一級建築士が施工前後を体感。DNP採光フィルムで暮らしはどう変わるのか?

窓ガラスに貼るだけで、太陽光を天井や部屋の奥まで取り込む「DNP採光フィルム」。室内を明るくする製品だが、どれほどの体感値になるのか気になる人は多いことだろう。そこで今回は、総合情報サイト『All About』のガイドを務める一級建築士の佐川旭氏に実際に試してもらい、どのような変化を感じたかご紹介する。

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佐川旭建築研究所代表。総合情報サイト『All About』家を建てるガイド。
用と美を兼ね備えた作品を得意とし、これまで180軒以上の住宅を設計。街づくり、公共建築も数多く手がけている。さらに講演や執筆活動、テレビ出演など幅広く活躍。認定N.P.O法人アジア教育友好協会の専務理事として、ラオスと日本の子どもたちとの交流支援や学校づくりも行っている。

理想の家に多く求められるのは「明るさ」。昨今の日本の住宅事情


理想の家を実現したい! そう思ったとき、人はどのような条件を挙げるのだろうか。佐川氏によると、「たいていの方がまず挙げるのは“明るさ”。続いて“使いやすさ”“収納が多い”といったことが多い」のだとか。

「とはいえ、すべての希望がかなう100点満点の家というのは、なかなか難しいもの。その家に住む人が何を大切にしたいのかを相談し、優先順位を決めていかなくてはなりません。例えば、明るさ第一で大きな窓をつくるとしても、耐震性や省エネ性との兼ね合いが必要となってきます。このほか、団らんが大切なら家族が集まりやすい間取りを考え、水回りの掃除が苦手なら汚れがつきにくい建材や設備を選ぶなど、対策もさまざまです」

では、私たちはなぜ、ここまで明るさにこだわるのだろう。

「古くから日本人は、自然との関わりを大切にしてきました。このことが、光を求める気質につながるのかもしれません。住まいの区切りに障子や襖など引戸を使うのも、そうした文化の表れでしょう。しかし、耐震性や省エネ性が求められる現代的な家づくりで、外側と内側の境界空間に大きな開口部や窓をつくるには、それなりの対策を講じなければ難しいところがあります。

また、日本の家はリビングやダイニングなどを南側に配置し、大きな窓をつくり採光を求めます。一方、北側はトイレや浴室など水回りを集中させるので、小さい窓が多く見受けられます。このように明るさに格差が生じてしまうと、光で乾かすことができないため、湿度がこもってカビや臭いをこもらせる原因にもなってしまうのです。現代の住まいは、室内へ光や通風をどう均一に取り入れるかが設計の大きなテーマでもあるのです」

さらに、「新築ならこうした対策を考慮して設計できますが、リフォームで解消しようとなると、簡単にいかないことも多い」と続ける佐川氏。

「例えば窓を新設したり、大きくしたりといったことになると、窓まわりの仕上げや納まり、さらには外壁や塗装にも影響を及ぼすので、潤沢な予算がなければ別の手段を考えた方がいいですね」

この「別の手段」のひとつとして挙げられるのが、「DNP採光フィルム(以下:採光フィルム)」だ。

佐川氏のオフィスに採光フィルムを施工。一体どこまで明るくなる?

採光フィルムとは、自然光を効率的に取り込み、室内を明るくするDNPの製品だ。この採光フィルムを取り入れることで、室内はどこまで明るく感じられるのか? その効果を知ってもらうために、佐川氏のオフィスへ伺い、実際に施工させてもらった。

オフィスの窓には内窓が取り付けられているため、採光フィルムは外窓のガラスに施工。
中性洗剤を希釈した液体をスプレー後、フィルムを密着させていく。

取り付けるのは西に開く腰高窓のガラス4枚で、施工は専門業者によって行われた。まずは窓の周囲が汚れないよう、ビニールで養生することから作業はスタート。ガラス表面を掃除し、ガラスのサイズに合わせてカットした採光フィルムを貼っていく。1枚あたりの作業時間は約20分といったところだ。「これくらいで終わるなら、家の人の負担は少ないですね。特殊な薬剤なども使われていないので、安心もできると思います」と語る佐川氏に、施工前後での違いを聞いてみた。

西向きの窓なので、部屋の東側にはさらに光が届く。4枚のガラスに貼った後は、佐川氏も思わず目を細めるほど明るくなった。

「これはかなり明るいですね。正直、どこまで変わるのかと疑問に思っていましたが、貼る前後で梁や天井の色が明らかに変わりました。光を跳ね上げているのか、天井に光が一度当たることで直接入る光よりもやわらかい印象ですね。最初、2枚分だけ貼ったときにも変化を感じましたが、4枚とも貼ると相当明るくなったことを実感できます」

採光フィルムを左側2枚に貼らず、右側2枚の窓ガラスに貼った状態とした。照度計で窓の上枠付近の明るさを計測。貼っていない左側では1,224ルクス(写真左)※1 貼った右側では1,989ルクス(写真右)写真※2 と、700ルクス以上の違いが生じている。

※1 2018年11月1日 午前11時6分に測定した最小値 天候晴 方角西 
※2 2018年11月1日 午前11時4分に測定した最大値 天候晴 方角西

採光フィルムを貼っていない状態(写真左)※1、と4枚のガラスに貼った状態(写真右)※2 を比較。貼った状態の天井を見れば違いは歴然としており、光が反射、拡散して全体的にも明るくなった印象だ。

※1 2018年11月1日 午後12時44分に撮影 天候晴 方角西 
※2 2018年11月1日 午前11時57分に撮影 天候晴 方角西

室内に明るさを届けるだけでなく、暮らしに安心をもたらす効果も

佐川氏も話していたように、採光フィルムが室内をここまで明るくする秘密は「光の跳ね上げ効果」にある。厚さ0.3〜0.4mmのフィルム内部に凹凸レンズを埋め込むことで、平滑な表面でありながら受けた光を上部へと反射・拡散することができるからだ。この跳ね上げ効果により、上から下へと入ってくる太陽光をより遠くまで届けることが可能となった。さらに、窓から入る紫外線を99%カット(DNP調べ)する効果もある。

「紫外線が入り込むと室内のものが日焼けしてしまうので、それが抑えられるのはいいですね。室内が明るくなって照明を点ける時間も短くなれば、省エネ効果も期待できます」

また、採光フィルムを貼ったガラスは、すりガラス調になるため、プライバシーを守れるという効果もある。これも佐川氏がメリットを感じた点だ。

「隣家とのスペースが狭い住宅は都市部によく見られますが、互いの窓の位置が近いと気になってしまうもの。かといって“カーテンをずっと閉めておくのは避けたい……”となれば、光を通しながら視線を遮られる採光フィルムは大いに役立つと思います。また、視線が遮られると集中力が高まる傾向にあるので、子どもの勉強部屋などにもよさそうですね。こうしたフィルムを貼ることで、万が一、ガラスが割れたときの飛散が大幅に防げます。3階建てなどの高窓に飛散防止フィルムを貼ることは多いですが、せっかくなら採光フィルムのようにさまざまな機能を備えたタイプを選ぶのも良いのではないでしょうか」

光のある暮らしで、人はもっと幸せになれる

「建てたときはいいと感じていても、家は実際に住んでみて、初めて不具合が見つかることも多い」と佐川さん。特に光や風、臭い、音、土の中の状態など、形が目に見えないものに対してのトラブルは多いそうだ。

「こうしたトラブルを解消し、よりよい暮らしを実現するために行うのがリフォーム。ただ設備や内装を新しくすることだけではないのです。新築を建てることは将来の希望を形にすること。リフォームは実際の生活の質を高めていくもの。いつもいる場所の居心地がよくなると心が安らぎ、五感が豊かになります。また住まいだけではなく、オフィスなどでも言えることでしょう。もし、今いる場所が思っていたより暗いことが原因で居心地の悪さを感じていたりするなら、採光フィルムの導入により過ごしやすくなったと実感できる人は多いと思います」

自然光の入る明るい部屋で過ごしていると、気持ちまで明るくなるもの。心地よい居場所をつくりたいと思う人は多いが、採光フィルムはその願いを叶える手助けとなるはずだ。

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