未来の地球が元気になるために。DNPの環境配慮パッケージ「GREEN PACKAGING」の取り組み

GREEN PACKAGING担当の包装事業部 柴田あゆみ、尾見敦子

EU(欧州連合)が2030年までにすべてのプラスチック容器包装をリサイクルするリサイクル戦略を発表、日本でも環境省でプラスチック資源循環戦略が検討されるなど、自然環境に大きな影響を与える海洋プラスチックなどの問題が、世界各地で関心を集めています。 包装分野で国内最大規模の実績をもつDNPにおいても、独自の環境配慮パッケージシリーズ「GREEN PACKAGING」を提供するなど、さまざまな取り組みを手がけています。包装事業部の柴田あゆみ、尾見敦子の2名に、パッケージを作る企業としての責任、そして「GREEN PACKAGING」に込めた環境への思いを聞きました。

  • パッケージからできる環境配慮を考える
  • リサイクルしやすいパッケージで、「捨てる」をデザイン
  • ビジネスとしてエコが根付くために

大日本印刷株式会社
包装事業部
イノベーティブ・パッケージングセンター 企画本部
尾見敦子

大日本印刷株式会社
包装事業部
イノベーティブ・パッケージングセンター 製品開発本部
柴田あゆみ

パッケージからできる環境配慮を考える

パッケージってゴミだよね——。今から20年ほど前、そんな声がまだあちらこちらから聞こえていた頃、DNPは、世の中の動きに先駆けて環境負荷を軽減するパッケージの開発を進めていた。それは包装市場におけるリーディングカンパニーとしての社会的責任であり、いち早く取り組まなければならない課題だった。その後、2006年にはポリ乳酸を利用したバイオマス包材を、2011年にはバイオエタノールを原料としたPETフィルム「バイオマテックPET」を開発するなど、その活動は着実に成果を上げている。

そして2017年、これまでの環境に配慮したさまざまな製品を統合し、環境配慮パッケージシリーズ「GREEN PACKAGING」としてブランド化をおこなった。DNPの環境への取り組みを「人から考えるパッケージ」というテーマのもとに生活者視点で発信し、認知を図ることで、持続可能な循環型社会の実現を加速していくためだ。

社会に向けて初めて「GREEN PACKAGING」をブランドとして発信したのは、2018年10月に東京ビッグサイトで開催された東京国際包装展「TOKYO PACK 2018」でのこと。この日に向け、包装事業部では「GREEN PACKAGING」を広める活動メンバーを結成して準備を重ねていた。

メンバーの一人であり、マーケティング視点から「GREEN PACKAGING」の紹介コンテンツを制作した尾見は、「展示会では動画や配布資料を作って、『GREEN PACKAGING』の考え方を来場者にお伝えしました。パッケージから環境配慮を考えるDNPの活動に、たくさんの方が興味を持ってくれた手応えがあります」と話す。

ここで「GREEN PACKAGING」のコンセプトを見てみよう。「持続可能な原料調達」「リサイクルの推進」「CO₂の削減」という3つの価値を起点に循環型社会をめざすというのが、基本的な方向性だ。具体的には、①再生可能原料や原料の由来がはっきりしているもの(持続可能な原料)を使うこと、②リサイクルしやすいパッケージ作りやリサイクル技術を革新し、リサイクルを推進していくこと。そして、③植物由来の原料を使うことで、焼却により発生するCO₂を相殺すること(カーボンニュートラル)。この価値を2つの「6」の文字で表した図が、下記のものだ。

「持続可能な原料調達やリサイクルの推進を示す中央の水色の矢印が太くなり、焼却されて排出されるCO₂を示す右側の矢印が細くなることが、理想的な循環型社会です。『GREEN PACKAGING』の活動を通して、そうした社会をめざしていきたいと考えています」と柴田は話す。

リサイクルしやすいパッケージで、「捨てる」をデザイン

この「GREEN PACKAGING」を体現する製品が、「バイオマテック」と「モノマテリアル」だ。

「バイオマテック」は植物由来の原料を含む包材。石油資源の使用削減につながることに加えて、成長過程で植物が光合成によってCO₂を吸収するため、焼却時に出るCO₂を相殺するカーボンニュートラルの考え方が適用できる。近年、環境に配慮した商品開発に取り組む企業が増えたこともあり、すでに多くの企業の製品で採用されており、その数は年々増えているという。

一方、2018年に発表された「モノマテリアル」は、その名の通り単一素材で作られているフィルムパッケージ。破袋しにくい、光や酸素を遮断するなど、中身を守る機能を持たせるため、従来のフィルム製品は異素材が重なっていてリサイクルしにくいという課題があったが、機能を維持したまま単一の素材で作ることで、リサイクルしやすいパッケージを実現している。今後はさらに開発を進め、「バイオマテック」による「モノマテリアル」も目指している。

「GREEN PACKAGING」の価値拡大をミッションとする柴田は、パッケージ開発に込めた想いを次のように話す。

「持続可能な循環型社会を実現するためにすべきことはたくさんありますが、DNPが今すぐできるのは、環境に配慮したリサイクルをしやすい包材を作ること。例えば、現在ペットボトルのリサイクル率は80%以上と言われています。フィルムパッケージのリサイクル率も、ペットボトルと同じレベルまで高めることができれば、もっと有効なリサイクルができるはずです。単一素材でリサイクルしやすい『モノマテリアル』を開発したのも、そこに狙いがあります」

一方、マーケティング担当の尾見は、生活者の視点からリサイクルしやすいパッケージについて考えている。2018年10月には年代別に消費者の『「買う~捨てる」までの一連の行動を訪問調査』をまとめた。そこから見えた課題について、尾見は次のように話す。

「興味深かったのが、捨てる行動の調査結果でした。年代によってプラゴミと認識する範囲が異なっていたことに加え、見た目の形状からプラゴミと思い込んで不適切な捨て方をしているケースも多く見受けられました。特別に意識を必要としない行動が、結果として環境配慮につながることが理想だと考えると、直感的に捨てやすく、分別しやすいパッケージを作っていくことも、DNPの重要な役目だと感じました」

ビジネスとしてエコが根付くために

印刷会社として環境に配慮したパッケージを提供することだけに留まらず、「GREEN PACKAGING」の活動を通して、将来的には世の中のリサイクルのスキームまでも変えていきたいと話す柴田と尾見。とてつもない大きな構想のようにも聞こえるが、さまざまなサプライチェーンとつながりがあるDNPならではの役割と言えるかもしれない。柴田は次のように話す。

「これまで企業の環境配慮というと、CSRの領域にとどまるケースが一般的でした。通常の製品・サービスとして扱うには、コストがかかりすぎるためです。そこで私たちDNPの『GREEN PACKAGING』では、コストをかけるだけの価値を生む包材を開発するとともに、その価値を社外に伝える活動を重視しています。DNP一社の力は小さくても、そこに共感をいただくパートナー企業の輪を広げることで、環境配慮のサイクルはきっと回り始めるはずです」

点と点をつなぎ、持続可能な社会を支える大きな力を生み出すことをめざす、DNPの「GREEN PACKAGING」。その取り組みにかかる期待は大きい。

写真:左から大日本印刷 包装事業部 大井典子、加戸卓、尾見敦子、片平隆行、柴田あゆみ。10月開催の展示会・東京PACKより「GREEN PACKAGING」をブランドとして推し進めたメンバー。開発やマーケティング、新規ビジネスに携わる多様な人材が集まり、現在もどのようにブランド価値を高めていくかミーティングを重ねている。

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「GREEN PACKAGING」の取り組みについて、動画でも紹介しています。こちらをご覧ください。



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