トンボちゃん活じいの本ができるまで「製本編」のイラスト

“技術のDNP”を支えてきた原点とは? 印刷の現場を見に行こう! #3 「製本する」編

DNPグループは今、顔認証等のセキュリティサービスや、文化財の価値を高めるデジタルアーカイブ、メディカル・ヘルスケアやエネルギー関連の事業、各種エレクトロニクス製品など、幅広い分野で社会や人々に新しい価値を提供しています。これら多様な製品・サービスは基本的に、「本」をつくってきた印刷技術を応用・発展して実現させてきました。そうしたDNPの基盤とも言える「印刷」の現場を、“活じい&トンボちゃん”が潜入レポートします!この記事は、雑誌印刷の工程を例に、「#1 版を作る」「#2 印刷する」「#3 製本する」の全3回で印刷の仕組みを紹介するシリーズの第3回です。

目次

登場人物

活じいのアイコン

活じい…金属活字じいさん。活字としてのキャリアは100年以上。長い経験で培われてきたDNPグループに関する豊富な知識で、いろいろなことを教えてくれる生き字引的な存在。

トンボちゃん…印刷物の見当合わせ※トンボから生まれたキャラクター。きっちりした性格で、曲がったことが大嫌い。細かな気遣いで活じいをサポートします。

  • 【印刷用語:見当合わせ】見当とは、多色印刷において各色版の重ね合せる際の位置精度のこと。版面にトンボといわれるレジスターマークを入れて、見当を合わせるようにしている。
  • 本記事は、小学館のアウトドア雑誌「BE-PAL(ビーパル)」編集部のご協力により作成しています。

本づくりの最後は、「#2 印刷する」編で印刷したページや表紙などを正しく重ねて、一冊の本に仕上げる「製本」のパートです。大まかな流れは、①本文とは別に進行していた表紙を断裁する → ②すべてのパーツ(折丁)を正しい順番に重ねる → ③重ねたものを綴じて全体を断裁する → ④結束して発送する、の4つ。完成品を出荷するまでの最終工程でもあり、一層正確かつスピーディな作業が求められます。

  • 画像をクリックすると、それぞれの工程の説明にジャンプします。

scene1 表紙を断裁する

発色や耐久性を考慮して本文とは別に印刷することが多い表紙は、次の「丁合(ちょうあい)」の工程に進む前に断裁して、サイズを合わせます。大きな刃が付いた断裁機にセットして4辺をカットしたのち、「表紙(ひょうし)まわり」ごとに切り分けたあと、折機で二つ折りにします。

用語解説のアイコン

「表紙まわり」=表紙と裏表紙のそれぞれの裏側を合わせた4ページの総称です。ページごとの名称もあります(図参照)。

表紙を断裁する準備

製本担当:Mさん


静電気は、チリや紙粉の付着、給紙不良などにもつながるので、バサバサと上下させて紙と紙の間に空気を入れる作業をします。ただし空気が入り過ぎたり、上下左右がぴったり合っていなかったりすると断裁機に入らなくなるため、もう一度きっちり揃えなくてはいけません。一度にセットする紙は約400枚もあるので、体力と技術の両方が必要な作業です。



scene2 丁合(ちょうあい)する

アンケートハガキや薄型の付録といった、通常のページとは大きさが異なる付属物がある場合、いずれかの「折丁(印刷した紙をページ順になるように折り畳んだもの。8または16ページ分)」に貼り付ける作業を先に済ませておきます。その後、今回の雑誌のような「中綴(なかとじ)製本」の場合、ページの真ん中に近い折丁から順に表紙まで「折丁」を重ねていく「丁合」を行います。この「丁合」から「綴じ」「三方断裁」まで、一連の流れが自動化されていますが、最初のセット作業や途中段階の補充などは人が担当します。

丁合しているイメージ

用語解説アイコン

「中綴」=現在の製本の方法は、主に「中綴(なかとじ)」と「無線綴(むせんとじ)」の二種類に分かれます。「中綴」は折丁を開いた状態で重ね、真ん中を針金で固定する方法。「無線綴」は折丁を閉じた状態で重ね、背表紙にあたる部分をノリで固定する方法。前者は雑誌やパンフレット等のページ数が少ないものに、後者は書籍や辞典等のページ数が多いものに向いています。

表紙まわりの名称と中綴、無線綴の説明イラスト

製本担当:Mさん


紙の厚さや種類、貼り込み加工の有無などによって、機械が折丁を1部ずつ正確に引き出せないケースがあるため、丁合機の各ボックスの設定調整や稼働チェックが欠かせません。
横に長いラインを数名のスタッフで分担していますが、丁合は一定のスピードでどんどん進んでいくので、集中力とスピーディな対応が求められます。



scene3 三方断裁する

丁合が終わって各ページが正しい順番で並んだら、真ん中を針金(ステッチャー)で綴じます。そして、綴じていない三つの辺をカットする「三方断裁」を行うと、本の完成です。

三方断裁のイメージ

用語解説アイコン

「ステッチャー」=中綴の際に折丁を固定する針金。太さが数種類あり、本の厚みによって適切なものを選びます。

製本担当:Tさん


三方断裁機にページの上部を合わせてセットすると、側面と下部も同時にカットするので、きれいにサイズが揃います。「一冊切りタイプ」と「重ね切りタイプ」があり、中綴の場合は前者を使うことが多いです。



scene4 結束・発送する

付録がある場合は、完成した本に乗せて、数部ごとにバンドで結束します。結束したものを輸送用のパレットに積んでビニールで固定し、発送します。

本が完成し運ばれていくイメージ

製本担当:Tさん


印刷物の品質をそこねずにお客様に届けるため、最後まで気は抜けません。パレットに積み上げた際に付録がつぶれないよう耐荷重の実験をしたり、荷崩れが起きない高さの上限を検証したりして、独自の基準を設けて運用しています。



「製本」工程から生み出した多彩な技術

「製本」に代表される後工程では、重ねる・折る・綴じる・断裁するためのノウハウを応用・発展し、“用途に合わせ、使いやすいように形を整える”多彩な技術を生み出してきました。耐久性と使い勝手の両方を考慮し、厚みのある本でも手を離してもページが戻らないといった、実際に使用する生活の場面を想定した機能性を追求してきました。

そうした基盤技術の一つである「成形技術」は、紙やプラスチック、金属などの素材を自在に加工する技術です。製本工程で培った紙を加工する技術を発展させ、紙製容器の立体加工から、プラスチック等のさまざまな素材の成形へと進化。1950年代から取り組んでいるパッケージ分野では、機能性と快適さの設計に加え、環境への配慮なども考慮した多様な製品へと広がり続けています。

製本工程の中で、「紙同士を貼り合わる」「違う素材を貼り付ける」「表紙の耐久性を高める」など、異素材を貼り合わせる技術から進化させてきた「ラミネート技術」。フィルムや金属、樹脂など別々に製造された素材を均一に貼り合わせるこの技術を応用し、特定の性質を持つ素材を貼り合わせることで、耐熱性・ガスバリア性・非吸着性などの多彩な機能を製品に付与できます。エレクトロニクス部門におけるフレキシブルなディスプレイ用の部材や、モバイル端末・電気自動車等に使用するリチウムイオン電池用バッテリーパウチなど、世界トップシェアの製品も含めたさまざまな用途にも応用しています。

※DNPの技術の詳細は、下記ページでもご覧いただけます。
後加工
https://www.dnp.co.jp/development/basic-technology/index.html#anchor06
DNPの基盤技術
https://www.dnp.co.jp/development/basic-technology/