速化するとか、いつでもどこでも買い物できるとか、ポイントが付与されるとか……。購買記録が残るから、家計管理も便利になるわね。

そこらへんはまぁ、素人レベルっす。キャッシュレスの真の価値を解くヒントは、ズバリ「本人特定」です。

本人特定?たしかに、スマホアプリやカードで決済できる前提条件は、購買者を特定できるからだけど。

さすがセンパイ! その本人特定が可能になることで、さまざまな複合的サービスが実現すると見込まれているんです。例えば先日、こんな実証実験が行われました……。

行動補足で拡がる⽣活者の利便性

2018年11月、パナソニックさん、ぴあさんと、パナソニックスタジアム吹田で行われたJリーグの試合で、電子チケットによるチケットレスの実証実験を行いました。そこでは、ウェアラブルデバイスからの行動情報を軸にさまざまなサービスを組み合わせ、その利用動向が検証されたんです。

スポーツビジネスは市場規模の拡大が期待されている分野だから、気になるかも。それで、どんな実験をしたの?

チケットの購入・発券・入場チェックの手間を軽減することはもちろん、グッズ購入や飲食店舗で行われていたキャッシュレス決済の利用、抽選会への参加などと連携して、待ち時間の緩和や利用動向の把握を実現しました。来場順をカウントしてその場で「キリ番プレゼント」を行うなど、電子チケットならではの新たなアクティビティも用意し、ファンサービスの強化と利用促進も図ったそうです。

好きなチームや選手への愛着ももっと深まりそうだし、なんだかスタジアムに行くのが楽しくなりそうね。行動情報の把握が私たち生活者の利便性向上につながるものであれば、きっと普及していくはずだわ。

確かに、そこが大事ですよね。今回の実証実験は、スタジアムという限定した空間で行われましたが、今後は、近隣の商業施設や宿泊施設、交通機関等などと連携を広げ、利用者にとってさらに便利なサービスを提供したり、地域活性化に貢献していくことが考えられているみたいっす。

ウェアラブル端末で決済をしているところ

ウェアラブルデバイスをかざすだけで購入可能に

小型の非接触ICカードとウェアラブルデバイス

小型の非接触ICカード(左・中)とウェラブルデバイス(右)

ウォッホン。企業の視点で見ると、入場後の動向や購買履歴を取得できることは、マーケティング的な活用につながるのも見逃せないぞ。

あ、ブチョー。

要は、決済データから行動を把握することによって「ヒト」と「お金」と「モノ」の情報が紐づき、生活者にとっても、企業にとっても、これまでになかった革新的なサービスが実現できるということだ。場合によっては、社会的課題の解決につながるケースも考えられるぞ。

それって、こないだブレストで出た件ですか?

そのとおり。センパイにも話してやったらどうだ。

キャッシュレスで変わる生活者のライフスタイル

キャッシュレスの「購買の記録が残る」と「お金の受け渡しが容易になる」という2つの特長を活かすと、私たちのライフスタイルが変わる可能性があると思うんです。

え、どういうこと?

例えば、子供のお小遣いです。これまでは「無駄遣いするから少額のお金しか与えない」のが一般的でしたが、キャッシュレスによって記録が残るため、親があとからチェックできるようになります。要は「親が見ている」という一定の制約のもと、子ども自身が自分で考え、金銭感覚を身につけることができるわけです。

お小遣いのやりくりを考えることを通して、「自分にとって一番価値を生むお金の使いみちは何か」と考えるクセが付けば、逆に子供側からの提案も出てくるかも。「ボクは将来小説家になりたいから、村上春樹全集を買いたいんだ」なんて言われたら、買ってあげちゃうかな~(笑)。

すでに国際ブランドプリペイドなどを利用すれば、第三者がチャージしたりもできますからね。キャッシュレスは「お金を使いすぎる」のではなく、逆に「お金の価値がわかる」効果があって、それによって社会がより良い方向に進むことの価値のほうが大きいと思うんです。

同じような考え方で、遠方に住む親の見守りサービスなどにも使えそうね。お金の使いすぎを防ぐだけでなく、「同じものを何個も買っている」などの記録から認知力の低下に気づけるとか。経済活動には社会生活そのものが反映されるので、さまざまな活用ができそうね。

いま話題の「情報銀行」も、そうした文脈のひとつにある考え方だな。個人情報を正しく取り扱うためのセキュアな環境の構築は大きな課題だが、キャッシュレスがもたらすメリットを考えると、新たなビジネスモデルの登場はこれからどんどん加速していくだろう。

個人的には、個人間取引が浸透することで、ボランティア活動への募金や電車で席を譲ってくれた人へのお礼などが身近になり、これまで見える化しづらかった無償の行為が正しく評価される社会が訪れないかな、なんて夢見たりします。感謝の気持ちが循環して、社会全体がより幸せになるような。

ちょっと飛躍しすぎかもしれないけど、未来の社会で求められるサービスや商品を占う意味でも、キャッシュレスの普及は大きなターニングポイントになるかもしれないわね。

ネクストくんのブレストメモ

キャッシュレスと聞くと「現金の受け渡しがなくなるので、手軽に買い物ができる」だけのものと思われがちですが、「ヒト」と「お金」と「モノ」の情報が紐づくことで、生活者の利便性を向上するさまざまなサービスが生まれると見られています。DNPは、記事内で紹介したパナソニックスタジアム吹田の実証実験に参加しているほか、各種キャッシュレス決済を実現するセキュアなプラットフォームの構築、デジタルマーケティングの戦略立案、安全・安心な「情報銀行」を実現する共同プロジェクトへの参画、社会課題を解決するソーシャルイノベーションの研究などを手がけています。これからも生活者のみなさまにとって使いやすい社会インフラの構築を目指し、パートナー企業と共創・協働しながら、さまざまな観点からキャッシュレスの推進に取り組んでいきます。

共創・協働に向けた取り組み

さまざまな情報がつながり、互いに作用し始めた現代。ビジネスの課題を解決するには、多彩なパートナー企業との共創・協働が欠かせません。
DNPグループの印刷を起点としたさまざまな分野への事業展開を支えてきたのも、社内外の豊富なネットワークを活かした「共創・協働」でした。
そこで培われた「発想をカタチにするチカラ」と「社会が求める価値を発見するチカラ」を強みに、これからも新たな社会的価値を創出し、企業の課題解決に寄与していきます。

    生活者一人ひとりのより良い未来を彩る、新たな社会的価値の創出のために
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